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ルミナ☆オーバードライブ  作者: コルミ
第3話 英雄の矜持(ルミナ☆ナイフ)
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ep.15 頼りにしてますよ?

 ス…と立ち上がるヒロ男。今回の技の組み立てには大満足で、「ふふん!」と得意げに頷いた。

 校舎からも「ティアちゃああああん!」「かっこいいいいい!」「かわいいいいい!」「結婚してくれええええ!」などの声援が届く。

 しかし校門の近くから予想外の声が掛かる。


「ティアさん! お疲れ様! 今回もすごく可愛かったよ!」

「えぇぇぇ…、なんでぇぇぇ…?」


 馬鹿だった。スマホを構えた馬鹿が校門に立って動画撮影をしている。

 いったいいつからそこに居たのか、戦っている最中は全く気が付かなかった。


「あの…、私が戦ってる化け物はすごくあぶないので…、貴方そのうち死にますよ?」

「ティアさんの近くで死ねるなら本望です!」

「迷惑ですのでやめてください」

「あぁ…、蔑む表情も美しい…」


 精一杯の警告のつもりだったが気色悪い返答をされ表情が引き攣る。


(まずいぞティオリア。これ以上こいつに関わると俺はこの馬鹿を殺してしまうかもしれん)

(我慢してください。私だって動画撮られるのは恥ずかしいんですからね?)

(ぐぐぅ…)


 とりあえずこれ以上関わりたくないので放置して校舎へ向かうことにしたヒロ男。


「ティアさん! 応援してます! がんばってください!」


 背後で馬鹿が何か言っているが、ヒロ男は無視して校庭を歩いた。



(さて、クラスの連中にはどんな言い訳しようかねぇ)

(やっぱり何も考えてなかったんですね…)


 歩きながら言い訳を考えるヒロ男。しかし良い言い訳は思いつかない。 


(……よし。凰我さん、少し私に任せて貰えませんか?)

(ん? 任せるって?)


 何かを決意したかのような雰囲気のティオリア。


(変身状態のまま教室に戻りましょう。凰我さんは何も喋らないでください。私が何とかします)

(………、わかった、任せる)


 そう言葉を交わし、ヒロ男は歓声鳴り止まぬ校舎へ近づき、跳躍して二階の教室へ戻った。


「ティアちゃん帰ってきたあああああ!!!」

「おかえりティアちゃん!!!」「絡まれてたけど大丈夫だったの!?」

「待て!!! ヒロ男かもしれん!!!」

「お前いい加減落ち着けよ」「どっちでもいいだろうが!」


 好き勝手なことを言ってくるクラスメイトたち。軽く文句を言いたい気分だが、ティオリアに喋るなと言われている。信じて待つ。

 するとヒロ男の表情筋が"勝手に"動き出し、微笑んだ。


「皆さん、今回は驚かせてしまって申し訳ありませんでした」


 "勝手に"声が出た。首から上のコントロールが効かない。


(ティ、ティオリアが喋ってるのか!?)

(はい。かなり疲れますが、少しこのまま顔の操作を借りますよ)


「ティアちゃん声可愛い」

「演説か?」

「撮影したい――」

「我慢しろ馬鹿」「サイテー」


 教室中からざわざわと声が聞こえる。しかし先ほどまでの熱狂的な雰囲気ではなく、ティオリアの次の言葉を待つように落ち着いた雰囲気になっている。


「私はティアと言います。凰我さんの身体をお借りしてこの世界に顕現している者です。私はあの化け物の親玉を追っていて、凰我さんはそれに協力してくれていたんです。今朝、凰我さんが何も言わなかったのは私を気遣ってのことで…、でも、結果的に今回のハプニングで皆さんの前に出て来てしまいました。私はまだしばらく凰我さんの身体を借りねばなりません。なので、どうかあまり凰我さんを質問攻めにはしないであげてください。話せることは私が直接お話しますので」

「え!? 話してくれるの!? 毎回変身してくれるってこと!?」


 今朝、動画の美少女の名前を聞きたがっていたクラスメイトが嬉しそうに聞き返すが…。


「いえ、頭に直接言葉を届けます」

(こんな風に)


 ティオリアが、いつもヒロ男と話しているときのようにクラスメイトの頭に直接言葉を送った。

 するとクラスメイトたちはざわざわし出す。


「頭の中で声が…!」「なんだこれ…!」「すごい…!」


 ティオリアはニコッと笑い、口を開く。


「ではそろそろ身体を凰我さんにお返ししたいので、質問の続きは先ほどのように対応しますね。では皆さん、眩しいので目を閉じてください」


 すると魔法少女ヒロ男は眩い光に包まれる。

 その光の空間内は外とは時間の流れが異なっており、ヒロ男とティオリアはこの空間では"向かい合って"話すことができる。

 ヒロ男が半透明のティオリアに話し掛ける。


「良いのかよ、こんな面倒なこと引き受けて」

「問題ありません。確かに最初は質問が多くて大変でしょうけど、落ち着けば私もクラスメイトの皆さんと楽しくおしゃべりできるメリットもあるんですよ? せっかく異世界に来てるんです。お友達はたくさん欲しいじゃないですか♪」


 そう言って可愛らしく笑うティオリアは、ヒロ男にはすごく格好良く見えた。

 ヒロ男はフッと微笑む。


「…そうか。変な事言ってきたやつがいたらすぐ言えよ? 俺がぶん殴ってやる」

「ふふふ、わかりました。頼りにしてますよ、おーが(・・・)さん?」


 そうして少しの間二人は笑い合い、光の空間を後にする。

 その後、変身の解けたヒロ男はクラスメイトに労われ、ティオリアは約束通り皆の質問に丁寧に答えていった。

 楽しそうに話すティオリアの声を聞きながら、ヒロ男はまた微笑むのだった。

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