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ルミナ☆オーバードライブ  作者: コルミ
第7話 子猫の覚悟(アニマ・リベロ)
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ep.36 琴葉ルナ

 光が消えた後、琴乃はコーセーのところへ飛んで行った。


「やっ君!!! 大丈夫!!?」

「大丈夫…、ちょっと擦りむいただけ――いっ!」


 立ち上がろうとするコーセーだったが、どこか怪我をしているらしく転がった状態から動けないでいた。


「待ってて! 今治してあげる!」


 琴乃は大杖をコーセーに掲げ、少し集中するとふわっとコーセーの身体が光り、そして消えた。


「…どう? 痛いの消えた?」

「え…、あ、消えた。す、すごいね椎名さん、ありがとう」


 痛かった部位を確認しながらゆっくりと立ち上がるコーセー。琴乃はそれを確認しほっと胸を撫で下ろす。


「椎名さん、その格好…。それに…、ノワール…だよね…?」


 コーセーは黒いドレスに身を包んだ琴乃と巨大化したノワールを交互に見て思わず突っ込んでしまった。


「…! あ、あんまり見ないで…」


 琴乃は少し視線を外し右手で左腕を抱き寄せた。頬が少し赤くなっている。

 その仕草にコーセーまで釣られて恥ずかしくなり、急いで視線をノワールへ移す。


「ご、ごめん! でも! す、すごく可愛いと思うよ!」

「ふははははは! 我の事はもっと見てくれて良いぞ!? これが我の真の姿だ!!!」


 上機嫌のノワールに顔が真っ赤の琴乃が大杖を振り下ろし、ぼふっと鬣《たてがみ》を叩く。

 その様子を見て、二人の中身が全く変わっていないことに安堵する。


 すると突然後ろから声を掛けられた。


「ちょっと良いかな!? 君、今SNSでバズってる子の友達か何か!? 少し話聞かせて欲しいんだけど…!」


 大学生くらいの男がスマホ片手に興奮した様子で聞いてきた。


「え…、えっと…」


 琴乃は身を縮こませ、コーセーとノワールがス…と琴乃の前に出る。


「小僧、ここに残っておった度胸とすぐ我らに声を掛ける行動力は認めてやるが、少しTPOを弁えた方が良いぞ? 失せるがいい」

「すげぇ…! ライオンが喋ってる…! "琴乃ちゃん"の使い魔みたいな感じなのかな!?」


(!!! まずい…! 椎名さんの個人情報が洩れる…! ノワールが大声で喋ってたのを聞いてたんだ…!)


 コーセーの額に汗が滲む。この情報社会で個人情報が洩れることはとんでもないリスクになる。ましてや化け物騒ぎと魔法少女は今一番ホットなネタだ。下手をしたら琴乃は家まで特定され、外を歩けなくなるかもしれない。


「琴乃? 何を言っている。こいつは『琴葉《ことのは》ルナ』だ。聞き間違えたか?」

「あ! 『ルナちゃん』っていうんだ! 可愛い名前だね!」


 ノワールがシレっと偽名を捏造し、琴乃が目を見開いてノワールを凝視する。

 そしてしつこい男にノワールが最終警告を出す。


「小僧、これ以上関わるなら貴様のスマホを粉砕してやるぞ?」

ぐい

「うわ!?」


 ノワールが巨体を活かして男を押し倒し、前足で踏み踏みする。


「あー…前足に力が入ってしまうなぁ? 貴様の内臓はどれくらい耐えられるのやら…」

「ひ…! わ、悪かった! すぐ消えるから許して!」


 男は慌てた様子で立ち上がり、どこかへ走って行った。

 その後ろ姿を見送り、コーセーが口を開く。


「よし、二人とも、すぐに移動しよう」

「む?」「移動?」


 ノワールと琴乃が同時に首を傾げる。


「きっとすぐに警察が来る。職質されたら面倒だよ。ノワール、もう一つの気配はどうなってる?」

「ふむ……、少し前まで"向こう"に気配があったが、今は消えてるな」


 ノワールが鼻先で方向を指す。


「学校方面か…、たぶんおーがは近い方から処理しようとしたんだね。今気配が消えてるならたぶん無事に倒せたんだと思う。で、おーがは今こっちに向かってるはずだ。俺たちも向こうへ行こう。ノワール、悪いんだけど乗せて貰っていいかな? 今のノワールが飛んでればおーがはすぐに気付いてくれると思うんだ」

「良かろう。乗れ、二人とも」


 そしてノワールはコーセーと琴乃を背に乗せ、悠々と空中を"駆け"始めた。


「……、ねぇノワール、"走る真似"する必要ある? 無駄に揺れるだけじゃない?」


 背中で揺られながら疑問を投げる琴乃。


「ふははははは! 四つ足動物が微動だにせず空中を浮遊移動する姿を想像してみろ! シュール過ぎて腹が捩れるわ!」

「ははは…、確かにシュールだね…」


 その光景を想像して苦笑いするコーセー。


「確かに…、"見せ方"は大事だよね…」


 琴乃は額に手を当て、呆れた表情をしつつも理解を示した。

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