三番目の名前
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それでは、どうぞお楽しみください。
結果発表の掲示板には、人が何重にも集まっていた。
「押すな。番号を先に見ろ」
ゼノが言う。
「合否、総合、科目別」
「順番まで覚えているなら進め」
合格者一覧を上から追う。自分の番号が見つからず、指先が冷たくなった。最後まで見て、もう一度戻る。
「あった」
番号の横に合格の印がある。
「声に出せ」
「合格した」
ゼノも同じ番号を見た。
「確認した」
「それだけ?」
「何と言ってほしい」
「……分からない」
「なら、今はそれでいい。よくやった」
短い言葉なのに、胸の奥が少し熱くなった。
隣の順位表へ移る。総合1位はアステラ・リュネ、2位はエリオット・レイフォード、3位にレオン・アルヴェインと書かれていた。
「エリオット」
声に出すと、少し離れたところから返事が来た。
「やっぱりレオンだった」
淡い金髪の少年が人の間を抜けてくる。アルネリアの訓練場以来だった。
「久しぶり」
「2年ぶりくらいかな。僕が2位で、君が3位」
「1位はアステラ」
「見れば分かるよ。先に再会を喜ばない?」
「合格、おめでとう」
「君もね」
科目別の表には点数も並んでいた。筆記1位は96点のアステラ。エリオットは85点、俺は82点だった。
実技・判断は俺が49点で1位。エリオットが47点、アステラが42点。合計はアステラ138点、エリオット132点、俺が131点だった。
「実技は負けた」
エリオットが言う。
「筆記は負けた」
「剣の試験があれば、もっと勝てたのに」
「俺もそう思う」
「そこは否定してよ」
静かな声が横から入った。
「順位表の前で、実施されなかった試験を足しても結果は変わりません」
アステラが自分の番号と順位を照らしていた。
「筆記1位、おめでとう」
俺が言うと、アステラは一度だけ目を伏せた。
「ありがとうございます。レオンも、実技・判断1位、おめでとうございます」
「昨日、計算を確認できなかったって言ってた」
「確認できなかった問題があっても、他の答案が消えるわけではありません」
エリオットが笑う。
「1位らしい答えだ」
「順位と答え方は関係ありません」
アステラは合格者向けの案内へ目を移した。
「手続きの列はあちらです。期限と費用を先に確認した方がいいと思います」
窓口では、入学手続きに銀貨1枚、学費は年額銀貨6枚、教材と訓練具は年額おおむね銀貨2枚と説明された。寮費と食費は別になる。
「順位による免除はありますか」
ゼノが尋ねる。
「ありません。家計状況による減免は別途審査します」
「冒険者としての功績は?」
「入試や学費の優遇には使いません」
「分かりました」
特別扱いはない。総合3位も実技・判断1位も、次に必要な費用や手続きを消してはくれない。
外へ出ると、エリオットが待っていた。
「寮へ入る?」
「申請する」
「僕も。剣の話ができる相手がいると助かる」
「勝つため?」
「もちろん。それ以外にもあるけどね」
宿へ戻り、帳面へ結果を書く。合格。筆記82点。実技・判断49点。総合131点、3位。
ゼノがその下を指した。
「次は?」
「手続き、寮、教材、学費。それから授業」
「順位はもう書かないのか」
「1度で分かる」
3番目は到着点ではない。今の位置を知り、次に積むものを選ぶための数字だった。
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