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努力で生き抜くこの世界  作者: こっさむ
第八章 ひとりではない学び
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210/283

二年分の時間

ご覧いただきありがとうございます!

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それでは、どうぞお楽しみください。

満12歳になった朝、俺は机の上で《ステータス》を開いた。


---


レオン・アルヴェイン


12歳


Lv24


冒険者


筋力45


耐久48


敏捷54


魔力20


精神46


《格闘術 Lv4》


《剣術 Lv6》


《回避 Lv6》


《走行 Lv5》


《不屈 Lv5》


《観察 Lv5》


《魔力操作 Lv4》


《魔力放出 Lv1》


《生活魔法 Lv1》


《水操作 Lv3》


《戦域把握 Lv5》


《追跡 Lv3》


《風操作 Lv3》


固有能力:《超越》《超回復》


技:《誘導歩》


魔法技:《風弾》《水弾アクアバレット》《水鞭アクアウィップ》《風圧エアプレス


---


「増えた数字ばかり見るな」


背後からゼノに言われ、俺は表示を閉じた。


「見てない」


「では、《水操作》で何ができる」


「水を作って、動かして、形を保てる。量が増えると崩れる。遠くへ運ぶと長くは保てない」


「それが今のお前だ。Lv3という数字だけでは分からん」


桶の水を細く持ち上げ、隣の水筒へ移す。流れを急に曲げると縁へ当たり、数滴が机へ落ちた。


「魔法技は」


「《水弾》は、まとめた水を短く撃ち出す。《水鞭》は、細長く保って一度だけ振るう。《風圧》は、広げた風を近くへ押し出す」


「やれ」


桶から拳ほどの水を持ち上げ、壁際の木板へ撃つ。水の塊は中央から少し外れて当たり、鈍い音を立てて弾けた。残った水を細く伸ばして訓練棒へ巻きつけたが、引く前に形が崩れて床へ落ちた。


最後に掌の前へ空気を集め、短く押し出す。吊るした布は揺れたが、隣の布まで一緒に動いた。


「撃てる。届く。だが、狙った結果とは違うな」


「拭く」


「そうしろ」


2年前、《水生成 Lv1》で作れたのは掌に載るほどの水だった。依頼、生活、傷の洗浄、ヴェラとの訓練で使い続け、生成と操作が一つの技能として繋がった。それでも、どこでも同じように扱えるわけではない。


机の端には、学園の公開資料と2年間の帳面が積んであった。読み書き、計算、地理、魔法、魔物、野外判断。できなかったことを書き、誰に聞いたか、試して何を間違えたかも残してある。


ゼノが鞄を持ち上げた。


「荷物はそれで全部か」


「着替え、帳面、筆記具、資料、訓練具。剣もある」


「受験料は」


「銅貨10枚。入学手続きは銀貨1枚。学費と教材費は別」


「覚えているならいい。出るぞ」


ラグナードからカレディアまでは、乗合馬車で約8日だった。道がぬかるむたび、俺は地図へ印をつけた。休憩所では御者にも声をかける。


「この先で水を補給できますか」


「次の宿場ならできる。だが夕方は井戸が混むぞ」


「道の狭い区間は?」


「丘を越えた先だ。荷車同士はすれ違えない」


ゼノが帳面を覗いた。


「聞いたことと見たことを分けろ」


「御者から聞いたことは丸で囲む。自分で見たら線を足す」


「考えたことは?」


「別の欄」


馬車が揺れる中、水筒へ水を移すと流れが途切れた。向かいの乗客が笑う。


「便利そうに見えたが、難しいものだな」


「止まっている場所なら、もう少しましです」


「だったら、次の休憩まで待てばいい」


「はい。そうします」


使えるから使うのではなく、必要な場所で使う。2年間で増えたのは技能だけではなかった。


8日目、カレディアへ着いた。研究所、工房、役所、宿、商店が並び、同じ制服を着た若者たちが通りを行き交っている。


「王都ではない」


ゼノが言った。


「でも、人も資料も多い」


「だから学べるとは限らん」


「聞いて、試して、確かめる」


「なら行け」


受付では年齢証明と出願書類を渡した。


「一般入学試験への出願ですね。推薦、招待、特別枠の申請はありませんか」


「ありません」


「筆記は5科目。翌日に実技・判断試験を行います。戦闘力や魔法発動だけで合否を決める試験ではありません」


俺は受験者番号の紙を受け取った。


「筆記試験は7日後です。掲示の変更も毎日確認してください」


「分かりました」


外へ出ると、ゼノが聞いた。


「次は?」


「宿を決める。会場まで歩く。案内を読み直す」


「勉強は」


「旅の疲れを見て、今日の量を決める」


ゼノは小さく頷いた。


2年間、遠くに置いていた目標が日付と場所を持った。合格はまだ決まっていない。だから俺は、受験者番号を帳面へ挟み、ゼノと並んで歩き出した。

お読みいただきありがとうございました!

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感想や「ここが良かった」といったご意見もお待ちしております。

それでは、次回の更新でお会いしましょう!

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