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アキヒトバトルアドベンジャーズ  作者: モフきのこ
第1章 『出会いと別れの一年間』

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EX.114 「8年前の断片」

「アキヒトくん······!!リュウギョウ!!ちょっと待ってよ。なに言ってんの二人共!!」


「俺は龍宮城に言って仲間を助けて、ディザスターってやつをぶっ飛ばすんだ!!」


「それを待てと言うとるんじゃい!!」


意見の不一致。


「コラコラ何でケンカが始まるんだ」

「やめてください二人ともー!!」

「アキヒト様!リュウギョウ親分様!!」


互いの譲らぬ意地で睨み合っている二人に山本を始め四人が止めようとする。


「くそっ、アルガ!!龍宮城まで乗せてくれ!!」


俺はリュウギョウに根負けはしたが、彼の言葉に従う気はなかった。


「【近衛瓦正拳】!!」


「ん!?」


俺と彼の距離は遥か遠くとは言わずとも、目を凝らして睨み合う距離はあったハズだ。

なのに、彼の拳から波長が生み出された如く、殴り飛ばされた。


「アキヒトちゃん!!」

「え〜〜〜〜!?」


くっ······痛っ!!


頭だけでなく全身にハンマーよりも硬いもので殴られた感触。


「え!?当たってる!!あれだけの距離があるのに!?」


「近衛空手の真髄は辺り一面の『水』の制圧······!!大気中の水から体内の水へ······衝撃の波動は駆け抜ける!!生物は水の塊!!たとえお前さんとて容赦はない!!」


そうだった——————こいつは!!


親父と共に、大戦を生き残ったヤツなんだ!!


「【ブレイブ】——————!!」


だったら出し惜しみはしない。

水みたいに、流れるように足に力を入れる。

能力——————『ファイヤ』!


「【スプラッシュ】!!」


足のスピードに炎の逆噴射による補足を加えて威力を増させる。


「ぬん!!」


リュウギョウは俺の挙動よりも速く両腕を重ね蹴りをガードする。

黒く腫れているが、アレはただの燻った灰か何かの汚れだろう。


「お前さんの実力はこんなモノか!?」


そう言って俺に向かい駆け出すリュウギョウ。俺もそれに応じて駆け出していた。


【覚醒】か——————?いやここは『レインボー』だ!!


「そこまでね」


「「え!!?」」


瞬時に現れた人物に俺は驚く。この瞬間に俺は瞬きはしていなかったハズだ。現にリュウギョウだって驚いている。

だが、スピードは止まらない。


「おい!退いてくれ吉田!!」

「誰じゃ!!どけい!!!」


「吉田が危ねえ!!」


山本が真っ先に飛び出して助けにいく。

俺とリュウギョウの互いのスピードがあったものの、山本はロケットの如く勢いでたどり着き押しだ——————。


「なっ!?」


山本が吉田の体に触れる直前。ガラガラと吉田の体が崩れだした。


「「「ぶへっ!!」」」


不幸なことに、吉田と代わりに間に入った山本が俺とリュウギョウに拳を受けることとなった。


「あれ!?何で吉田さんが森の中から!?」


スタスタと歩いてきた吉田が、その手にしたメイスを直しながら言った。


「事情はわからないけど、味方なんでしょ?ケンカはダメよ」


回答は返ってこなかったが、吉田自身の能力を使って止めようとしてくれた事は分かった。


その中、リュウギョウは殴られ赤く腫れた頬を擦り(今度こそ痛そうだ)、あぐらをかいて言った。


「考えてみろ!!アキヒト······!お前たちがそのまま魚人島で暴れたらどうなるか······!!」


「························」


「魚人島はこれまで人間に心を開こうとする度に、『人間』によってそれを邪魔されてきた。『人間は凶暴な生き物』『人間は魚人を蔑みきらっている』。重ねた歴史か魚人族にそんな卑屈な考えを植え付けてしまっているのが現実······!!ライダーの一件も、ライダーが魚人だから人間に狩られたと、そん考えておる者も少なくない」


リュウギョウはそう断言した。


「——————そこへ重ねてライダーを討ち取ったお前さんが再びディザスターとぶつかればどうなる⁉結果······この危機から魚人島が救われるとしても——————人間に盾つくディザスターをまた打ちのめそうとするお前さんらの姿は魚人島の皆に、変わることのない『歴史』を連想させる······!!」


「······!!とはいうがリュウギョウさんよぉ······」


この場で黙らなかったのはアキヒトではなく、ハルトだった。


「捉まった仲間を助けるのは当然の事。このまま放っときゃ魚人島もディザスターの支配下に落ちる。この島にゃおれたちの恩人がいるんだ——————」


「························」


「おいルゥ······」


ハルトはむくりと起き上がり、背後にいるルゥに話かけた。


「お前、そのケガ誰にやられたか頑なに教えてくれねぇが——————さっき言ってたな。ディザスターは人間と仲良くしようとする魚人にまで手をかけるって——————お前······おれたちの味方をして、あいつらにられたんじゃねぇのか······⁉」


「ルゥくんそうなの!?ディザスターにやられたの⁉」


『ライダーの意思がここに生きてる限り。おれはあいつらに会わせる顔がねぇ!!』


「······ニュ〜〜それは······」


ルゥは言い淀んだが、その代わりに小さく頷いた。


「リュウギョウ!!アキヒトにとっちゃあ······。ここがお前の国だって事も理由の一つだろう。この島を素通りはできねぇ······!!」


「おれたちには戦う理由がある!!」


ハルトは少しスッキリしたように立ち上がった。


「リュウギョウ······。お前にゃあ知らねぇだろうが。おれたち【セブン·ウォーリアーズ】は【守る】為に作られた集団だ。その核たるこいつは人が無関係に傷つけられる事を最も嫌っている」


「まあだからこそ、おれたちも賛同したんだがな!」


ハルトの言葉に今度は山本が言った。


「アキヒトがなんとかして、助ける方法を考える。たまに暴走はするが、そうした方が得だと考えた上でああやってるんだ」


「まあ、それは結果論だけどね······。でもそれは否定はしないわ。実際そうだったし、これからも多分そう······。そう簡単に諦めないのよ、この男は。理由を求められたら、そうね······私の左下でへたりこんでいるこの子が、アキヒトが動かなかったらここにはいない事ね」


輪廻はすでに狂ってるのよ——————彼女はそう言った。


「ねぇあなた。······リュウギョウと言われているあなたは、戦う結果は、その理由はどうだと思う?」


難解のぅ······とリュウギョウは顎を擦り考える。


「【生きる為】じゃ······」


「そう、生きる為よ。利益なんて頭の固い上層部に任せておけばいい。私達は生きる為に戦っているのよ。そしてその上で【人を助けて自分も生きる】——————【英雄】に憧れたの。アキヒトは戦線に向かう私達にね、いつも言うのよ。『意地でも生きろ』——————と」


「!!」


「だからこそよ。私達が生きる為に、あなた達魚人族を利用させてもらうのよ。悪く言うとね。——————私達は【英雄】だ。アキヒトによって集められた人間達だ。リュウギョウ、私達はね殺戮を求めているんじゃない。目の前で傷つく、傷つけられる人達を助けようとするのよ。なぜなら——————」


「私達は『善』じゃない。だからって『悪』に墜ちる事もない。『()()』で頑張ろうとしているのよ」


「じゃが——————」


「待って。あなたの言いたいことはなんとなく分かるわ。人は一人には厳しいもの。私は一番聞きたい人がいるの」


「ねぇ、カレン」


「!!」


「あなたはどう思う?」


緊張で震える体を意地で押さえつけているものだった。

皆の話を聞いてから、心の震えが止まってはくれない。


「あ、あう······あ······」


乾燥しきった口からは掠れた声しかでない。


私は何の為にこんな事を——————?


              @@@@@


8年前——————【アメリカ】


その広大な土地の中、巨大な山の中に彼女は今と同じようにへたりこんでいた。


「a、a、aaaaaaaaaaaaaaa······」


ぴちょんぴちょんと赤い雫が落ちていく。


巨大な男に掴まれた一番姉は動かない。


助け、て······。


遠い何者でもない存在にすがるしかなかった。


余島カレン——————6歳。


アキヒトと出逢う。数分前の話。

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