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アナリティクス・プロジェクト  作者: 神空鴉那
第一章 第二節
24/28

[おまけTIPS] 5月20日始業日誌

[なんでもない朝]

2014.5.20 05:05:05 浮寺市

side:鈴酒(すずき) 浩一郎(こういちろう)


始発便運転手の朝は早い。

ここから県北方面へは鉄道が走ってないため、バスが移動インフラの鍵になる。

片道1時間近くかかるし、トラックも多いので定刻通りと行かないことも多い。

しかし、それでも職務を果たすため今日も普段と変わらず身支度をして家を出る。

「いってきます」

まだ静かな家を後にし、車に乗り込んだ。


「外観よーし」

始業前点検も、まだ辺りは暗いので大きな音は立てられない。

指差し確認でひとつひとつチェックしていく。

「空気圧ヨシ、灯火よーし」

毎日のことだが、人の命を預かると言うこと。

手は抜けない。

いつも通り、手は抜かずチェック項目を埋めていく。うん、今日も問題なさそうだ。

お守りがわりの家族写真のミニホルダーを壁面にマグネットで止める。

「今日もよろしくな」

ハンドルを小突きながら、エンジンに火を入れた。


「にしても、珍しいな」

いつもならこの便でも利用する人は何人かいる。

高校生や社会人……基本的にいつも同じ人たちではあるのだが。

しかし、今日は誰もいつもの停留所に立っていなかった。二つ目の停留所も、通過する。

「ま、そう言う日もあるのかなぁ」

だからといって、手を抜くなんてことはない。

いつ誰が乗っても出迎えられるようにするのも仕事だ。

「さて、駅はどうだろうかな」

駅のロータリーにむけ、ウインカーを点けて左折した。

どうやら誰か立っているようだ。

今日初の乗客に向けて改めて気を引き締める。

悔いのないよう、出迎えるために。

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