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努力で生き抜くこの世界  作者: こっさむ
第八章 ひとりではない学び
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南門の外

ご覧いただきありがとうございます!

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それでは、どうぞお楽しみください。

郊外実習の朝、男子寮の棚から4つの杯がなくなった。


俺たちは水を飲み、杯を洗って背負い袋へ1つずつ入れた。


学園の備品ではなく、自分が飲む時に使う物だ。


エリオットは短い縄と笛を確かめる。


ルシアスは水袋を持ち上げ、中で水が偏らない位置へ(ひも)を結び直した。


ローディは盾を背負った後、包帯と厚布を入れた袋を左側へ移す。


「長い縄は?」


ローディが聞いた。


「持たない」


俺は答えた。


選んだ道具は、短い縄、小型の水袋2つ、長さの違う添え木2本、包帯、厚布、笛2つ、新旧の地図、記録紙、火床の蓋だ。


長い縄と大きな水袋は紙の裏に残してある。


「必要になったら?」


「持っていない物は使えない。今の条件で持つ物を使う」


俺が言うと、エリオットは短い縄を袋へ戻した。


「じゃあ行こう。南門に遅れる」


食堂へは寄らない。


朝食は包んでもらった黒パンと干し肉を、低い丘の確認地点で食べる予定だ。


南門には、基礎課程の生徒が3列に並んでいた。


荷物の大きさも、持っている武器も違う。


剣を腰へ下げる者、杖を袋の横へ結ぶ者、盾を背負う者がいる。


カレンは名簿を見ながら、2つの班を1つの組として呼んだ。


俺たちの班は、俺、エリオット、カシア、アステラ、ローディ。


隣の班には、ルシアス、ノエラ、レイナと、同じ教室の生徒2人が入った。


門の外では2班が離れすぎない。


狭い場所では1班ずつ通り、前の班が止まった場合は後ろの班も退路を塞がない位置で待つ。


「今日の目的は討伐ではありません」


カレンが言った。


「南門から低い丘まで歩き、道、水場、休息場所、退路、周辺の痕跡を記録します。危険を見つけることより、見つけた物が何か、どこまで確かめたかを分けること。魔物を見た場合は交戦せず、笛を3回鳴らして教員の位置へ戻りなさい」


カレンの他に教員が2人、補助員が3人いる。


1人の教員が1つの組だけを見続けるのではなく、3つの組の間を移動する。


「私が見えない時間もあります。各班の停止条件と、判断範囲を使ってください」


門が開いた。


街道を外れるまでは、荷車2台が並べる幅がある。


先頭の組から間を空け、俺たちも歩き始めた。


エリオットが前方と道を見る。カシアは前後の人数と歩き方。ローディは荷と足場。


アステラは地図と記録。俺は班同士の距離と、判断範囲へ出る影響を伝える。


紙の表には『南門から街道を南へ』『石標で東の道』『2班の間は荷車1台分』だけがある。


俺が決めた内容ではない。


南門から出る前に5人で確認し、アステラが現在の欄へ書いた。


街道の石標を過ぎると、道幅が半分になる。


土の両側へ草が伸び、朝露の残っている場所と乾いて白くなった場所が混ざっていた。


「右の草、折れてる」


カシアが言った。


道から3歩入った場所で、草が同じ方向へ倒れている。


先に歩いた班の跡か、荷が触れた跡か、動物が通った跡かは分からない。


俺は足跡を探した。


柔らかい土に浅い(くぼ)みが2つあるが、輪郭は崩れている。


「人か魔物かは分からない。新しさも決められない」


「現在の道へ影響する?」


アステラが聞く。


「道には入っていない」


エリオットが答えた。


「今は東の道を進む。折れた草は裏へ」


アステラが『道から南へ3歩、草の倒れ。種類と時刻は未確認』と裏へ書いた。


俺なら、幅、深さ、草の折れた位置をさらに測る。


だが、現在の道を選ぶために必要な事実ではない。俺たちは進んだ。


最初の休息地点は、石積みの水場だった。


水は細い管から流れ続け、下の桶へ溜まっている。


カレンは先頭の組を確認するため、坂の上へ移動していた。


俺たちの近くには補助員が1人だけ残る。


レイナが水場の縁へ手を置いた。


「飲む前に、色と匂いを確認します」


隣の班が水を確認する間、俺たちは持ってきた水袋を使う。


カシアは2つの水袋を、俺とローディから1つずつ受け取った。


「両方とも同じだけ減ってる。次は後ろの水袋から使う」


「なぜだ」


「前の人が転んだ時に、後ろへ水を残すため。今は前の班が多く使ったから、次を後ろにする」


俺なら2つを同量のまま保つ。どちらが離れても半分残る。


だが、次の道は細く、先頭側にエリオット、最後尾側にカシアがいる。


カシアは人と移動の範囲で、後ろへ水を残すと決めた。


「分かった」


俺は水袋の位置だけを表へ書いた。


水場を過ぎた先で、道は岩壁と斜面の間へ入る。


2人が並べず、左には乾いた草の斜面、右には肩より高い岩が続く。


先頭の組が戻ってきた。


「上の道、別の班が降りてる!」


前の生徒が言った。


道の先から、確認を終えた別の組が下りてくる。互いに通り抜けられる幅はない。


エリオットが笛を1回鳴らした。位置確認の合図だ。


ローディが盾を岩側へ寄せる。


カシアは後ろを振り返り、隣の班がまだ水場にいることを確かめた。


「戻る。水場の手前なら2班とも空けられる」


カシアが言った。


「この場で待つ方が距離は短い」


俺は答えた。


「後ろの班が来たら、逃げる場所がなくなる。今なら全員見えてる」


人数と退路はカシアの範囲だ。


「水場まで戻る」


俺は班同士の距離を伝え、最後尾へ回った。


2班は水場の手前まで下がった。下りてきた組が通り過ぎる。


ローディは盾が荷へ当たらないよう身体を半分ひねり、エリオットは先頭の人数を数えた。


誰もカレンを呼ばなかった。必要な事実は見えていた。


道が空いてから、同じ順番で登り直す。


狭い道を抜けると、風が変わった。


南から吹いていた風が、丘の斜面へ当たり、西から横へ流れている。


乾いた草の穂が、俺たちの進む向きと反対へ倒れた。


「笛の音、後ろへ流れる」


ローディが言う。


エリオットが前の笛を吹いた。短い音が聞こえる。


カシアが後ろの笛を鳴らすと、風に押されて音が薄くなった。


「前から後ろは届く。後ろから前は弱い」


俺は伝えた。


「見えなくなる曲がり角では、後ろの合図を1回増やす?」


エリオットが聞く。


増やせば、以前のように合図が多くなる。


ローディは首を振った。


「増やさない。聞こえない距離まで開けない。後ろからの停止は笛じゃなく、前の人の肩へ順に伝える」


「時間がかかる」


「聞き間違えるよりいい」


現在の欄には『間隔を狭める』『後方停止は前へ順に触れて伝える』と書かれた。


低い丘の手前に、黄色い杭が立っている。杭の外側には、古い足跡が残されていた。


雨の後に固まり、縁が崩れた4つの窪みが2列に並んでいる。


ノエラが古い地図を開いた。


「この印、リッジハウンドの確認域ね。昔の地図だと、もっと南東に線がある」


「今の地図では丘の東側まで入ってる」


アステラが新しい地図を重ねた。


足跡の形だけなら、別の四足獣にも似る。


黄色い杭には『5日前確認、教員記録済み』と札がある。


「ここにいたことは確認済み。今いるかは分からない」


俺は言った。


ノエラは(うなず)いた。


「昔より活動域が変わった理由も、これだけでは分からない」


表には黄色い杭の位置だけを置く。活動域の違いと理由は裏へ回した。


カレンが坂の上から戻ってきた。


「狭い道で何を変更しましたか」


カシア、ローディ、エリオットが順に説明した。俺は2班の位置と風向きを加える。


アステラが表を見せた。


カレンは合図を増やさなかった箇所で手を止めた。


「この先も教員は各組の間を移動します。見えないことを、いないことと同じにしないように。必要なら笛を3回。必要でなければ、自分たちの範囲で進みなさい」


低い丘の北側が、今日の確認場所だった。


3つの組が同時に使うため、俺たちの2班は西の斜面を割り当てられる。


学園の屋根はもう見えない。南門から通った道も、丘の起伏に隠れている。


それでも、表には戻る道が1つだけ残っていた。


石積みの水場、狭い岩壁、黄色い杭。裏には使わなかった判断と、未確認がある。


アステラが紙を閉じ、俺へ差し出した。


「持つ?」


「ノエラが持った方がいい。新旧の地図と一緒に確認できる」


ノエラが紙を受け取り、地図入れへ挟んだ。


俺は空いた手で、丘の西側にいる2班の人数を数えた。


10人。全員いる。


先頭では、エリオットとカシアが最初の確認地点を決めていた。


俺は2人の後ろへ進んだ。

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それでは、次回の更新でお会いしましょう!

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