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067⚫️龍の顎
「龍の顎」は、ラベンダー公国の海岸線に位置する特殊な湾である。
湾口は狭く、その両側から切り立った崖が牙のように迫り、
その奥で初めて湾は広がる。
この形状が、伝説の龍が口を開けているように見えることから名付けられた。
湾内は、周囲が山脈であることから、外洋からの風がほとんど遮断されている。
これにより、風の影響をほとんど受けず、波は常に穏やかである。
ウィルフレッダが常にウィルフレッ’ド’と呼ばれていた頃、
初めて伯爵領を訪れ、プロスペリティへ向かう途中でこの湾を目にした。
マンジとヤハチの視察・武者修行の起点ともなった。
伯爵領、現・公国が成立するまでは、人里離れた寒村であった。
だが、隧道などの交通網が整備され、浜の改良を経た結果、
その遠浅の海、白砂の海岸線は民衆の絶好の娯楽スポットとなっている。
急峻な崖の内部は、例によって空洞化され、
商業施設や公的機関、いざという時のための避難所など幅広く活用されている。
平和な光景が広がる「竜の顎」。
海面には穏やかに寄せる波音だけが、響いている。
だが、湾外の遠浅の部分が終わるところから、急に深度を増す。
そこには、嵐の予兆が潜んでいた。
今、音もなく息を潜めて待機しているブラッドたちが、時がくるのを待っている。




