第二章第一節-Ⅰ She said……
[She said……]
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side:神空 鴉那
どこだろう?ここは……
何か揺れて……
誰かに担がれてどこかへ向かってる……?
でも、目がほとんど開かない……何も見えない……
ああ、なんでこんなことになったんだっけ……
ただ、師匠を助けたかった、それだけなのに……
気がつくと、周りは燃え盛っていた。
木造の家だ、一度燃え出した炎は何者にも止められない。
でも
「熱くない」
柱に触った感覚も、燃え盛る熱も、まるで虚像の様に何も感じない。
……夢、かな。
明晰夢だっけ?
そんな中、一人の少年が燃え盛る廊下を駆け抜けている。
何故か目を離せないその姿を、追いかけてみる。
前へ、前へ。
少年は何かを振り払うように走り続ける。
玄関が見えた。
その先に誰かが、何かを抱えて立っている。
だが、その姿が目に入った瞬間、足が止まる。
私は、あの人を知っている。
「そんな……どうして……?」
その女性が、何かを抱えた反対の腕で少年を抱き抱えた。
その瞬間、少年はまるで糸が切れた様にぐったりとし、動かなくなる。
その少年の首にかけられた、ロケットペンダントが炎に反射してキラリと光った。
「ねぇ、なんでそこにいるの、師匠……」
ブラウンブロンドのその長い髪をたなびかせた女性……神空麗子は、外に広がる闇の中へと消えていった。
「うぁ……」
魘されていたのか、自分の声で現実に引き戻される。
なんだったんだろう、あの夢は……
いや、ここは現実なのかな……それとも、あの夢の続き……?
重い瞼が、ほんの少しだけ開いてくれた。
知らない天井。
電気の通ってない部屋なのか、外の光だけが、部屋を照らしていた。
「ん?」
大柄な少女が覗き込んできた、誰だろう……面識はない、はず。
深い緑の髪をしたその少女。
だけど、他人とも思えない何かを感じる、不思議な感覚。
「意識が戻ったか、ちょっと待ってな」
そう言い残すとその人は部屋から出ていった。
敵?味方?
ぐっ、と力を入れようとしても鋭い痛みが鳩尾のあたりを突き刺してくる。
何かの痛みは……
ああそうだ、刺されたんだ……師匠に。
途端に呼吸が苦しくなる。
落ち着け、落ち着け、落ち着け。
……なんで。私が悪いことを何かしたの?
なにも、わからない。
さっきのは、師匠の知り合いの人なのかな……それとも、あの研究所の人たちなのかな……
でも、痛みで力が入らない。
その痛みが現実に引き戻し、呼吸もようやく落ち着いてきた。
……どうせ動けないのなら、せめて無駄な痛みはないように今は大人しくしていよう。
なにも、思い出したくない……
と、廊下から足音が複数聞こえる。
「失礼します」
ノックをして入ってくる。
暗い茶髪の少女と、先ほどの少女、そしてもう一人金髪の少女の3人組。
茶髪の少女は表情こそフラットだけど、目に感情の揺れ。
先ほどの大柄な少女はこちらにあまり注意が向いてないのかな。外の方を時折見ていた。
そして興味深そうにみてくるのが、金髪に黒メッシュの少女。
三者三様の、凸凹ともとれる不思議な組み合わせだった。
「アナさん、目が覚めたんですね」
「あなた、は……?」
先頭に立っていた茶髪の少女が話しかけてくるけど、やっぱり会ったことはない、はず……
「……そう、ですよね。
いえ、わからなくても当然なんですけど……」
「ごめんなさい、昔はいろんなところを転々としてたから……」
かつてどこかで知り合いだったのかもしれないけど、そう言う記憶はここ数年の監禁で、ほとんどがこぼれ落ちてしまった。
もしそうなら、申し訳ないなぁ。
「あ、違います。私たちはそもそもまだ2年ほどしか生きてないですから」
……え?2年?20年ではなく?
どうみても10代半ばから後半のその姿や物腰の落ち着きようが、数年しか生きてきた生き物のそれではない。
「え?それってどういう……」
思わず困惑してしまう。
「ええ、これから私たちの知りうる限りのことは話します……アナさん……いえ、お母様」
というわけで第二章スタートです!
今後の予定として週二回本編更新、時々おまけが不定期更新入ります。
更新時間は今回から0:20に変更になります。




