アキバトEX 「年末年始(年末編)」
この話はアキヒトバトルアドベンジャーズ第1章サードシーズン(冬のイベント編)の話になっています。
年末ですね。
現在私は、そう思いながらスマホをポチポチと触りながらそう思います。
私の地元アメリカでも、年末と言うイベントはとても華やかに行われて、その日は家族皆でニューヨークに遊びに行くことが多かったです。
「はぁ······」
ため息をつくのも仕方ありません。
アキヒトくんもユ〜ちゃんもどちらもこの部屋にいませんから。
アキヒトくんは、年末だけは家族皆で年を過ごすと言っていて。
ユ〜ちゃんは、年納めに一日かけて本を片付けると言っていたから、折角サンタさん(アキヒトくん)から貰った包丁でより上手に料理したから二人の反応が期待していたのに······。
ってそれよりも、セブン·ウォーリアーズの全員家族や自分優先しすぎでしょ!?
たまには全員でパーティーしてもいいじゃんか!
「う〜〜〜〜〜〜〜!」
私がゴロゴロしながら呻いていると、机からポロリと一枚の写真が落ちる。
「ふむ」
私はそれを頭で受け止め、それを拾い上げる。
その写真に映っているのは、アキヒトくん率いるセブン·ウォーリアーズ結成時に撮った写真だ。
真ん中にアキヒトくんがいて、その両端にユウスケと私がいる。
後ろにいるみんなも笑顔で、珍しくユ〜ちゃんも頬を綻ばせている。
「ふふふふ······」
これはいつも机の上に置いていて、勉強の合間の癒やしの一部として見ている。
「あっ、そうだ!」
私は魔の装置であるコタツから這い出て、小さな勉強机の隣の棚から国語辞典とノート一冊を取り出す。
私は一応ここに来てから、ここの言葉を覚える為に国語辞典を読んで、勉強している。
むむむ······やっぱりここは漢字辞典を読めば良かったのか······?
そう思える程に漢字自体が読めない事が多かったのだが、アメリカに住んでいた時に覚えたひらがなとアキヒトくんたちにヘルプをして徐々にだが覚えていっているのだ。えっへん。
ピロン!
「······なんと!」
私はコタツに置いていたスマホを拾いあげ、表示されている文字を見ると、アキヒトくんからのメッセージだったのだ。
『ちょっと電話で話さないか?』
ラインに繋がったそのメッセージを読んで、私が『うん』と答えると。間を開けずに画面が電話モードになった。
その画面には、アキヒトくんがライン画面に設定しているらしい真正面のモフくんの写真が映されている。
私はそれに電話マークのボタンを押すと、そこから
『こんにちは、カレン』
いつも聞くよりも、より鮮明なアキヒトくんの声が聴こえる。
「あ、ああああああアキヒトくん!こんにちは!」
私が慌てて反応すると、フハッ!と笑い声があっちから聴こえる。
『なんだよ!そんなに動揺してさ!』
「あぅ······だって、いつもよりも声が近くに感じるからさ······」
『ふふ······そうだな。より身近に感じるよ』
そんな照れるような言い方止めてよ!
1分も話してないのに、顔が熱いのがフラフラしている自分で分かる。
私は「まっ、まぁね!!」と元気良く言うと、
「まあ······その、ごめんな。パーティーに参加出来なくて」
アキヒトくんはその事を深く反省しているようで、さっきとはトーンが低く聴こえた。
「大丈夫だよ!だってアキヒトくんも家族の用事とかあるしね!!」
私は気にしてないよ!と言うように、ぐっと明るく言った。
『そう言われるとありがたいな······。俺も母さんに行きたいとは言ったんだけどさ『中学生だし、仮に彼女がいて乳繰り合うならいいんだけど。友達とは危険だから高校生になるまでだめよ!!』って言われてさ······』
「ふふ、圭子さんの真似凄い似てる」
『む······そうか?』
もしここにアキヒトくんがいたら、少し照れて目立つ3色髪のどれかをくりくり握っているのかもしれない。
あと、乳繰り合うってどういう意味だろう?今度ユ〜ちゃんに聞いてみよう。
『この一年、色々あったな』
「あったねぇ〜」
確かにそうだ。
私にとっては、怒涛の1年だったと思う。
中学生に入ってから必死に単位を取って、日本に行けるようにお父さんを説得して、部屋を借りて貰って——————。
そして、アキヒトくん達と出会った。
もう、アキヒトくんはあの時の事は鮮明にと言う程には覚えていないらしかったが、私は逆に鮮明に覚えている。
そして、私には7歳だった頃のアキヒトくんも今のアキヒトくんも、両方ともたまらなく好きで、心を通じ合いたいけど、怖くて言い出せなくて。
『好きなら気持ちを伝えなくては一生伝わんないわよ』
とユ〜ちゃんは言ってくれるけど······。
『ん······カレン聴いてるか?』
「あ、うん!聴いてるよ!——————ほんと色々あったねぇ〜。例えばアキヒトくんのお兄ちゃんが魔王軍として現れたりさ」
『ああ〜。ガオウのことか······元気にしてるかな?あいつ』
アキヒトくんからは少し『せきりょうかん』と言う物を感じた気がする。
『あと、俺は天使達がチョッカイかけて来たことや、レインボーと出会えた事が驚きだったなぁ〜』
「そう言えば、私アキヒトくんとレインボーの出会いを聞いたことないな」
『話せば······短いぞ』
『なんでですか!!』と聴こえてレインボーがすぐそばにいることを理解して、言葉には一応気をつけておこうと思った。
ピロン!
電話途中に音が鳴って、何だろう?と思って、アキヒトくんに最近教えてもらった。電話最中でも他の機能を使える方法を使って、ラインのトーク画面に戻す。
そこには、モフちゃんからメッセージがあった。
『マスターの隠し撮りです』
その下に貼られた写真には、恐らくだけど私と会話をしているであろうアキヒトくんの表情。
いつものように髪を結んでいる訳ではなく、長い髪を垂れ流しにして、少し赤く火照っている顔がその写真には映っていた。
「ふふっ、あははははははははは!!」
『どっ、どうしたんだよ。カレン!』
「ふふふっ、なぁ〜んにも!」
私は笑いを隠そうともせずに、腹を抱えて笑った。
アキヒトくんも、おんなじ気持ちだったのかな?
少し照れくさくて、それでいてこそばゆい感じ。
そうだったらいいな。
——————
あれから、少し話した後『お兄ちゃん、お風呂湧いたよ!』と聴こえて、そろそろお開きなんだなと思った。
よく見ると時計の長針が電話を始めた時と同じ辺りを通っていた。
少なくとも一時間程は話していたんだ、と驚きと湧き上がる寂しさを感じた。
すると、
『そう言えば······さ。カレンの誘いを断ってなんだけどさ。明日、皆で餅つきやるから参加しない?』
と言った。
私は、うん!とはっきりと答え、こちらから切るべきなのかと思って耳からスマホを外すと、
『良いお年を、カレン』
「うん、良いお年を。アキヒトくん」
そう言って、電話を終了する。
未だにニヤニヤが止まらない。
ユ〜ちゃんにラインを送ると、『本読みの血が止まらない』と言うメッセージが届き、更に笑いが込み上げる。
明日、ユ〜ちゃんと一緒に遊びに行こう。
その前に初日の出かな?
私はそう考えながらテレビのリモコンを持って、アキヒトくんに勧められた番組の番号を押した。




