11 家族
リングに太陽の光が斜めに降り注ぎ、巨大な都市全体がオレンジと金色に染まり始めていた。中央部にあるチューブリフト・ステーション前に、時間通りに到着したジスとエイカがUNIで最終チェックをしていた。
「イシュマール号の医療室にこんなハイスペックな多目的アナライザーを搭載してるんですか?」
ジスが目を丸くして言った。
「ええ、ちょっとばかり値は張ったけどね。あの頃はウェンも退役したばかりで、私も大手の病院に勤めていたから、まぁ……羽振りがよかったのよ」
エイカはUNIを操作しながら続けた。
「けれど思った通り。ウェンたち、遅れているわね」
「出港時刻はかなり余裕を持って決めておいたので、大丈夫でしょう。ほら、あれはリゲルたちじゃないですか?」
ジスが指さす方向に、自分の体と同じくらい大きな袋を抱えたリゲルと、何かの食べ物を頬張りながらこちらに手を振るウェンが、ゆっくりと歩いてくる姿が見えた。
「やだ、ちょっとあの子ったら、何を抱えてるのかしら」
エイカがリゲルを二度見した。
「おう、遅くなっちまったな、わりぃ」ウェンがガハハと笑いながら近づいてきた。
「これ、射的のゲームの景品。クマさんのぬいぐるみ」
リゲルもエヘヘと照れくさそうに笑いながら、大きなぬいぐるみを抱え直した。
「そのぬいぐるみ……はともかく、リフトは食べ物禁止よ! ウェン、早く食べちゃいなさい」
エイカが子供を叱るような口調で言った。
彼らはチューブリフトに乗り込んだ。リフトが上昇を始めると、上半分の透明な窓から、夕暮れ色に染まる巨大な都市の景色が広がっていった。リゲルは少し疲れた様子で窓に寄りかかり、遠くの街並みが柔らかい闇に包まれていく様子をじっと見つめていた。
「おまえら、喧嘩しなかったか?」ウェンが小声で意地悪くジスに聞いた。
「非常に有意義な時間でしたよ。そちらはいかがでしたか?」
ジスが穏やかに返すと、ウェンがニヤリと笑った。
「楽しかったよね、ウェン」
二人は軽く拳をタッチさせた。その様子を見ていたエイカの口元に、自然と笑みがこぼれた。




