077⚫️愛は勝つ!!!
異常が起こったのは、惑星を出発して艦内時間で72時間後だった。
我々は学者と研究者と1個艦隊に後を任せ、次の目的地に向かう途中だった。
「どうした、’操舵手’?顔が赤いぞ?」
「なんだか、熱っぽいんです、艦長・・・。」
「クドー、操縦を代われ。ドクタールームへ行こう。」
「わたしが一緒に行きます、艦長!」
「すまない、’おまけ’。’その他’、それでしばらく大丈夫か?」
「支障ありません。OKです。」
だが、診断結果をみると、これはあかん!
40度の発熱と全身の倦怠感。
ドクターロボットが薬を「お注射」したが、あんまり効果あらへんやん。
「我々が連邦宙域で摂取した、マルチ・スーパー・ウルトラ・マイティ免疫は有効ではないのか?」
「疲労から来る身体反応かもしれませんが。」と’その他’。
「最近、’操舵手’は働きすぎやったんか、クドー?」
「いいえ、勤務記録やバイオレコードでは、そんなことはありません。」
「と、いうことは、もしかすると・・・。あの惑星で何かに感染した、ということも、一応考えておかないといかんな。」
「・・・空気感染の恐れがあります。艦内消毒を具申します。」
「そうやな、クドー。取りかかろう。全員、宇宙服を着用する。消毒はイチヨンマルマル時から行うで!」
あの惑星で感染したのか?
1万年間、眠っていた病原体がいたのか?
だが、我々は着陸後も宇宙服を着用していた。
帰艦時には、宇宙服も、全身も消毒してたで。
だが、病原体は、予想外の経路から、という可能性がある。
司令部にも緊急報告を行う。
しかし、既に惑星には大規模な人員が着陸して作業を開始しているらしい。
我々が入れ替わり立ち代わり、惑星上で作業したのは300時間だ。
その間に感染したとすれば、潜伏期間が長い。
単なる風邪なのか?
クドーが同じ症状を示す。
自室でドクターロボの手当を受けさせる。
’操舵手’もクドーも、意識はあるが回復しない。
あかん、わしもしんどなってきた!’その他’も倒れてしもた!
調査艦隊は宙域に停止している。
ルナひとりでは、いくらなんでも全10隻の管理・運用はムリやからな。
それぞれが自室でドクターロボットの往診を受ける。
「せんせい、ありがとうございました。」
ドクターロボットにも、丁寧にお礼いわんと、な。
ルナが艦長室に来た。
「艦長、お具合どうです?」
「大丈夫や。ルナの顔みたら元気になるわ。そやけど来たらあかんで。うつるやんか。」」
興奮してるけど、元気にはならへんなあ。
ルナがわしを手をとって、目に涙をためる。
「ううん、わたしもさっきから体調がよくないの・・・。どうせダメになるんなら、グレッグのそばにいたい・・・。」
確かに顔が赤い。握った手も、冷たくあらへん。
ということは、体温がほぼ同じっちゅうことやんか。
「ルナ、すぐにドクターロボットに診てもらうんや。」
「ドクターロボは優秀だけど、最初に症状が出たマリカさんも、まだ回復しないんだよ。わたしたち、このまま全滅するかもしれないわ。」
「そんなこと、あらへんて。そんなこと・・・。」
と言いかけたわしの口をルナの唇が塞ぐ。
そのまま抱き合って、ふたりで泣いて・・・・
あれっ?気分よくなってへんか?
キスをすると、互いの病原体がなぜか打ち消し合って回復する。
マリカさんにはルナが、
クドーと’その他’は、いやがったけどキスさせた。
たちまち、みんな回復や。
「艦長、お見事!解決です!こんな治療法があるなんて!」と’操舵手’。
「つまり、病原体同士が干渉し、互いの活性を打ち消す現象が起きた可能性がある、まるで、孤独だった病原体が仲間に出会って安心したかのように、という理解でよろしいのですかな?」とクドー。
「とても擬人的な比喩表現だが、今のところ的確だ。宇宙は広い。こんなことがあるとは。」とわたし。
「でも、できたら副長とで、というのは避けたかったですね。」と’その他’。
「で、艦長、どうやって、この治療法を見つけたのよ?」
「えっ、それは、その、なんて言うたらええんか、偶然、そう、偶然思いついただけや!}
「’おまけ’が赤くなってますよ。艦長ぉ〜!」
いや、もうそれぐらいで堪忍してや、マリカさん!
後に「愛の病原体」と呼ばれる、この感染症。
愛は人類を救うのである。




