EX.125 「黒衣の英雄対復讐の権化」
ディザスターの身体がアキヒトの一撃によってエネルギーは身体を貫通し、左腕の一撃でシャボンが膨らむノアに吹き飛ばした。
アキヒトが今まで頑なに右腕で【ビッグバン】を放っていたのは訳がある。
新技である【ビッグバン·アクセラレータ】は相手に与えるダメージが大きい分、その反動も大きい。だからこそ覚醒によるタガ外しで殴れるのは一発のみと制限をつけていた。
結果的に腕のしびれが入り、ほんの数秒程度動かせないほどだった。
戦場での待機は命取り——————だがアキヒト達には時間がなかった。
「全速力だテティス!!」
「はいっ!!」
テティスはふわふわと沈むアキヒトの手をとってノアへと全力でヒレを動かした。
対するディザスターは腹を貫通したのかと思ったほどの威力で殴られ、鋭い痛みが連続して響く。しかしその痛みを薬を何十粒も服用し、痛みを抑える。
「ぷはぁ!!空気だ!!」
彼にとっての脅威はアキヒトただ一人、しかし痛みで震える身体は言うことを聞かない。
トドメを指すなら今だ!!
「黒鬼!!」
『しかたねぇ!!ぶっ飛ばすぞ!!』
黒鬼の声が聞こえ、右腕は黒く変色する。
今······こいつを倒すにはただの腕じゃ足りない——————!!
必殺技を耐えきったアイツにはただの一撃じゃまたもや耐えきってしまって今度こそ逃げきられるかもしれない。
まだ試した事がない方法だけど······いけるか!?
「うぅおおおおおおおおお!!」
一か八か!!右腕を集中し力を込めろ!!黒鬼ならそれを理解してくれる。
真実を殴り、真実を潰し、真実を捻り潰すアイツなら——————ルールなんかお構いなしに!!
右腕が風船のように膨らみ、巨人の大きさのサイズになる。
巨大になった腕でアキヒトはノアで最後の戦いに挑む——————。
「——————おれのキバは見せかけじゃねェ······。効いてるハズだぞアキヒトォ······!!」
事実アキヒトの右肩につけられた傷痕から未だに血が流れる。
「タフさは億超えだな······」
どれだけ殴っても耐え抜くディザスターにアキヒトは苦言を洩らす。
「【魚人柔術·心渡】!!」
ディザスターは水を布のように掴み引き上げる。
「テティス離れてろ!!」
「はい!!」
アキヒトはノアではなく水中にいるテティスを遠ざけ、ノアの甲板に降り立つ。
「【村鮫】ェ!!」
水を意思をもった鮫に形成し、アキヒトに襲いかからせる。
アキヒトはすんでの所で跳んで技を躱す。
そして腕は——————
「【破星拳】!!」
ディザスターの身体を殴り潰した。
落ちろ【ノア】······プライドを失った魚人族を皆殺しにしろ!!
「おおおおおお〜〜〜〜!!」
アキヒトはまだ止まらない。
巨大な腕を引き上げ、しびれが治った腕と共に自分の何倍もある【ノア】に近づく。
「まだ続くぞ!?」
『通信が途絶えたぞ!!今何が起きてる!?』
「破壊するつもりだ······!!伝説の巨船を!!」
「そんな事できるのか!?」
「てっきりティーチをどうにかするものと——————!!」
「島には······落ちさせねえぞ!!」
兵士はすぐさま亀電話を手にとって叫ぶ。
『お伝えします!!只今アキヒトさんは!!島の上海にて!!』
「アキヒト様······!傷が、開いて······!!」
頼む······アキヒト······!!
『【ノア】を破壊し!!市、島を守ろうとしています!!」
一撃一撃をスムーズに、最高速度を落とす事なく殴り続けろ!!
「【ビッグバン·ガトリング】!!」
砕船機のように崩し始めるアキヒトの怒涛の連撃。ムーンフェアリーがあればどれほど気が楽だっただろう。だが、それは後の祭りだ。今は関係ない。
だからこそ、今、俺の力でこの船を壊す!!
「ウォオオオオオオオオオオオ!!」
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「ノアを破壊!?」
島にいる彼らは信じられないものを聞いたように顔をあげる。
頭上には未だそびえ落ちる【ノア】の姿。空の半分を覆い隠す巨船を破壊するなんて考えもつかなかった。
『新解放軍船長ディザスターも先程!!アキヒトさんに破れました!!』
「うわああ!!終わりだ!!ディザスター船長が負けたァ!!」
「アキヒトも【ノア】を壊せるわけがねぇ逃げよう!!」
「逃さん!」
「ウグッ······!」
「ドスンさんっ!!勘弁してくれ!!もうこの島は······」
ドスンは逃げ腰の魚人をハンマーで殴り飛ばした。
「ギャア〜〜〜〜〜〜ッ!!」
「死もまた復讐だ!!死してなお人間を呪え!!惨劇は我らの血肉となるドスン!!怨念が消える事はない!!受け継がれ、ふくは必ず果たされるドスン!!」
「······バカな!!イカレてるよあんた達幹部も!!」
「イカレるのも人間がそうさせた!!逃げるな!!怒りは全て人間に向けろドスン!!魚人族に降りかかる全ての災いは人間に起因しているのドスン!!」
「————————————ホントに人間って······そんなにコワイの?」
マンハッタン大広場で希望を託した子供の一人がそう聞いた。
「バカな事を言うな!そりゃあ······人間は歴史的に言えば······我々魚人に······散々······」
「およし!!」
彼の親の言葉を止めたのはシスターシャローだった。シャローは子供達の肩に手を乗せて、
「自分の目でごらんよっ!!今、広場で······!!空の上で!!魚人街のあらくれ者達と戦っておるのは人間だよ!!」
「············あれも?」
「もぎゅーーー!!」
「アレは少しおかしい方だけどとにかくその目でごらん!!——————そうでなけりゃ······何も言う資格もないんだよ!」
そこにはアキヒトを信じ、楽しく戦うセブンウォーリアーズ達と、逃げようとして幹部達に捕まり泣き叫ぶ魚人達の姿。
「かれから何が起こっても······!!まっすぐな目で見なきゃいけないよっ!!」
「——————戦いに死ねん奴らは今ここで!!おれの手で死に、人間への怨みを残すのドスン」
「ぎゃあああああ!」
「もぎゅっ!防御意匠······【フロッグバブル】!!」
モフは手に毛糸を集中させてドスンの一撃を防ぐ。
「おやめください!!あなたの味方にぃ!!」
「あぉ······助かった。すまねぇ」
「あなたですね。生きた意味を知らないくせに偉そうに!!死んで怨みを残す!?バカバカしいですっ!何も残りませんよ!!生物皆!!死んだら動かなくなるのです!!」
「説得力が違うな」
元々動かない人形代表だからな。
「ぼく······!!命を粗末にする人大嫌いなんです!!鼻持ちなりませんねっ!!」
「フフ!!命を粗末にしてるのはお前達じゃないのかドスン!!仲間全員逃げず騒がず、結構だが【ノア】が落ちてきて確実ひ命を落とすのはお前達人間だ——————キサマが人間かどうかは知らんがな」
「我らがリーダー、マスターはいずれ最高の英雄になられる人!!——————それを信じていれば何をジタバタする事がありますか!?——————さァぼくも任務を果たすといたしますか」
モフはポケットから小さな水晶玉を取り出して、グローブで握り割る。すると中からぞわぞわと黒いモヤが出てきてそれが全身を包む。
「——————ぼくが持つ最高の技——————特別意匠······ですっ!!」
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「うい〜〜!!おい待て刀を失った〜〜!!」
「·····················」
「一体どうやって戦えば······ウィ〜〜」
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「ムッピ!!」
「じゃらくさいな、ここで一発。『大技』のお披露目で決めるか!!」
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「これれどうら!!驚いたか!?」
「あ〜〜〜もう充分だ······いやー驚いた!!」
「ぐふふふふ!!そうか」
「じゃあ······勝負をつけようぜ、リュウギョウ!!」
「そうじゃのう」
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「うわあ〜〜〜!何だあの怪物!?」
「シャー〜〜!!こんな奴いたか」
「モフ!?」
「GUAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAA!!」
黒いモヤが晴れた頃にはモフの原型は白い毛のみで、今では全身が5メートルを超える熊に変わっていた。
「あ······あのチビ、急にデカく······」
「おい!!ちゃんと意識残ってるんだろうな!?」
あまりの巨体に岡田が慄く。あれほどの巨大な手で潰されれば跡形もないだろう。
するとギロリと熊が睨みつけ、岡田の全身がゾワッと震える。
「——————大丈夫ですよ!!ともきさん!!」
「は??」




