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努力で生き抜くこの世界  作者: こっさむ
第八章 ひとりではない学び
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先に出た答え

ご覧いただきありがとうございます!

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それでは、どうぞお楽しみください。

朝、俺は机の上の紙へもう一度目を通した。


「レオンが変更を決める」


昨日、最後まで書けなかった一行だ。その上へ細い線を引き、代わりに3つの欄を作った。


エリオットは、前方の道が塞がれた場合、見える範囲で別の道を選んでよい。ルシアスは、記録に必要な位置が変わった場合、標識を置く場所を変えてよい。ローディは、担架が傾くか足場が崩れそうな場合、誰の指示がなくても全員を止めてよい。


書き終えると、昨日より空欄が少なくなった。


「今度は僕たちが変えていいんだね」


向かいの椅子で靴紐を結んでいたエリオットが言った。


「範囲の中ならいい。危険が増えた場合と、目的を変える場合は俺へ戻してくれ」


「目的を変えるって、どこから?」


「救助対象を運ぶ課題なら、標識の確認を諦めるとか、入口へ戻らず別の場所へ出るとかだ」


ルシアスが寝台の脇から薄い帳面を持ってきた。表紙に付いていた土は落ちていたが、端が少し反っている。


「理由も書いた方がいいんじゃない? 何を見たら変えていいのか」


俺は3つの欄へ条件を書き足した。旗、足場、担架の傾き、風向き、見える距離。昨日の丘で確認したものを並べると、行はすぐに埋まった。


「これなら迷わない」


紙を畳み、食堂へ向かう。ローディは先に大盾を背負っていたが、肩紐の留め具が半分しか穴へ入っていなかった。


「止まれ。外れている」


俺は留め具を引き、隣の穴へ通した。ローディが振り向く前に、肩紐は元の長さへ戻っていた。


「助かった。でも、俺が締め直してもよかったぞ」


「見つけた方が直した方が早い」


ローディは肩を回し、盾がずれないことを確かめた。


「まあ、早いな」


食堂の窓際には、いつもの4人席が空いていた。エリオットが椅子の背へ紙袋を掛け、ルシアスは買ったばかりの筆記具を机の端へ置く。ローディが盾を壁へ立てる間に、俺は4人分の盆を置けるよう、中央の水差しを端へ動かした。


食事を終えると、それぞれが自分の皿を返した。寮へ戻る時間はなく、そのまま野外基礎の集合場所へ向かった。


昨日と同じ低い丘には、木の杭と色旗が増えていた。乾いた草の中を3本の道が通り、斜面の下には木製の人形が2体置かれている。入口から見えるのは片方の足だけだった。


カレン・フェルは4枚の木札を俺たちへ渡した。


「青い札を2か所の確認地点へ置き、2体の救助対象を安全線まで運びなさい。確認地点は途中で1か所変えます。赤い旗が上がった道は使えません」


丘の上では風が右から左へ抜けていた。入口近くの草は乾いているが、中央の低い場所だけ色が濃い。昨夜に降った雨が残っているらしい。


俺は紙を開いた。


「エリオットは前方確認。道が塞がれたら、見える範囲で別の道を選んでいい。ルシアスは確認地点と通った道を記録する。旗で場所が変わったら、札を置く位置も変えていい。ローディは担架と退路。足場か担架に問題があれば全員を止めてくれ」


「レオンは?」


エリオットに聞かれ、丘全体を見た。


「人形と3人の位置を見て、足りない場所へ入る」


開始の笛が鳴った。


エリオットが右の高い道へ走り、ルシアスが中央へ進む。ローディは担架を持ち、俺と左の道へ入った。草の倒れ方、足元の色、3人の位置を順に置く。見えていない丘の裏は空白のまま残した。


最初の確認地点は、中央の白い杭だった。ルシアスが青い札を掛け、帳面へ位置を書く。俺は左の斜面に見えた布へ近づいた。


人形の肩が浅い窪みへ落ちている。足側は持ち上げられるが、頭側から担架を入れるには草を踏み固める必要があった。


「ローディ、担架を横から入れる。俺が肩を上げる」


「待て。左の脚が杭に当たる」


ローディが先に担架を置き、人形の脚の脇へ手を入れた。止める判断は、決めた範囲の中にある。


「分かった。脚を外してから上げる」


2人で人形を担架へ移す。俺が固定具を締めている間に、丘の上で旗が動いた。右の道に赤い旗が上がり、中央の確認地点にあった白い杭が伏せられる。代わりに左奥の岩へ青い布が掛けられた。


エリオットは右の道の途中で止まった。横には草の薄い斜面があり、下れば中央へ出られる。紙では、見える範囲で別の道を選んでよいと決めてある。


彼が斜面へ足を置く前に、俺は地面の色を見た。中央と同じで、雨水が残っている。


「そこは使うな。2歩戻って、岩の裏を通れ」


エリオットは足を引き、岩の方へ向きを変えた。斜面を回れば少し遠いが、滑る場所は避けられる。


「岩の裏は通れる!」


返事が届く。俺は担架の前をローディへ任せ、ルシアスの方へ走った。


ルシアスは伏せられた白い杭の前で、青い札を外していた。左奥の岩へ新しい札を置くため、帳面と札を片手ずつに持っている。


「帳面をしまえ。札は俺が持つ。左の岩まで行く」


「位置を記録してからでも間に合うよ」


「移動しながら書くと遅れる。俺が場所を覚えている」


帳面を受け取らず、札だけを取った。岩までの短い道を先に進み、青い布の下へ札を掛ける。ルシアスが追いついた時には、確認地点の変更は終わっていた。


2体目の人形は岩の向こうにあった。エリオットが先に見つけ、腕を上げる。近くには細い道と広い道が1本ずつある。細い方が安全線へ近いが、担架を水平に保てる幅はない。


「広い道から運ぶ。エリオットは先頭。ルシアスは後ろから旗を見る」


ローディが1体目の担架を安全線へ運ぶ間に、俺とエリオットで2体目を持ち上げた。ルシアスが後ろから固定具を確認し、緩んだ紐を指した。


「右側が外れかけてる」


俺は担架を置き、紐を締め直した。3人が見つけた問題へ、その都度俺が動けば止まる時間は短い。


帰路の途中で風向きが変わり、左奥の青い布が岩へ張りついた。ルシアスが振り返る。


「札は見えなくなったけど、戻る?」


「置いた位置は確認した。戻らなくていい」


俺たちは2体の人形を安全線まで運び、木札の位置と通った道を報告した。カレンは固定具と札を順に確かめ、砂時計を止める。


「完了です。今日の班では最も早い」


エリオットが息を吐き、ローディが担架を地面へ置いた。ルシアスは帳面を開き、記録できなかった途中の位置を俺へ聞く。


俺は白い杭から左奥の岩までの歩数と、旗が変わった時の風向きを答えた。見たものは残っている。


「役割を変えた人はいましたか」


カレンが聞いた。


「エリオットが道を変え、ローディが人形を持ち上げる前に止めました。ルシアスは確認地点の変更に合わせて札を動かしました」


「決めた範囲は使えたのですね」


「はい」


俺は紙を見た。3人は最初に渡した役割の中で判断している。斜面を避けたこと、札を運んだこと、緩んだ紐を直したことは、俺が補った。課題は止まらず、時間も縮んだ。


帰り道、エリオットが俺の横へ並んだ。


「あの斜面、そんなに滑りそうだった?」


「草の根元が濃かった。中央の窪みと同じだ」


「僕の場所からは、そこまで見えなかった」


「近づく前に止められたから問題ない」


そう答えると、エリオットは前を向いた。


寮へ戻り、俺は紙へ結果を書き足した。道の色が濃ければ避ける。記録が遅れるなら位置を覚えて先へ進む。紐が緩めば、近くにいる者が直す。


ルシアスは自分の帳面を机へ置いた。途中の欄が1つだけ空いている。


「そこは俺が覚えている。書ける」


俺が手を伸ばすと、ルシアスは帳面を押さえた。


「あとで聞くよ。先に夕食へ行こう」


鐘はまだ鳴っていなかった。けれど、ローディはもう盾を壁へ立て、エリオットは窓際の席に置く紙袋を持っている。


俺は書き足したばかりの紙を畳んだ。昨日より役割を渡せた。判断できる範囲も決めた。足りないところは俺が動けば、班はもっと速くなる。


4つの杯が並ぶ棚の前を通り、3人と一緒に部屋を出た。

お読みいただきありがとうございました!

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それでは、次回の更新でお会いしましょう!

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