アキバトEX 「とある秋の夜」
「なぁ、俺ここらへんで寝るけど。他に寝たい奴はじゃんけんな」
「そんな、ドラゴンボールでしか見ないような岩上に寝たい奴はいねぇよ!!」
「じゃあ俺はそこの草むらで」
「寝袋今から配るぞ〜!」
俺は持ち運びが楽な、縮小型の寝袋を取り出して男のメンツに投げつける。
皆は器用に手のひらサイズのそれをキャッチして?キャップを開いて、かなりの大きめの寝袋をつくる。
インターネットを見て珍しく衝動買いしたが、性能は高めだろうと安心する。
「変態。私達のテントを作る前に男共の寝袋を投げつけるなんて最低ね」
「久しぶりの言い方と、どストレートな悪口ありがとうな!!」
「まぁまぁ、ユ〜ちゃん。アキヒトくんだって忙しいんだから、そんな言い方は······」
「何を言っているのよカレン。男なんて優しくしたらいくらでものし上がるのよ。かなり厳しめに行った方がいいじゃない。······あっ、そうか貴方はア——————ふぐぅ!」
「shut up!!」
俺は、カレンの止め方に不機嫌をもようした吉田が彼女の頬を抓っている様子を横目に見ながら、テントを開く。
このテントは俺の家にあった物なのだが、初心者用の簡単な物であり。プロのキャップ師がペンピグやハンマーを使うようなやり方でなく。傘を開くようにすれば簡単に立てられるお得な奴だ。
「よし······出来たぞ。お二人さん」
「えっと、その······あの······」
俺が簡易的にテントを開いた後に、二人の方を見るとカレンがおずおずを手を上げた。
「どうした?カレン」
カレンは指同士を触れて、おどおどとしながら、
「えっと······ね。贅沢を言うかもしれないけど、お風呂かシャワーを······」
「あっ、シャワーなら出せるぞ」
キッパリと言った俺に、目を丸くしたカレンに俺は手を皿にして右手を出した。
吉田は、不審な顔をして。
「何······?貴方の血で私達は湯浴みをしろと?」
「ちげぇよ!!『ウォーター』!!」
「はよ〜い!!ウォーターちゃんの登場ですよ!!······ケッ、レインボーさんはどっかで野垂れ死ねばいいのに」
「登場突然に何を言い出すんですかあなたは!!······いえ、私は大人ですからね。子供の妄言は一切耳に入りませんよ」
「ところでアキヒト様♡御用は?」
「聞けよ!!」
どちらが大人か分からない。
俺は、こらこら女のコがそんな乱暴な言い方はいけませんよ、と説き、レインボーを静かにさせる。
「ウォーターは確か、シャワーを出せたよな?」
「ええ、もちろん!『アクアランウェイ』を使えば一瞬ですよ!!」
「じゃあ、そこの二人の体をきれいにする手伝いをしてくれ」
「まあ、それはそれは······『シャンプー』も呼べばいいですね。ところで——————」
するとウォーターはカレン達をじっと見て。
「そこの、眼鏡と死んだ魚の様な目をしていておかしな髪飾りをしている人はいいですが、その隣は嫌です」
「いや何でだよ!?」
「何か······本能的にこの人は危険な感じがします」
「······じゃあ、危険人物に恩を売っておいたら良いんじゃないか······?」
突然拒否しだしたウォーターよりも、俺はさっきから放心状態で「おかしな髪飾り······おかしな髪飾り······」と呟いている吉田が不憫でならない。
ウォーターはもう一度あちらを向いて、
「そうですね。アキヒト様の言葉に一言あります。では、あちらに——————」
「ははは······ありがと·········」
カレンもカレンで自分の発言が最終的に吉田を傷つけるきっかけになってしまった事に罪悪感を覚えている。
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「························さて、レインボー」
俺は、頭上から、はい、と声が聴こえて後ろを向き構える。
「お前ら······そう言うのは修学旅行が定番だろ」
俺が見えている光景は、既に日が更けて暗くなっているこの地の中、それでもはっきりと見えるように不穏なオーラを発しているモンスター。
——————いや、この場では野獣と言うべきか。
俺以外の男メンバーが、寝袋からのっそりと立ち上がる様子だった。
「山本はそういう所真面目だから止める側と思っていたんだけどな」
「俺はこういうノリには弱いんだ······」
他の3人と違って山本は、それなりに抵抗はあるらしいようだ。
俺が二人と共に行かせたのはウォーターとシャンプーの二人。
恐らくだが、シャワーをする時はシャンプーの泡の壁くらいは作るだろうが、それでも屈折率は弱い。
ここで俺が止めないと······!!
「レインボー!『フェニックスフォルム』!!」
「あいさー!!」
レインボーはいつもの吸収されるタイプではなく、マントのように俺を包み込む。
「フッ······たとえ、お前と言う障害がいても。俺たちは乗り越えてみせる!!」
こんな時じゃなかったらカッコいいのにな!!
二人は足を踏みしめ、互いの掲げる正義の為にぶつかった。
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『加減はどうですか〜?お二人とも』
「ん〜〜、もうちょっと温度を上げてもいいかも」
ユ〜ちゃんの言葉にウォーターと言う妖精は、了解しましたぁ〜、と言って、肌に当たる水がより温かく感じる。
「しっかし、まぁ······あれね。胸無いね。修学旅行の時も思ったけどさ」
「胸の事を言うなら戦争になるよ!!」
私は色々貧相な胸を両腕で隠し、しゃがみこむ。
ユ〜ちゃんも言い過ぎたと理解してくれたのか、私の頭を撫でて、
「ごめんなさいね。言い過ぎたわ······」
「·····················今度、パーティーしてくれたらいいよ」
「分かったわよ······」
私の頭上からは、呆れた様な、子供をあやすような声で了承した声が聴こえる。
「しっかし······アキヒト様々ね。普通だったらこんな野外でシャワーなんて浴びれないわよ」
「でも、アスナは聖戦戦争の時は一週間くらいシャワー浴びれなかった事もあるみたい」
「ほんとに!?······それは辛いわね。聖戦戦争なんて徴兵されなくて良かったわ」
ユ〜ちゃんは心底安心したような声と顔で言った。
最近の事なのだが、私が言い続けた事なのかもしれないが、ユ〜ちゃんもアキヒトくんの事を『宮田』から『アキヒト』に変わっている。
まぁ、ユ〜ちゃんの事だから、「宮田だったら二人いるから、そっちのほうが時間短縮じゃない」と言いそうだ。
「でもさ······聖戦戦争って一体どんなものだったのだろう······?」
「そうね······。私達が認知している聖戦戦争の背景なんて、人が多くテロ並に死んでいった事と、その聖戦戦争に入った人の中にアキヒトとアスナがいることぐらいね······」
······アキヒトくんは、その時のことを大雑把にしか教えてくれない。
多くの人が死んだこと。
ちょうど1万人の人がこの戦争に巻き込まれた形で参加した事。
この戦争の元凶は死んだこと。
テレビやインターネットに出てくるような事しか教えてくれない。
『まぁ、でも······あの戦争は『生きる意味』を教えてくれたのかもな······』
その横顔を少し焦燥感が読み取れるような顔をしていた。
「カレン······カレン!」
「ふにゃあ!?」
私一人シリアスに浸っていた所、タオルを差し出してくれていたユ〜ちゃんが不審な顔をしていた。
「ふにゃあって何よ。······まあ、それよりも着替えるわよ。何か、外が五月蝿いしね」
「外が······?」
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「くっ······!!」
爆発音と熱風と共に、爆風によって俺が吹き飛ばされる。
「"時雨流"······"篠突く雨„!!」
「ちょっ!?」
それはずるいだろ!!
5連の剣激を俺はその隙間を抜けて避ける。
こいつら······俺が治せるからって手加減一切無しだな!?
「ぐえっ!?」
受け身をとるために転がっていた俺の横腹にハルトが蹴飛ばす。
「貰った!!」
「モフ!!」
正面きって走り出した岡田に俺は、間に合うはずも無く。とある人物を呼び出した。
「モフモフ確認!メテオアタァ〜〜ク!!」
「グボハァッッッ!!」
俺は先程までずっと薬草取りに出掛けていて、消息不明だったモフを召喚した。
「ナイス!レインボー、一旦解除してくれ!!」
俺は虹のベールを脱ぎ捨てるように解除し、ポケットの中に入れてた石を取り出す。
ハルトのように、空中の波状破を出すことは出来ないが、これを使う事で——————
「『覚醒』そして——————"ビックバン„!!」
拳が当たった瞬間石は砕け散ったが、砕け散った石が放射状となって、4人に向かっていく。
「残念だったな!"気圧ドーム„!!」
「なんでお前はそっち側なんだよ!!」
あえなく防がれたが、ようやく足が地面に付き。
そのままに追いかけてきたハルトを吹き飛ばした。
「ぐえっ!」
『フフフ······私の実力を持ってしたら一瞬ですよ一瞬』
「あっ!」
砂埃が山本により無理矢理はらされ、俺に山本の拳が直撃する。
「くっ······」
「"空圧拳„!!」
吹き飛ばされた俺はバタバタ暴れるが、後ろの木に当たるのが分かり見えている。だが——————
「モフ!!」
「クッションですよ、マスター!!」
モフが帽子に変形して、俺を守ってくれた。
「まだ、倒れないのかよ······アキヒト、何がお前を動かしているんだよ」
ほんと、こんな状況じゃなかったらカッコいいのに······。
と、モフは思った。
「俺は······」
アキヒトがぐらりと木をつたって這い上がり、立つ。
「あらアキヒト、お風呂ありがと——————」
「カレンと吉田の裸を見るのは俺だあああああ!!」
マスターはさっきの直撃で混乱していた!!
「···························さいってぇ」
そして、このタイミングで来てはいけない二人がいた!
「あはぁははは〜裸を見るのは俺だあああ〜」
「めっ目覚めてください!カレンさん、ユウキさん!違うんですよこれは。あそこの4人を止めようと——————」
「「「「アキヒトが暴れたから止めようとした」」」」
「裏切りましたね皆さん!!」
「·····················んあ!?——————一体何が?」
終わった······。
モフが諦めムードを出したのは、カレンのキラメラが3桁を超えたところでだ。
「バカーーーーーーーーー!!」
「······························死ね」
「えっ?待って、どゆこと?ギャアアアアアア!!」
マスターの断末魔は今までの誰よりも酷かったという。
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後日談として、僕ことモフが話します。
僕の必死の説得により、マスターは2時間位で無罪となり、他の皆さんが半殺しまで殴られました。
その時の依頼であった暴走牛は僕ら4人でのハントとなりました。
以上です。皆さんも安易な行動は気をつけてくださいね。




