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アキヒトバトルアドベンジャーズ  作者: モフきのこ
第1章 『出会いと別れの一年間』

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EX.119 「【ノア】落下①」

「ディザスター船長!!」

「E·Aいくつも飲んで化物になったのに!!」

「いや見ろ!!やっぱ体はタフだ!!」


「ヴォア〜〜〜〜!!」


「頑丈だなあいつ!!」


雨のように降り注いだ瓦礫を跳ね除けディザスターはアキヒトの能力を加えた蹴りを耐えきった。


「魚人空手を知ってるか!!?」


「え?」


ディザスターの平手が大砲の如くスピードでアキヒトの首から上を飛ばす。


「やったァ!!一撃で······」


喜びも束の間千切れ飛んだ切れ口からぐむぐむと頭が再生していく。


「悪いねぇ······俺は再生能力者だ!!」


「鉄の甲羅部隊!!」


「はっ!!」

「バカめ!拳カチ割れろォ!!」


「【ビックバン】!!」


「鉄が拳に負けたァ〜〜!?」


甲羅を凹ましながら前衛に出てきた魚人達を吹き飛ばし、ほんの少し赤くなった右手を払いニヤッと笑う。


「チィッ!!——————【砕氷杭】!!」


「【ダイヤモンド·ロック】」


ディザスターの裏蹴りの威力よりもダイヤモンドの硬さの方が上回り、ディザスターは衝撃から苦悶の声をあげる。


「【クラックスタンプ】!!」


右足を鉄球に変化させてディザスターの右足を軸に踵落としを頭にぶつけた。


「ぐぁっ······!!【矢付鮫】!!」


「くろう······」


『了解シタ』


【レッドアイ】を発動したアキヒトに、さほどの弾幕を持たない【矢付鮫】はさして影響しなかった。

そのどれもを紙一重で避けぬけ腕を振り抜いたディザスターの懐に潜り込む。


「【ビックバン】!!」


流星の如く淡き光を纏った拳が直撃し、振り抜いた先にはディザスターごと壁をぶち抜いた。


「アキヒト様······なんてお強いのでしょう······!!」


「スゲェよあいつ!!」

「あれが魔王を倒した人間の力か!!」


直後。

フッと天井に陰が生まれる。

人々が見上げた先には魚人島を覆い尽くす程の巨大な船——————【ノア】が今まさに魚人島に振りかかろうとしていた。


「魚人島上空になぜノアが!?」

「明らかにこの大広場に向かってる」

「島のシャボンを突き破ろうとしてるぞ!!」


「シャボンが割れたら······!!【ノア】が衝突する前に水圧で居住区なんて吹き飛んじまう!!」


その異質な光景は、魚人島マンハッタン大広場で暴れているセブン·ウォーリアーズの目に映る。


「何アレ!?」


カレンの目先では船首辺りしか見えないが、その一部分だけでもあまりの巨大さがわかる程。


「あんな船がぶつかれば島ごと砕けるぞ!!」

「一体誰が動かしてるんだ!!」

「いや······!!【ノア】に動力なんてネェはずだ!!」


「避難しろぉ!!島の外の海中まで!!」


「——————ん?」


暇を持て余したとは言わないが、半ば残党刈りをしていたハルトは太陽の黒点のような黒い物体が船から落下するのを目にした。


「ホゲ—————————!!」


戦線極まる大地に落ちてきたのはチョウチンアンコウの魚人でありエドワード·ティーチの部下——————フジワラだった。


「痛ったぁ〜〜!!足滑ったぁ〜〜!!エドワード·ティーチ船長〜〜!!おれが落っこちまったよぉ〜!!船を止めてくれ〜〜!!おれ死にたくないよ〜〜!!」


「どう云う事だ!!」


「ディザスター船長!!無事ですかぁ!?コリャなんかの作戦ですかァ!?ティーチが船を動かしてる模様で!!」


「黙れ役立たずども······!!くそ!あの野郎め······!!」


「何なんだあいつの頑丈さは······!右手とはいえビックバンを撃ったんだぞ!」


「ティーチだと!?あのイカレ海賊!!こんなもん作戦にゃねぇよ!!」


『バハハハハ!!フジワラァ〜〜!!お前を助ける事はもう不が能!!この能力で飛ばしたものは何かに激突するか、標的を仕留めるまで止まらねぇ』


そしてそのターゲットは——————、


『この魚人島と共に!!テティスの死に供えられる生け贄となれぇ!!』


「テティス姫······!?まさか、手紙やオノの様にティーチが【ノア】を()()()のか!?」


その最中でもノアによりシャボンは凹み続け、限界を迎えようとしていた。


「もうだめだぁ!!シャボンがもたねぇ!!」

「おいテティス姫はどこへ行った!?いねぇぞ!!」


「何じゃと姫!!」


リュウギョウが咄嗟に後ろを確認するが、そこにはメガロと共にテティスの姿はなかった。


「何を!?テティスが消えた!!?」


「わたくしなら——————ここです!!」


遥か上空。ノアとシャボンがぶつかる隙間にテティスはメガロに乗ってさらに上へと向かっていた。


「テティス姫っ!!」


「テティス!何であんな所に!!」


「要するにあの船は姫に向かって飛んどるんじゃ!!——————いかん!姫を一人で行動させてしもうた!!」


「あなたの『ターゲット』はわたくしの命ではございませんか!!」


テティスはメガロの背に立ち。ノアを食い止めるように両手を広げる。


「わたくし一人の命を奪う為だけに!!リュウグウ王国の皆様まで巻き添えになさるのは······やめて下さい!!——————わたくしならこちらに!!」


「人魚姫様っ!!」

「アァ······!!おれ達の為にそんな!!」

「何とかお助けできねぇか!!」


「おぉ、何と美しいんだテティス!!その身一つにこの災害を引き受けて、国を守ろうというのかテティス!!」


「つまり······あのイカレティーチの野郎······。一度は島ごとおれ達をブッ潰す予定だったんだな。裏切りやがって······!!」


「その美しきままに死に我が胸に永遠に生きるがいいテティス!!」


ティーチの持つナイフが能力により、テティスの肩に直撃する。

その時にはテティスは島を取り巻く二重膜の一枚を抜けた頃。ノアが魚人島ではなく平行に動き出す。


「テティスのやつ!遠くへ行くなっていったのに!!」


「あれ!?ディザスター船長!!」

「ディザスターさんがいないぞ!!」


凹んだ壁にはアキヒトに殴り飛ばされたディザスターはなかった。


「空を見ろ!!鎖のあそこだ!!」

「【ノア】の船底に捕まってる!!」


「フザケやがってエドワード·ティーチ!!——————だがこれは()()()だ!!」


「ハルト待て——————俺が飛ぶ!!お前らこのひろを頼む!!」


アキヒトは【スカイウォーク】で飛び立とうとしていたハルトを捕まえた。


「わかった!——————いいがアキヒト!!船は水の中だぞ!!」


「船の中も水かなリュウギョウ!!」


「判らんが少なくともティーチは半人半魚。奴が動ける程度の空気はあるハズ!!行くならこれを!!シャボンの出るサンゴじゃ!!」


アキヒトは筒状のサンゴを受け取ってハルトの立つ高さまで飛ぶ。


「じゃあ【スカイリープ】の要領でお前を飛ばす!!テティスちゃんを頼むぞ!!アキヒト!!」


「わかった!!頼む!!」


「アキヒト!!ディザスターに気をつけい!!海中では魚人と人間の能力は段違いじゃ!!」


「海に飛び出させちゃマズイ······!!強すぎず弱すぎず······!!【スカイリープ·シュート】!!」


ハルトによりロケットの如く飛び出したアキヒトはシャボンの一枚目にぶつかり急ブレーキ。その後はスポンとシャボンを抜けていった。


「あっちょっレインボー!!」


『掴みます!!』


アキヒトは手を伸ばし、レインボーはそのに応じてオーラをさらに伸ばす。龍の爪のように広がった手で船底にぶら下がった鎖をガシッと掴みアキヒトをそれに引き寄せる。


「っか〜〜〜!でっかい鎖だなぁ······!!ここは······シャボンとシャボンの間か!!」


アキヒトが下を向くと同じく鎖に掴まるディザスターの姿。さらに——————


「みんなで引けぇ!!止まらなくても!!姫様に追いつく速度を少しでも······!!ほんの少しだけでも速度を落とすんだぁ!!」


さらに先、鎖の先端辺りで戦いを見守っていた魚人達がテティスが進む方向と逆に引く。


「姫様今の内に安全な場所へ!!」


「······ハァ、ハァ、皆様!!」


「正気かよオイ······。1ミリも動くわけねぇだろう······」


「おい!やめろ!!」


「【矢付鮫】!!」


ディザスターの腕に滴らせた水滴を銃弾のように弾く。


「うわぁあああああ!!」

「ギャアアアアアア!!」

「キャアアアーーーー!!」


「ごみくず共······!!お前らみてぇなフヌケがいるから魚人族がナメられる!!」


その銃弾に魚人達が撃ち落とされていく。


「あの野郎!!」


しかし希望のバトンは間に合った。

龍宮城への出入口は開いたままで、テティスはのびた連絡廊から海に出る事に成功した。


「【ノア】が動くぞ!!姫様遠くへ!!」


「うお!!上がる!!」


テティスの動きに連れてノアは上へと動き出し、掴まったままのアキヒトは海に出た直後、反射的にサンゴから空気を取り出す。

ひと一人入る程の大きさのシャボンに潜り込むように入る。しかしその時に手を離し、鎖から遠ざかってしまった。


「わ!待て鎖!!」


「右も左も海だらけのこの世界で、海中で呼吸すらできねぇ『人間』が——————」


「なっ!!」


ディザスターはアキヒトの背後。アキヒトに殴られた頬を舐めり、


「英雄の王者になれるわけがねぇ······!!助けを乞え下等種族!!」


獲物を見定めた目でアキヒトを睨んだ。


             @@@@@


「バハハハハ!!テティス!!自由はどうだ!?10年間お前を守り続けた塔の壁はもうないぞ!!流血の末死ぬのが先かぁ!!この巨船に押し潰され、死ぬのが先かぁ!!」


ティーチは懐から合計8本のナイフを取り出し、標準を向けて——————投げる!


「最後にもう一度だけちゃんをやろうかテティス!!YESならば今からでも命を助けよう!おれと結婚しろ〜〜〜!!テティス〜〜!!」


「どうかお許しくださいませ!!ティーチ様ぁ!!タイプじゃないん——————!!」


ティーチのナイフがテティスに当たる直前。突発的に生まれた陰に弾かれる。


「お前との結婚なんかおいら達が認めるか!!」

「我らのたった一人の妹れ指一本触れさせんぞティーチ!!」


そこにはボロボロになりながらも妹の為に立ち上がった兄二人の姿が。


「チョウボシお兄さま!!リュウボシお兄さま!!」


「バハァ〜〜〜!?お兄さま達ィ〜〜!!」

「誰がお兄様だ!!」

「今まさにテティスがおれとの結婚を決めかけていたのに!!」


「え〜〜〜ん!お兄さま方ぁ〜〜。先程広場の皆様がっ······わたくしの為に······!!」


「テティス!なくのは後にしろ!」

「え!?お兄さまが怒って······」

「怒ってない!!」


「父曰く!!あの【ノア】は傷つける事も許されぬ船ソラシ!!したがってどこかにぶつける事なく海底へ戻さねばならない!!」


「とにかく海山や海溝のそばを泳いではダメだ!!」


「——————ではどこへ逃げれば!?チョウボシお兄さま!!」


「上だ!!海底は障害物が多すぎる!!」

「おれ達はティーチを打ち取るぞ!!」


             @@@@@


「逃げられやしねぇぞアキヒトォ!!」


アキヒトの絶体絶命の窮地を助けたのはネプチューン家長男ウバボシ。ウバボシはアキヒトの背に乗せてディザスターから逃げていた。


「ありがとう!助かった!!傷大丈夫か!?」


「苦しんでる場合ではない······!!」


しかし既に荒い息を吐くウバボシの容態は医者でなくともわかる程の重体だ。


「【キリサメ】」


「!!」


ディザスターは巨大な刃を背びれに取り付け、E·Aで強化されたスピードで駆け抜ける。


「左!!」

「ぬっ!!」


かろうじてよけたその先に、優雅に泳いでいた魚や岩すらも切り裂いていくディザスターが前を駆ける。


「戦い易い船の甲板に行ってくれ!!俺はディザスターとティーチを倒さなきゃいけない!!テティスと塔を出るとき約束したんだ。外では俺が守ってやるって!!」


『我ら3人父上のような大戦士になり······!!テティスを命かけで守ります!!だからどうかご安心を!!』


「約束というなら······我々もそうさ······!薬一つであんなゴロツキに歯が立たんとは情けない!!すまんアキヒトよ······!私達はお前を疑い······!!」


「いいよそんなの!甲板へ頼む」


「甲板に用か!?先に行くぞ」

「······?ディザスター」


アキヒトの言葉を耳聡く聞いたディザスターが真っ先に泳いでいく。


              @@@@@


『【ノア】の甲板』


「ん?おお!!ディザスターバハハハハ!!ネプチューンはどんさうだ殺したか!?おれは今この【ノア】でテティスをいたぶってる所だ。いいアイデアだと思わねぇか!?なァ兄弟!!」


「アァ——————」


ディザスターはニヤリと笑い、三叉槍をティーチの腹に突き刺した。


「お前が死ねば——————この船はどうなる?ティーチ」

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