085⚫️帝王日記 その5
臣下を増やした。
第2臣下として、メフィスト。第3はマルガレーテである。
第4臣下がヴァーグナー、第5臣がヘレナである。
何をしておる!いかんぞ!
互いに口論するのではない!
余はそのような争い事は好まぬ・・・。
争い事を好まぬ、のだ・・・余は争い事を好まぬ・・・のか。
・・・いや、どうでもよい!
そうだ、そのように5人で穏やかに話すのだ。
雨か。珍しいな。・・・風も強い。これは・・・大雨だ!・・・うむ、いかん!
我が5人の臣たちはどうだ?
いや、あのどっしりとした重さであるから、異常はあるまい・・・。
だが、もし大きな波がくれば・・・だめだ、これは行かねば!
ファウストが流された!
あとの4人は、何とか小屋まで運んだが。
ああ、我が第1の臣、ファウスト!
もう、会えんのか。
マルガレーテ、泣くではない!
余が必ず、見つけ出す!
帝王に二言はない!
海中を探す。
いない。この透明度で見落とすはずはない。
いかに大波とはいえ、それほど遠くまで運ばれるはずはない。
海は腰までしかないが、やはり体力は消耗するぞ。
ええい、帝王に何をさせておる!
ファウスト、返事をせんかあ!
見つけたぞ!よかったのう!
みな、喜んでおる。これで5人とも勢揃いだ!
ハッ、ハッ、ハア!礼にはおよばぬ。
余、自らが選んだことである。
5人とも、もう、離れてはいかんぞ!
どうにもならぬ。どうにもならぬのだ・・・。
石は石でしかない。
余が欲するのは、ヒトである。
声のある者、心のある者、余に応える者が欲しいのだ。
誰か応えよ!
余は帝王である・・・帝王であるのだ・・・。
どうすればよいのだ・・・。
肩を落とし、火を見つめる夕暮れ。やがて、闇となる。
突如、夜の帷を切り開くように、帝王の眼前に輝く光球が音もなく現れる。
強い光に、思わず立ち上がり、数歩後退する帝王。
光球の中から、ひとりの人物が進み出る。
それは・・・ソレイユ。




