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ルミナ☆オーバードライブ  作者: コルミ
第9話 人形の誤算1(ルミナ☆プロファイリング)
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ep.49 ルミナ☆プロファイリング

「話戻るんだけど、ゼノ助と私たちの"情報のズレ"ってなんのこと?」


 琴乃が首を傾げる。


「今の話の通りだよ。この世界の人間は雑魚ラベス一体に(・・・・・・・・)だって対処できない(・・・・・・・・・)。つまりゼノウィータは旅行気分で日本を旅しながら途中にラベスを置いて来るだけで日本を蹂躙できちゃうってわけ」

「つまり、それをしないゼノ助は外の世界は危険だと思ってるってわけだ。…なんでそうなるの???」


 琴乃が傾げた首を逆向きに傾げる。


(断定はできませんけど、この世界の"魔法の立ち位置"を誤認しているのではないかと…。私とゼノウィータがいた世界では魔法は"あって当たり前"のものでした。私も最初おーがさんにこの世界のことを聞いた時は心底驚きましたし。なので、最初に魔力の気配が無い街を見た時、ゼノウィータはこう思ったはずです。『発展後進国《・・・・・》』、と…)

「その最初の認識が、ティオリアさんが『雑な"楽観"』って言ってた巨大ガラスまでの三体のラベスってわけだ」


 コーセーがティオリアの過去の話を思い出しながら頷く。


(はい。しかし私たちがラベスを早急に排除したことによりゼノウィータの認識が変わったはずです。『この世界にも強い魔導士がいるかもしれない』、と)

「それの確認がヤクザ襲撃と、その後の犬型のニョロ助…」


 琴乃が険しい表情で呟く。


(ヤクザ襲撃でゼノウィータは反社会組織に魔導士が配備されてない事に疑問を持ったはずです。だから襲撃に使ったラベス二体の内の一体を外に放流して世界の反応を見た)

「それを俺が倒した…と」


 ヒロ男が呟く。


(えぇ。そしてゼノウィータは思ったはずです。『この世界に魔導士は一人だけなのではないか』、と)

「だから二頭の犬型を放った…」


 コーセーが口を押える。


(ここでもしおーがさんだけで対処していたら、もしかしたら…、この世界はすでにゼノウィータの手に落ちていたかもしれません…。でもそうはならなかった。"琴乃さんの参入"が、ゼノウィータのこの世界への認識を完全に誤認させたんです)

「え…、なんで? どういうこと…?」


 引き合いに出された琴乃が困惑する。


(ゼノウィータの認識は、『この世界で戦っているのは私の魂が手を貸しているおーがさんただ一人。それを犬型二頭で確定できれば他の地域に移動して人間を思う存分吸収して魔力を蓄えダメージを回復。その後この地域に戻りおーがさんと私を排除して世界をゆっくり浸蝕できる』というものだったはずです)

「「「(ごくり…)」」」


 ヒロ男、コーセー、琴乃が同時に息を飲む。


(しかし二頭の内の一頭を琴乃さんが倒した。しかも明らかに新米魔導士ではない(・・・・・・・・・)強さ(・・)を見せつけて。ここが重要です。もし弱かったら、ゼノウィータは"私が取り急ぎ育てた新米"だと思ったはず、そうなれば"この世界に魔導士はいない"という推測を補強してしまっていたでしょう。でも琴乃さんは私の世界でも見たことが無いような天才です。とても数日育てただけで到達できる強さではなかった。ゼノウィータは琴乃さんを『この世界で独自に実力をつけた現地の実力者』と判断したはず。つまり、"この世界に魔導士はいない"という前提を崩壊させたんです)


 ティオリアの推測。確証は無いが、それは確かな説得力があった。


「椎名さんの存在が…、"この世界にも魔導士が隠れている"っていう『壮大なブラフ』を作り上げたのか…」


 コーセーが呟く。その表情は驚きと焦りが混じったようなものだった。一歩間違えればすでに世界は終わっていたのだ。その恐ろしい事実に、額に汗が滲む。


(……と、私もあれこれ即興で推測しながら(・・・・・・・・・)話しましたが、予想以上に筋が通っちゃいましたね。特に犬型二頭のところ…、自分で言ってて鳥肌が立ちました)

「おま…! 即興だったのかよ!?」

(当り前じゃないですか。こんな推測、思い付いたらすぐに報告してますよ。いや~…、プロファイリングは普段からやった方がいいかもしれませんね…)

「ははは…、確かに…、やった方がいいかもね…」


 最後に締まらない事を言うティオリアに、三人は揃って気が抜けたようにため息を吐いた。そしてコーセーはチラッと窓を見る。


(疑似ちゃんのあの残念な尾行…、もしかしたらティオリアさんの記憶から作られた影響なのかもね…)


 なんとなくそう思い、コーセーはクスッと笑った。




「おいお前たち、話は終わったか? ちょっと来てみろ」


 突然ノワールが声を掛けてくる。今までやたら静かだと思っていたら一人(?)で窓の外を覗いていた。


「ノワール、どうしたの?」


 琴乃が尋ねながら窓の外を覗く。ヒロ男とコーセーも琴乃の後ろから窓の外を見てみる。

 窓から見える通りの向こう。そこに白い大きなバンが駐車してあり、その近くで体格の良い男三人が何かを取り囲んでいる。男たちの隙間から綺麗な黒い長髪がチラチラ見える。


「えぇ…、どういう状況だよ…」


 ヒロ男が困惑したように呟くと、男たちは取り囲んでいた何かを抱えてバンへ移動し始めた。やはりというかなんというか、運ばれているのは疑似ちゃんだった。


「あれ誘拐だよね…。助けた方がいいのかな…?」

「で、でも疑似ちゃんだよ…?」


 神妙な表情で確認する琴乃と困惑するコーセー。魔法が使えるはずの疑似ちゃんが何故無防備に運ばれているのか。意味がわからない。

 そうこうしているうちに疑似ちゃんはバンに押し込まれ、男たちも乗り込み、バンは走り出した。


「あぁもう! ティオリアの身体だぞ!? もっと大切に扱えってんだ!」


 ヒロ男はそう言ってコーセーの部屋を飛び出していった。助けに行くつもりのようだ。


「やっ君、私たちも行こう!」

「う、うん…」


 琴乃もノワールを抱え、コーセーと一緒に部屋を飛び出した。

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