5 眠る少年
2月11日 朝
第一惑星ヌーラーン軌道上 アル・サフィア孤児院の医療室
「やはり薬で昏睡状態にされていただけのようね。身体には点滴針の跡以外、傷ひとつ無かったそうよ」
緊急医療用のベッドで眠る少年を、隣の部屋から窓ガラス越しに見つめながら、院長のパウラ・ミランダーが言った。その隣には同じく少年を見つめ、不安な表情を隠せないジセリオスも立っていた。
「それは、朗報です」
「ジセリオス、なぜここに連れてきたの?」
「すみません。ここが考えうる中で、一番安全だと思ったので。それに私はまだ任務の途中で、彼にずっとついているわけには……」
ジスは心配そうに少年を見つめながらそう言った。
「仕方ないわね。この少年の事を局長は知っているの?」
ジスは少し黙り混んだ。
そして一考してから「彼女には任務終了後に報告するつもりです」
「ええ、それがいいわね。中途半端な情報は、余計な混乱を招きかねないものね」
ミランダーが含みを込めて言った。
「それでは、私は任務に戻ります。彼に何かあればすぐご連絡を」
そう言うとジスは足早に診療室を出ていった。
院長室に戻ったミランダーは、ジスの乗ったシャトルがステーションから離れるのを窓から確認すると、静かにUNIを取り出した。そして、連絡先の中からイザベラ・マクスウェルを選択した。
「ちょっと知りたいことがあるの。ええ、そうよ。エクレシア・テラ地球本部の特別調査官、ジセリオス・ラムダの現在の任務内容の詳細情報を……当たり前じゃない。当然機密情報でしょうよ。とにかくできるだけ急ぎで、お願い」




