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ルミナ☆オーバードライブ  作者: コルミ
第11話 人形の誤解(のし掛かり)
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ep.56 現れた"異物"

(!!! おーが! ラベスが現れた!)

「何!? どこだ!?」


 テストの回答合わせを終え、いつもの緑地公園で魔法の練習をしていたおーがこと日色(ひいろ)凰我(おうが)(愛称:ヒロ男)。魂だけの状態でヒロ男の身体に居候している異世界人のティオリアが警察署で発生したラベスの気配を感知する。


(街の向こう…、かなり遠いわ…! それにラベスの気配がどんどん大きくなってる…! これ…かなりの人が取り込まれてる! 早く行かないと!)

「マジかよ…! くそ! ティオリア! 変身だ!」

「えぇ!」


 そしてヒロ男の身体がパアアアアアと光に包まれ、光の中から『魔法少女ティア』が姿を現す。


「コーセー悪い! 行ってくる!」

「あぁ! 無理するなよ!?」

「わかってる!」


 一緒にいたコーセーこと夜久(やく)輝星(こうせい)(愛称:やっ君)に声を掛け、ヒロ男はドンッ!と大きく跳躍し現場へ跳んでいった。


「ノワール! 私たちも行こう!」

「うむ! 急がねば凰我にいい所を全て持って行かれてしまう!」

「そういうのはどうでもいいの! コード:アニマ・リベロ!」


 ヒロ男とコーセーの魔法の練習を見ていた椎名(しいな)琴乃(ことの)が詠唱し、光に包まれる。そして光の中から黒を基調としたドレスに身を包んだ『魔法少女ルナ』が姿を現す。


「コード:レオ・リーベル!」


 琴乃は大杖を子猫サイズの黒猫ぬい、ノワールに向け詠唱。するとノワールが光に包まれどんどん巨大化し、光の中からサイほどの大きさの巨大な黒獅子が姿を現す。


「早く乗れ琴乃! 凰我に追いついて未だ飛べない事を煽り散らかしてやらねばならぬ!」

「だからそういうのは…! もういいや。 はい、乗ったよ!」

「うむ! 行《ゆ》くぞ!」「やっ君、行ってくるね!」

「椎名さん! ノワール! 気を付けて!」


 そしてノワールは勢い良く地面を蹴り、そのまま空を駆けていった。


「………」


 出撃していった仲間たちを見送ったコーセーは一人空を見上げる。心がソワソワする。

 ここ数日はこのように、騒がしかった直後の静寂が心にチクチクと何かを訴え掛けてくるような感覚に襲われていた。


(戦えるのはおーがだけ…、そう思っていたら椎名さんが戦い出した。……、戦えないって思ってること自体が逃げ(・・)なのかな…)


 そんなことを思いながら、コーセーはしばらく空を眺め続けた。




「離れろ! 距離を取れ! 近づくな! 食われるぞ!」

ダンッ! ダンッ ダンッ!

「撃て! 絶対に外に出すんじゃない! ここで仕留めるんだ!」

ダンッ! ダンッ ダンッ!


 警察署ではラベスと警官たちとの壮絶な戦いが繰り広げられていた。


「があああああ!!!」

ドガァン!

「ぐあ!」


 事務室から出たラベスは大きな腕を振り回しながら廊下を進行。巨体を壁にガリガリと擦りながら広いホールへ到達し、そこで大暴れしていた。


ビュルルルルル

「ひっ! うわあああああ!!! 助け…!!! いやだあああああああ!!!!!!」

バクンッ

「また食われたぞおお!!! 距離を取れえ!!!」


 暴れるラベスは近くに倒れた警官を触手で捕まえ、ずるずると腹の中へ引き摺り込み取り込んでいく。


「撃て! 撃ち続けろぉ!」

ダンッダンッダンッダン!

「ぐううう、がああああ!!!」


 警官たちは必死に拳銃で応戦するも、ラベスが展開する魔力障壁を貫くことができず、全くダメージを与えることができない。



 警察署の外では署内で鳴り響く銃声に釣られ、野次馬が集まっていた。その野次馬を婦警たちが必死に押し返そうとする。


「危険です!!! 近づかないでください!!!」

「何があったんだ!? 警察署内で銃撃戦なんて前代未聞だぞ!?」

「お願いですから散ってください!!! 死んじゃいます!!!」


 言うことを聞かない野次馬たちに必死に訴え掛ける婦警たち。しかし危機感の欠如した野次馬たちにその声は届かない。


 その野次馬たちの最前列で、疑似ちゃんは警察署内の戦闘を眺めていた。


(戦闘力、皆無。魔導士不在。配備されてない? 治安維持組織として不完全。理解不能)


 最低限の強さで作り出したラベスがどんどん人を吸収し、どんどん強くなっていく。ティオリアとゼノウィータがいた世界では有り得ない光景だ。あちらの世界では騒ぎが起きた瞬間に魔導士が飛んで来てあっという間に鎮圧が完了する。しかしここでは未だ魔導士が現れない。


(魔導士、存在しない? 有り得ない。監視対象二人が強力な魔導士。うち一人はこの世界の魔導士。オリジナル(ティオリア)が育てたとは考えられない強さだから間違いない。では何故他の魔導士が現れない?)


 首を傾げる疑似ちゃん。すると近くを武装された水色と白(・・・・)の車両が何台も通り、警察署の敷地内に入っていく。


「SAT!? 特殊部隊まで来るってどうなってるんだ!? 何やってるのか教えろ!」

「答えられません!!! いいから離れてください!!!」


 野次馬と婦警の言い争いは尚も続いている。


(この世界の特殊部隊? にしては魔力を感じない。非常に貧弱。わからない。この世界の基準、不明瞭)


 疑似ちゃんの疑問が深まっていく。

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