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努力で生き抜くこの世界  作者: こっさむ
第八章 ひとりではない学び
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三人の見方

ご覧いただきありがとうございます!

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それでは、どうぞお楽しみください。

班の一覧で、俺の隣にはエリオットとカシア・ロンドの名前があった。


「久しぶり、レオン」


赤茶色の髪をまとめたカシアが、俺の肩から足元まで見る。


「怪我は?」


「ない」


「無理は?」


「今日はまだしてない」


「今日は、ね」


エリオットが笑った。


「再会して最初にそれ?」


「前に会ったとき、怪我してたから」


「もう治ってる」


「見れば分かる。でも、聞くのは別」


課題には、倒れた草、浅い足跡、木の擦れ、2人の証言、水場までの距離が記されていた。俺は紙へ、確認事実、証言、推測、未確認の欄を作る。


「足跡は水場へ向かってる」


俺が言うと、エリオットが定規を当てた。


「方向は近い。でも、同じ時期の足跡とは書いてない」


カシアも証言を指す。


「『新しい擦れに見えた』は、見た人の判断。擦れが新しいこと自体は確定してない」


「2人とも、先に止めるな」


「止めたんじゃないよ」


エリオットが言う。


「前提を足しただけ」


「私は、欄を移しただけ」


カシアが続ける。


俺は足跡と水場の関係を推測の欄へ書いた。


「同じ個体が水場へ向かった可能性。ただし、時期と個体は未確認」


「それならいい」


エリオットが足跡の間隔を測る。


「次は距離と時間を出したい」


「何の時間?」


カシアが聞く。


「移動にかかった時間」


「歩幅も速度も分からない」


「だから範囲を出す」


「その範囲の根拠は?」


2人の言葉が重なった。俺は間へ手を置く。


「待って。エリオットは計算できる条件を探してる。カシアは、その条件が確定してるか見てる」


「レオンは?」


「水場と痕跡を繋げようとした」


「3人とも急いでるね」


カシアが言い、少し笑った。


追加確認には、足跡の深さと土の乾き、擦れの状態、水場周辺の痕跡、証言者の位置、天候を書いた。項目が増え、俺は紙を見つめる。


「多すぎる」


「今、種類を決める必要がある?」


「ない」


「なら、優先順位を決めればいい。分からないことが多いのと、何もできないのは別でしょ」


カシアの言葉に、俺は頷いた。


報告では確認事実から話し、証言、推測、未確認、次に見る項目の順で伝えた。セルドが尋ねる。


「3人は同じ結論でしたか」


「違いました」


エリオットが答える。


「僕は数と距離を先に見た」


「私は証言と前提」


カシアが言う。


「俺は足跡と水場の関係です」


「では、なぜ1つの報告になりましたか」


「意見の違いはそのままにして、どれが事実でどれが推測かを分けて整理したからです」


セルドは頷いた。


「班の目的は、全員を同じ意見にすることではありません。違いを残し、次の行動に使える形へ整えることです」


昼休み、カシアが俺の帳面を覗いた。


「昔より、人の話を聞くようになったね」


「昔も聞いてた」


「聞いて、自分で全部やってた」


「今は違う」


「そうみたい」


その返事が、なぜかエリオットの言葉より長く残った。


3人の見方は最後まで同じにはならなかった。それでも、1人では見つけられなかった不足と、次に確かめる順番を共有できた。

お読みいただきありがとうございました!

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感想や「ここが良かった」といったご意見もお待ちしております。

それでは、次回の更新でお会いしましょう!

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