ep.40 捜査
こうして話はまとまり(?)、並んで学校を目指す三人。
すると進行方向の先で、同じ学校の生徒がスーツ姿の二人組に話し掛けられているのが見えた。
「……。やっ君、あれ何かな?」
「なんだろうね…。宗教の勧誘とか…じゃなさそうだよね、スーツだし」
訝しむ琴乃とコーセー。
「警察かマスコミじゃねぇの? 一昨日のカラス絡みだろ」
「あぁ…」
ヒロ男の言葉に納得するコーセー。
実は昨日は絶対マスコミがいるだろうと思って身構えていたのだが、結局一日そのような影は全く現れず、今日になってその存在をすっかり忘れていた。
「…。ノワール、今のうちにどっか歩いてて」
「やれやれ仕方ないな。では放課後なったら校門近くをうろついてるのでな、それまでさらばだ」
ノワールはそう言うと琴乃の頭からぴょんと降り、どこかへ歩いていった。
ノワールを見送り、三人は再び歩き出す。するとすぐに例のスーツ姿の二人組に声を掛けられた。
「おはよう君たち。ちょっとお話いいかな?」
警察手帳を見せながら優しい口調で聞いてくる。
「あ、おはようございます。少しなら大丈夫ですよ」
コーセーが一歩前に出て対応する。琴乃の目には緊張が浮かび、ヒロ男は特に変わることなくコーセーの対応を眺める。
「実は私たちは今SNSで話題になっている二人の女性を探しているんだ。『魔法少女ティア』と『魔法少女ルナ』。動画のことは君たち知ってるかな?」
「はい、知ってます。クラスでも皆騒いでますし、うちの学校でも暴れてましたしね」
冷静に、慎重に情報を出していく。
「君たちもあの学校の生徒なんだね。"巨大なカラス"の話は本当なのかい?」
「はい。僕もこの目で見ました。その後女の子が一人でカラスを撃退してて唖然としましたよ」
嘘を言わず、本当の事も言わずに話を進める。
「…、その女の子と面識は?」
「あの髪色と衣装ですよ? 学校に居たら生徒指導室送りですよ」
嘘を言わないように、逸らす。
「でも警察が調べてるってことは、他の動画の化け物も全部本物なんですか?」
「……私たちのスタンスとしては状況証拠で判断ということになってるよ。SNSの動画は信じないけど、監視カメラの映像や破壊された通りの地面、そして倒された信号機などから、そこで"何があったのか"を調査してる。今探してる二人は重要参考人ってところだね」
「へ~、ちなみにその二人がSNSの動画みたいに通りを破壊してたら何か罪になったりするんですか?」
なんとか調査の中身を覗き込もうと質問する。
「ははは、動画が本当だったらか。そうだな、"器物損壊"と"往来妨害"は絶対言われるだろうな。あとは、ルナって子が持ってた大きな杖は、場合によっては"銃刀法違反"、"凶器の携帯"に問われるかもね」
「ははは、杖って鈍器なんですね。勉強になります」
表面上、和やかな雰囲気で会話は進む。その裏でコーセーは高速で思考をぶん回す。そしておそらく二人の警察もコーセーの裏を読もうとじっくり観察しているはずだ。
「…さて、あまり捕まえておくと遅刻させてしまうね。捜査協力に感謝するよ。ありがとう、気を付けて行っておいで」
「ありがとうございます。そちらもがんばってください」
コーセーがお辞儀をすると、ヒロ男と琴乃も頭を軽く下げる。警官二人は軽く手を振りながら近くに駐車してある車に向かって歩いていった。
「ふー、さんきゅーコーセー。さすがの話術だぜ」
ヒロ男が笑ってコーセーの肩をポンと叩く。
(ほんと、コーセーさんって"ああいう仕事"向いてるんじゃないですか?)
「うん…、やっ君すごい…」
ティオリアと琴乃もコーセーを絶賛する。
「はは、なんとかなって良かったよ。けど面識を聞かれた時に露骨に逸らしちゃったから、もしかしたら怪しまれたかもね」
「え? 逸らしてたか? 普通に話進んでたぞ?」
ヒロ男が首を傾げる。
「質問に答えなかったからね。気付く人は間違いなく気付くよ。…まぁ、たぶん大丈夫だよ」
「…、全然わからん…」




