006●お笑いって
バード・タケシは漫才師で、元仮面サイダーである。
彼を改造したショウガは、現在、笑いで世界統一を計る株式会社である。
サイダーはその野望を打ち砕き、
お笑いの多様性を守るため、ショウガと戦うのだ。
「おつかれっす。」と声がかかる。
舞台を終えても、タケシの身体から緊張は抜けないままだった。
汗ばんだ掌をジーンズで拭いながら、彼はマネージャーに尋ねた。
「ああ、お疲れ様でした。どうでした、今日の出来具合は?」
「そうっすねえ。あんまり笑いは取れなかったっすねえ。」
「どこがダメだったんでしょうか」とタケシが尋ねる。
マネージャーは、壁にもたれかかりながら、無表情に言った。
「そうっすねえ、あの’ムギワラボーシ’って連呼するとこ、あれはちょっとねえ。」
相方のキヨジが横から口を挟む。
「いや、俺もそう思ってたんすよ。でもコイツがどうしてもやりたいって言うから・・・」
いや、お前だってイイって言ってたじゃないか。
「次の舞台は来月っす。よくネタを考えておいてくださいよ。じゃあ。」
マネージャーは短く言うと、雑多な楽屋を出ていった。
タケシは諦めない。
いつか、自分の笑いで世界を守るんだ。
お笑いは人の不幸をみせることで、起こすもんじゃない。
どついたりどつかれたり、ドッキリなんかで笑いを取ってどうする、ショウガ!
小さくも今のプロダクションでやっていくんだ。
いつか、人気者になったら、お笑い会だけでなく、映画も作るんだ!
バード・タケシと相方のキヨジ。
彼らの夢は果てしなく大きい。
今はまだ誰も知らない。
だが、タケシは信じていた。
いつかこの笑いで、世界を変えられる日が来ることを。




