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083⚫️孤独と人と
人はみな、孤独な存在である。
生まれてくる時はふたりでも
死するときはひとりだ。
だから生まれたとき、どの赤子も手をにぎっている。
その命を手放さぬよう その得たものを離さぬよう
ちいさな指に力をこめている。
人はみな、孤独な存在である。
だからこそ、誰かとともに歩む。
だからこそ、生きる支えを何かに求める。
人生は得たものを無くす過程にすぎない。
それでも、手放せば、その重みを知ることができる。
彷徨いながら、つまずきながら、長い時を行く。
人はみな、孤独な存在である。
やがては無に帰る存在だと気づいている。
しかし、結末がわかっているからと
千年の静寂に耐えるのならば、その人生は何なのだ。
結末がわかっていても、ミステリーを読み進めてもよいのではないか。
過程もまた、味わうに足るのではないか。
道は交差し、ある時は寄り添い、また、ある時は別れる。
それでも、人が歩けば道ができる。
争いながら、手を携えながら、それぞれの結末まで行くのだ。
人はみな、ひとりでは生きて行けないものだから。
「ナカムラさん、起きてください!昼休み、終わりですよ!」
目を開けると、蛍光灯の光がまぶしかった。
「・・・ああ、得意先まわりか。ふたりでだね、タカミヤくん。」
そう呟いた彼の顔には、もう孤独の影はなかった。




