EX.104 「懺悔」
「ウグッ······」
「お頭ァ〜〜〜〜〜!!」
ユウスケの一閃がディザスターの腹に直撃。
それは、元より残されていたディザスターの傷跡に対照になるように、その上で人間の頭部と体が分解された絵のタトゥーをかき消すかのように斬りさった。
「——————なぜ人間が水中で魚人より速く動けるんだ!!?」
「何なんだあの男ぉ〜〜!!」
まずい······酸素がっ······!
ディザスターに一撃を食らわせた後、身体から酸素の限界が来たとアラームが入り、慌てて水面へと急ぐ。
「野郎共!!あの剣士を逃がすな!!」「E·A補給だ!」「ウオオオオオオオオオ!!」
「何じゃこのただならぬ狂気の気配は!!」
小さな一粒の薬を飲み込んだ瞬間。気配どころか、雰囲気すらも圧倒的に変化し、ネプチューンでさえも驚くばかりだった。
その時——————、
「ブハッ!ハァ······ハァ······!!」
水上へと辿り着き、酸素を溢れんばかりに吸っていたユウスケに、岡田が、こっちだ!、とネプチューンの髭にしがみつかせる。
「やはり全兵を城の外へ逃さねば——————後は、このぎっくり腰が持つかどうか。道を作るぞ!サァ兵たちよ、戦わず城を抜け出せ!!」
ネプチューンは海中を掴み。抵抗のある感触から引っ張るように——————。
「"人魚柔術„!!」
「ネプチューンが何かしてくるぞ!!」
「何だ!?」
それはまるで——————海水の大砲が如く。
「"ウルトラマリン„」
凝縮した海水がエネルギーに混ぜ合わされ、強力な砲撃となった。
そして、その砲撃により彼方へと飛ばされていく魚人達。
その代償として、ネプチューンは再びぎっくり腰をくずすが。
「全兵行けぇ〜〜〜〜〜!!」
『はっ!!』
兵士達は飛ばされていく魚人達に見向きもせずに、ただ言われた通りに出口へと進んでいく。
「······あいつら!オレたちと戦わず逃げていく!!」
「ディザスターのお頭っ、早くこいつを!」
その叫喚の中、一つの魚人がディザスターの口に薬を入れ込んだ。
「城を出たぞ!!そのまま進め!」「【連絡廊】を抜け、魚人島内陸へ!!」
兵たちが直々と出ていく中、ネプチューンとユウスケ達は——————。
「おいおっさん!!しっかりしてくれ頼むよ!!」
ぎっくり腰で動けなくなったネプチューンと城の中で留まっていた。
「おおお!よる年波恨めしや!!——————体が!······う、動かんのじゃもん!!」
「何だとぉ〜〜!!」
その異変に気づいた兵士達が王を呼ぶ中、ネプチューンの愛鯨ホエールが駆けつけた。
「助かった!!すまぬっ!!」
ネプチューン達はホエールに引っ張られるままに、前へと進む。
······!もう息が!!
一人岡田とは違い、頭にシャボンのヘルメットを着けなかったユウスケは息の限界が来ていた。
連絡廊まであと少し——————だが、
「!?」
その進む勢いが止められるどころか、逆に引っ張られる。
その先にいたのは——————ネプチューンの足を掴んだディザスター。
より、狂気を孕んだ状態の。
「国王様!!」「ディザスターの奴······相当な深手のハズでは!?」
本能的に王へと動き出した兵たちを——————
「戻ってはならんのじゃもん!!」
王が止めた。
「ウバボシ達を連れてこいっ!!」
······························。
「グズグズするな!!王に従えェ!!」
真っ先に口を広げたのは右大臣だった。
兵たちは右大臣の言うとおりに、ネプチューン王の意志を残すため、地上に飛び出す。
その中、動けないネプチューン達に魚人達が囲み、拘束した。
「すまぬ······お前達······見殺しにはせん······!!」
@@@@@
『【海の森】』
「お〜〜!キレーな場所だな〜〜!!」
「あ······ありがと、うございます······ホントに本当にここに来れるなんて······!」
テティスが感極まって涙を流す中、アキヒトは海の森を見渡す。
【海の森】は陽樹イヴを総称する言葉である。
陽樹イヴは1本の巨大な大樹ではなく、多数の木1本、1本によって作られた樹である。
廃船の中に、煌めく光の粒や無数に泳いでいる魚達がこの森を囲んでいた。
それは神秘的な光景で、ここに草が生えていたら寝転べるのになとアキヒトは思う。
「ここならゆっくり治療できるかな?」
モフは怪我人と気絶人を介護する場所を求めていた。
すると——————、
「オウ!アキヒトじゃねぇか!!何だお前、ずいぶんな美女を連れてんじゃねぇか!!」
「お〜!山本、ここにいたのか!!」
陽気に手を降る山本がそこにいた。
————————————
「紹介するよ!こいつはテティスだ」
「ほうテティスさんか······ん?テティス、何か見覚えなのか、聞き覚えがあるような······」
どうやら山本はテティスと言う名前に疑問を持ったらしい。
「えっと······はい、あなたが山本様なのですね。よろしくお願いします······」
「ん?始めてあったんじゃないか?」
山本があっけに取られて、テティスの出した右手を握ると。
テティスは笑顔を見せて。
「視てましたから!」
と珍しくはっきりといった。
「ふ〜ん······そうか、ならいいな。ところでアキヒトよ。吉田の奴もここへ来たんだ。何か探してるっつって。——————あのでけえ樹の中へ入っていった」
山本はそう後ろ指で陽樹イヴを指す。
アキヒトは、へぇ〜、と返しておくと後ろから。
「アキヒト君!!まさか君もここに来てたとは!驚いた!!見違えたぞ!!」
「リュウギョウ!?おお〜リュウギョウか!お前はいないって聞いたから、会えねぇと思ってたんだ!!」
そこには、たった数週間前に、共にミラ·ライズと戦う為に共闘した仲であるリュウギョウがいた。
「何じゃ、伝言を聞いてここへ来たんじゃないのか」
伝言?そうアキヒトは思うが、リュウギョウもわりかし気にしていなかった為にアキヒトも気にしないようにした。
「それよりも、見違えるってなんだよ〜?リュウギョウ達が海へ帰ってまだ3週程度だろ?」
あっけらかんと俺が言うと、リュウギョウは首を横に振って。
「いや、あの時とは見違えるほどに変わっているじゃぁないか。わしもちょっとくらいはエネルギーの流動は見えるんじゃよ」
「なるほど、エネルギーの流動か······じゃあ俺も成長出来てるってことか······!」
「リュウギョウ親分様!」
そう、ドレスの裾を摘んでお辞儀をするテティスにリュウギョウはあまりにもナチュラルに、
「やあー、テティス姫もご一緒とは······ご無沙汰しており······」
「テティス姫ぇ〜〜〜〜っ!!!?なぜここに〜〜〜!」
港の魚人以上に驚いていた。
「山本さん。ルゥ降ろすので受け取ってください」
そう言われてモフからルゥ受け取る山本。
「タコ野郎じゃねぇか!お前この怪我······」
「ルゥ〜〜〜〜〜!!?」
リュウギョウは先程と同程度には驚いていた。
「お前さんこの怪我は!?——————いや、しかしなぜここに!?お前さんにはしばらく休暇を与えたはずなのに!?」
「ヌゥ〜〜〜······リュウギョウさん!?」
「おう!ああ、マーメイドプリンセスよ!私はあなたの前では、ただの愚才の屑の屑であり!あなたに全てを献納する愚生者!あなたの全てに私は何一つ叶わない——————」
「ああ〜〜!!復活したぁ〜〜!あの時の馬鹿なハルトに!!」
「あっ復活したな」
「あいつに寧ろ何があったんだ!?」
淡白に対応するアキヒトに対しては、ハルトの師匠である山本はある程度の反応を見せていた。
ここでは、反応度をリュウギョウポイントとして換算しなければいけないかもしれない(だったらその場合は小数点はついてしまうだろうが)。
「なぜテティス姫がここに!!?」
0.8リュウギョウくらいの反応をして作りかけの船から顔を出したうらしまが叫んだ。
「ん?誰だあいつ」
「ああ、この人は俺達の命の恩人の一人の浦島さんだ!!今は俺達を陸に上がらせてくれる船を造ってくれてる」
「なるほど、分かった!!」
「こういう時のお前はある程度分かっていない事は分かっている。だがまあいい」
「!?」
最終的に答えを記さなかった山本に浦島はあんぐりと口を開けた。
「テティス姫様!あなたの目的は分かりますが【隠し絵の塔】を出られては」
キュルキュル!!
「あ!」
テティスの背後に向けて投げつけられた斧をアキヒトは蹴り落とす。
「またか、あの後何十回目だ。しつこい奴だな」
「そらみろ、なぜ姫様をここに連れて来たんじゃアキヒト君!!」
「大丈夫だよ。俺がいるもんな」
そう俺はテティスにいい、テティスは笑顔で、はいっ、と言う。
「なんと呑気な······」
@@@@@
アキヒト達は船の所に残り、ここからでも見える墓を見る。
「長いことああやってんなぁ」
俺は長い間テティスが黙祷している所を見て言った。
「彼女の義母。オトヒメ王妃が眠っておられる······姫はタイミング悪くエドワード·ティーチの毒牙にかかり。母の葬儀にも出られず、隠し絵の塔で10年を過ごしてきた」
「母に伝えたかった言葉が、募りに募っておった事じゃろう······」
空気を割るとこすまないが、レインボーは「重くなりそうなので寝ますね」と俺の貰った服のポケットの中で寝ている。
@@@@@
「アキヒトくん〜〜!」
「あれ!?テティス姫が一緒に······!?」
お魚バスに乗ったカレン達が、ウバボシに伝えられた通りに【海の森】に着くとそこには、未だ龍宮城の現状を知らないメンバー達がいた。
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「事実かそれは!!ディザスターの奴が!!?何と、龍宮城がたさそんな大変な事態になっておったとは」
「ユウスケ達はどうなんだんだよ!?」
「わからない。みんなに会えたら戻ろうと思って」
「お父様が捕まったなんて、そんな事信じられません!!」
······························。
「すまん!早くもお前さんたちを巻き込んでしまったか······!」
少しの沈黙を破るかのようにリュウギョウは謝った。
たが、そこには不可解な点がある。
『巻き込む』とは何だ?
確かにユウスケ達は流れるままだったのかもしれない。
だが、それはユウスケ達の意思もある程度あったのだろう。
それに、カレンから告げられた名前は、ここについてからほんの少ししか聞いていない。
なのになぜリュウギョウが謝るのだろうか。
「事を急ぐが。たった数週間前······アキヒト君と出会った時は今以上に、この話ができる状況ではなかった」
「地上の国"アメリカ„でライダーの一味の暴走を食い止めてくれた者に対して······わしは深く感謝しておった······!お前さんなんじゃろ?——————ありがとう······!」
リュウギョウは俺に向かって感謝を言われた。
その瞬間、リュウギョウが何を言いたいのか分かった気がする。
それはあまりにも残酷で、
「同時に謝罪もさせて欲しい」
「リュウギョウさん······」
それはあまりにも苦痛に満ちた物語。
「8年前······ライダーの奴を地上へ解き放った張本人は······わしなんじゃ!!」




