EX.118 「10万人vs9人」
「【セブン·ウォーリアーズ】は人間だけど味方だよね!!」
「テティス姫がアキヒトに助けを求めたぞ······!!」
「リュウギョウ親分と一緒にこの国を助けに来てくれたんだぁ!!」
「アキヒトォォォォオオオ!!」
「フフフ······ずいぶんな人気じゃあないか······。王を一旦奪い返せたくらいで図に乗るな!!人間のぉ······」
「これが人魚姫!?俺はあの赤髪の——————」
「それはアリエル」
「みんなぁ〜〜!俺がこの二人を助けたんだ!褒めろ!!」
「ハイハイ」
「バァ〜かおれ達は自力で出口まて来てたろ」
「それは俺が頑張ったからだ!お前達ッ!!」
「さっきのクジラさんはなに?」
「途中で見つけて船引いて貰ってたんだ」
「そうだ。岡田、お前かぐやさんの新兵器貰ってたんだ」
「今更ぁ!?」
························。
「無視された!!」
「わざと小さな声で言ったからな」
「テティスの奴、危ないぞ」
「捕まった事自体計画外じゃ······一人逃がすのもな」
むしろテティス姫はここにいた方が安全じゃ、とリュウギョウは言った。
「はいコレ書状!」
そう言って先程スッた貴族の書状をテティスに手渡す。
テティスは両手で受け取り、大事そうに抱きしめた。
「申し訳ごさいません。わたくしが勝手に真実を胸の内に隠していたばかりに······」
「ええんじゃ。お前さんはそのままでええ!!」
テティスが——————おそらく、あの勇気ある行動について謝ろうとしていたことをリュウギョウは止めた。
「憎しみを受け継がん······これこそ偉人達の願い!!お前さんに息づいたその小さな『芽』がいつしか島中に広がり、皆が同じように考えられる日が来れば、その時はもう争いはきえ、魚人と人間のしがらみなどなくなる事じゃろう······」
「リュウギョウ親分様······」
「耐え忍んだお前さんの数年間を否定する為じゃない。たった一人でくる日もくる日も懸命に守り続けたその小さな『芽』を今度わしらに守らせてくれ!!」
「······はいっ!ありがとうございます······!!」
「使えねぇ男だったぜエドワード·ティーチ······!!」
自身を埋めた瓦礫を投げ飛ばし、苛立ちを隠さないまま立ち上がる。
「テティスだけは一刻も早く始末する必要がある。——————まんまと引っかかった様だリュウギョウ······!あんたが大人しく捕まってる時点で気づくべきだった」
ペッとディザスターは赤い唾を吐き出して、
「人間達と仲がいいんだなァ!お前みてぇな奴がおれは一番嫌いなんだよ!!共に魚人街で育ったハズのロジャーも、弟分ライダーも『人間』にやられちまったってのに!!その仇を討つどころか張本人と肩を組むとは、ネプチューンにも劣らねぇとんだフヌケ野郎だ!!——————おれがこの島の王になれば全てを変えてやる!!今年開かれる『世界均衡』は絶好のチャンスだ。世界中の人間の王達を【世界の大陸】で血祭りに上げ、恐怖の『海底王国』の伝説は幕を開ける!!」
「おれこそが真の『英雄の王』にふさわしい!!」
「ヒーロー······?」
「シャハハハハハ!吹けば飛ぶ様なたった9人の人間に何ができる!!こっちは10万人だぞ!!やっちまえ······【新·解放軍】!!」
「うぉぉおおおぉぉおおおおお!!」
景気よく荒くれ者が『マンハッタン大広場』のちょうどど真ん中で待機している巨大船の周りに立つ俺達に刃を向ける。
「ギャーー!怒声が聞こえますーー!!」
「ちょっと!サッサとみんな出なさい!!」
「こっちは新兵器のメンテしてんだよ!!」
「——————こっちは9人。一人頭が1万1000なんぼか······」
「数いりゃいいってもんじゃねぇだろ。精鋭でもあるまいし」
「ん?」「おいアキヒト!!」
前線。
いやちょっと小走りで届きそうな距離をアキヒトは優雅に歩いていた。
「黒鬼」
『おう!!』
幻覚の姿で、アキヒトの頭を支えて黒い鬼がせり上がる。
半身だけでアキヒトの全身に届き得る程の大きな巨体が大きく息を吸って——————!!
『テメェら!!ガキはガキらしく眠っとけエエエエエエエ!!』
自然災害。暴風の音を超える声量で黒鬼は叫ぶ。
その叫びは一人の全身に振動し、細胞全体が『死』を感じ、みずから意識を閉ざす。
泡を吹いて倒れる者は、まるで連鎖するように増えていき、まるで死神の声のように、聞きし者を昏倒させていく。
「ぎゃああ何だコリャ〜〜〜!?」
「何もしてねぇのにどえらい数やられたぞ〜〜!!」
「おいしっかりしろお前ら!!」
「畜生!!一瞬で······半分はやられたぞ!!」
「ご······5万人!?何しやがったあいつ」
ある範囲の向こう側まで意識の途絶が広がり、円を持って膨れ上がった叫びがものの一瞬で倒していった。
「これが······みんなの言っていた『王の咆哮』!?」
「頭がふらふらする〜〜」
「俺達3人で宇宙行った時は出来なかったよなアイツ」
「つまり体で学んで実行できるようになったか······まァこれくらいやってくんてねぇとリーダーは交代だ」
「ディザスターって言ったな」
「!」
「お前は俺がぶっ飛ばさなきゃなぁ······。お前がどんなとこでどういう『英雄』になろうと勝手だけどな」
アキヒトは——————
「『英雄』の王は——————一人で十分だ!!」
地面を強く叩き、アキヒトは空を舞う。
虹のオーラを膨張させ、巨大な右手の拳を作り出す。
「邪魔するなら——————何万人でもかかって来いぃぃぃ!!」
全身を強く強打。たとえそうしなくても巨大な塊に向けた拳はその場の集団を吹き飛ばしていく。
ゴングは鳴った。
「よし行こうか」
「降参が先か······全滅が先か······」
「壊せやしねぇ······マーメイドカフェを!!」
「この国には重要な歴史が眠ってるしね」
「もぎゅもぎゅ〜〜!熱いですよぉ〜〜!!」
「サァお前ら!俺が先陣を斬る!!特訓の成果を見せろぉ!!」
セブン·ウォーリアーズ。敗北からの再戦が始まる。
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「5万人やられようが!!まだ5万人の兵力がある!!【セブン·ウォーリアーズ】こそが我々の野望を打ち砕き続ける宿敵!!そしてリュウギョウこそが!!オトヒメの理想とする。人間との友好の中に生きる魚人族の『最悪の未来』の住人だ!!」
「ウオオオオオオオオオオオオ!!」
「············!!こんな広場の真ん中で······。そこの人魚姫。守れるもんなら守ってみろォ!!」
ライフル弾のように一直線に伸びていく【撃水】の標的はテティス。彼女は自衛する手段を持ち合わせていなかったが、
ドォン!!と彼女に届く数センチで弾けとんだ。
「おっといらねぇ心配だったか!」
アキヒトは思わず出しかけた手を直しこむ。
「!!?怪物に覚醒したディザスター船長のあのめちゃめちゃな【撃水】を——————!!」
「——————同じ【撃水】で弾き返した!!あの男もやっぱり怪物だぁ!!」
「フン······何をして力を得たのかは知らんが、ヒヨッコの技じゃ······」
ポタポタと流れる雫を放って、空手のモーションを紡ぐ。
「ごちゃごちゃ言うとらんでかかって来い!!姫の命を取れる時はわしらを全員倒した時じゃ!!」
「砲撃部隊!!テティス姫を狙え〜〜〜!!」
「テティスを虐めようとするのは私が許さない!!」
銃口の標的がテティスに向けられたのを察したカレンが地面に魔法陣を作り出す。
「【ファンタジア·ハルシネーション】!!」
「うわあああ!?何だこの怪物は!?」
彼女の目で見られた魚人達が皆、骨の怪物に喰いつぶされた幻覚を見た。
「俺達夢でも見てるのかよォォォォオオオ!!」
「さあ、黄泉の怪物達!そこの魚人を食いつぶして!!」
「やめろ······ヤメッ、ギャアアアアアア!!」
幻覚は肉体には脅威は及ぼないが、精神に影響を及ぼすもの。『脳』を操られた彼らは皆、カレンの頭の中で作られた未知の怪物になす術なく倒されていく。
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「やれ!鉄の甲羅部隊!!」
「ウオオオオオオオオオオオオ!!」
バックシールドの甲羅バージョンを片手に前線に立つ。
バイキングのような見た目をした彼らに対するのはユウスケ。『時雨刀』でも斬るのが困難な鉄でも今のユウスケの前では紙に等しい。
「時雨流······総集ニノ型【螺旋·水龍】!!」
時雨流の全てをまとめた奥義の一つ。竜巻で出来た龍に触れた『斬れる龍』。その威力は鉄の盾が果物のように斬れる。まるで死神の鎌のように、その上——————
「止まらねぇ〜〜よ!!」
「どこまで追って来るんだぁ!!?」
「——————地獄の果てまで」
「なァ!?」
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「バブルの高度を上げろ!!」
バブルサンゴで浮き輪を作り、空高く飛んでいく。
「空から行くぞ!!テティス姫を仕留めろォ〜〜〜!!」
「ハリセンボン部隊であの足技男を串刺しにしろぉ!!」
空高くから前後左右から全身に棘を纏い膨らんでいくハリセンボン。
「サァもう逃げ場はねぇぞ!!」
「ハルトくんれ危ないよ!」
カレンの目の先には、空をただ見つめるハルトの姿。
思えばおれがかぐやさんに課せられた修行は懐かしい。
怪物群れる大陸に放り投げられ、力も足りないおれは逃げ続けた。
雨の日も雪の日も、暴風吹き荒れる日も逃げて逃げて——————ある日とうとう逃げ場を失った。
おれの出せるスカイウォークじゃたどたどしくて逃げられなくなったと思ったが——————
「足技男!討ち取ったりー!!」
フッとマジックで消されたようにハルトの姿がなくなり、ハリセンボンの魚人達は同じ種族同士でぶつかり合い自滅していった。
(おれの足は、より早く跳べるようになっていた!!)
瞬間速度が最も速いハルトの新技である【スカイリープ】で空に飛び立ち、空中待機を成長しより安定した【スカイウォーク】に匠に変え、より空を飛んでいるように成長した。
彼が向かったのは、空から向かう魚人達。
【スカイリープ】で超加速し魚人とテティスの間に滑り込む。
「ようお前らテティスちゃんに話があるなら、まずおれを通して貰おうか!!——————【悪魔の調理術】!!」
脚を赤く燃やし、鞭の様に脚をしならしながら——————放つ。
「【火炎鍋】!!」
脚を火薬を増した機関銃のように乱れ撃ちで燃える様な連撃を食らわせ地面に落とした。
「【万国不動の城壁】!!」
地に落ちた魚達を仕留めるのは吉田が作りし岩の巨神兵。
「【スタンプ】!!」
「ギャアアアアアアアアア!!」
ギギギギと腕が上げられ、潰すように落とされるゴライアスの両腕に潰された。
「よし!俺たちも突っ込むぞモフくん!!」
「モフッ!!」
岡田は正確に彼らの膝を撃ち続け、モフは岡田達に近づく魚人達をあらかた倒していく。
「なんだこのチビ!強えぞ!!」
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「山本ォ!!」
「なんだアキヒト!!」
「——————テティスを守れ」
「······了解リーダー!」
前線を駆け抜け、少しばかり披露が見えるようになったのか、山本は俺の言う通りに戻っていってくれた。
戦線は——————おそらく俺の後ろで行われる。
ならば俺は後ろのテティスを皆を信じて走り出すだけだ。
「——————アキヒトが来るぞ」
「仕留めろぉ!!」
「お前達じゃムダドスン!!」
「おれ達に任せるっピ!!」
「「船長の所へは行かせぬぅぅぅぅうう!!」」
アキヒトは避けない。
その代わりに——————、
「「リーダーの邪魔はさせねぇよ!!」」
方やユウスケが、方やハルトが敵の猛追を止める。
「来るかアキヒトォォォォオオオ!!」
「アキヒトを止めろ!!」
「あれ?消えた?」
レインボーの『青』の素早さで二人が止めた現場からすり抜け、止まるのは約1、2メートル前。
彼の足は——————、
「燃えてきた!!」
遠く離れていたディザスターに届いた。




