ep.24 面倒なヒロ男
(そうだコーセーさん、今回おーがさんが開発したルミナ☆スローなのですが、ソニックブームが非常に危険なので改良案ありませんか?)
「あぁ…、俺も動画で確認したよ…。おーが…、『投石を極めようとするな』って釘刺したのに…」
「それに今回は少し斜め下に投げてたから地面に当たって石が止まってたけど、下手したら射線上の人や建物に当たって大惨事になってたよ? ヒロ男くん、もうちょっと後の事考えた方がいいよ?」
自信満々に編み出したルミナ☆スローへ次々にダメ出しをされ、ヒロ男がやけくそ気味に声を上げる。
「わかったよ! 全力で投げなきゃいいんだろ!? それならソニックブームってやつも起きないし貫通もしないだろ! せっかく手に入れた遠距離攻撃手段なんだ! あんまりボロクソに言わないでくれ!」
言いたいことを言ったヒロ男は正座から三角座りになり、背を向けていじけ出した。
「どうせ俺は後先考えない脳筋だよ…、光線も出せない似非ヒーローさ…」
(お、おーがさん! 発想はすごく良かったですよ! 石に魔力を込めてコーティングするとかなかなか思いつきません! 今回はちょ~っと強くやり過ぎちゃっただけなので! ほら! 元気出しましょう!)
ちょっと言い過ぎたと思ったティオリアが必死にヒロ男のよいしょを開始。
「そうだよ! それに今のおーがなら光線とか出せるんじゃないか!? だいぶ魔法への理解も進んできただろ!?」
コーセーもティオリアと一緒にヒロ男を励ます。
その光景を見ていた琴乃は…。
(ヒロ男くんって面倒ないじけ方するんだね…)
と、少し冷ややかに見つつも、今口を出すと止めを刺しかねないのは自分でわかっているので、大人しく二人のよいしょを静観することにした。
そしてよいしょが終わるまで、ヒロ男が帰って来るまでコーセーに教えて貰った魔力の扱いについての復習を頭の中で開始。
(魔力を感じて…、イメージ…、そうすれば魔力は応えてくれる…だっけ)
ヒロ男が『光線も出せない』といじけているので、魔法で光線を出すのはそんなに難しいのか?と疑問に思い、指を地面に向けて指先から光線が出るイメージをしてみた。
すると…。
キィィィィ… ビュン ジュッ
「あ……出た」
指先に魔力が収束し、その後放射された熱線で地面が少し焦げた。
(琴乃さん! すごいです! 何で魔法使えるんですか!? 隠れ魔導士だったんですか!?)
「え? あ、いや、やっ君に少し教えて貰って…」
ヒロ男の背後で魔力の収束を感じ取ったティオリアがそちらに意識を向けたら琴乃が指から魔力の収束砲を放っていたのだ。ヒロ男のよいしょもそっちのけで琴乃に話し掛けに行く。
「え? 椎名さん魔法使えたの? 俺もまだ使えないのに…」
「し、椎名が…、魔法…だと…?」
コーセーが目を丸くし、ヒロ男は驚愕の表情で琴乃を見る。
(琴乃さん琴乃さん! もう一回見せてください!)
「え…、できるかな…」
ティオリアに促され、再び指から光線が出るイメージをしてみる琴乃。
キィィィィ… ビュン ジュッ
(すごいですすごいです! 完璧です琴乃さん!)
「ま…まじかよ…」
はしゃぐティオリアと呆然とするヒロ男。
コーセーはこの状況を"非常に危険"と判断し、すぐに"ヒロ男救出"のために動き出す。
「おーが、良かったじゃないか。手本が目の前に現れたぞ? 娯楽作品内じゃない"リアルな"光線だ。これで格段にイメージし易くなったんじゃないか?」
「え…? あ…、そうか…。…そうだな! コーセー! 俺がんばるわ!」
「うん、がんばれおーが」
コーセーに"誘導"されたヒロ男は三角座りのまま自身の魔力と向き合い始める。それを見てコーセーはほっと胸を撫で下ろす。
(良かった…、危うく"意地の引き篭もりモード"に入るところだった…)
ヒロ男は昔から大きな挫折を味わうと家に引き篭もり、挫折の対象に打ち勝つまで自己鍛錬に明け暮れるのだ。
ヒロ男が一度そうなるとその期間中は親友のコーセーですら連絡が取れなくなる。強くなるのは良いことだが、人間関係を一時立ち切ってしまうのは非常によろしくない。
(今はティオリアさんが一緒だから前ほど心配は無いだろうけど、俺もおーがとは話していたいからな)
集中し出したヒロ男を優し気に眺め、次にコーセーは突然魔法を使い出した琴乃へ話し掛けに行く。




