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086●命令ではない

「こんばんは、帝王さん。」

帝王は言葉を失っていた。

ただ、ソレイユを見つめる。

開いた口を閉じることができない。


「・・・これは・・・幻か・・・。余はついに幻影を見るようになった・・のか・・・。」

「あら、わたしは‘実体化’していますよ。ほら。」

ソレイユは帝王の右手を両手で包む。柔らかな感触、温かさが伝わる。

帝王の両眼から、熱いものが流れ出す。

「そ、そなたに命じる!ここにいるのだ!余といるのだ!何でもよい!話せ!話してくれ!いや、聞くだけでよい!余の話を聞いてくれ!命令である!いや、命令ではない・・。頼む。頼むから・・・消えないでいてくれ・・・。」

「いいですよ。少しだけ、いっしょにいてあげる。」


星々が見え始める。

だが、それらは、今や、冷たい光ではなかった。

星の瞬きが、これほど柔らかく暖かなものに変わるとは、

帝王は思ってもみなかった。


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