表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
54/91

062⚫️宝くじを買って、滅亡を防ごう

漆黒の宇宙で調査艦隊司令艦は静かに、その惑星軌道を周回している。

9隻の僚艦が後に続く。惑星の青い輝きが窓ガラスに反射している。

探査機が、文明の痕跡を捉えたという報告が届いたばかりだった。


大気成分はテラ型であり、クルーは宇宙服なしで上陸できる。

だが、先ず大気圏内に探査機をさらに放出する。データが送られてくる。


「この映像は・・・。」グレッグは息を呑む。

街並みらしき人工物と思われる残骸が、

風化した夢のように画面に浮かび上がっていた。

あれは何だったのだろう?

ビルか?庁舎か?それとも・・・?


より鮮明なデータが続々と送られてくる。

だが、住民の姿は、やはり全く無い。

人工知能は、それらの遺物がテラ時間で推定1万年は風雨に晒されている、と言う。

グレッグは決断する。

「行ってみよう。実際にこの目で見れば何かわかるかもしれない。」


調査艦隊司令艦は、僚艦を軌道上に残し徐々に降下する。

大気組成を再確認し、病原体の有無も調べる。

用心のため、宇宙服を着用し、

クドー副長と’その他’が、探査機に乗り空中発進する。

続いて、司令艦が着陸する。

クドーたちからのデータを同時共有し、

立体映像を見ながらグレッグたちは後方支援を行う。


「艦長、街と思われる中心地に到達しました。」

「どうだ、どんな文明だったか、手がかりはあるか?」

「印象としては・・・テラの地球文明時代の19世紀末から21世紀ぐらいですね。居住区と推測された場所に入ります。」


クルーたちは交代で各所を訪れ、瓦礫の下に埋もれた痕跡を丹念に探った。

破壊と混乱の痕跡も見つかる。

人骨も発見され、分析にかけられたが、死因は様々であり、特定に至らない。


記憶媒体らしきものも、見つかる。

しかし、再生方法がわからない。

例え再生方法がわかったとしても、

果たして1万年を経て内容が保持されているのか。可能性は限りなくゼロに近い。


驚いたことに、検出された遺伝子はテラ星系の人類と酷似していた。

さらに古い文明が連綿と繋がり、その滅亡までの歴史があったようだ。

博物館、と呼んで良いのか不明だが、

そこから、年代測定では1万年以上前の遺物らしきものが、並んで存在することがわかった。


だが、これ以上、調査艦隊での探索は中止となった。

司令部から、専門の学者や研究者が組織され、派遣されると連絡があったのだ。


「我々は、もう引っ掻き回すな、ということだな。」

「そうですね。しかし、艦長、これはファーストコンタクトと言えなくもないですな。」

「せやかてクドー、わしら、もう何回、ファーストコンタクトしてるんや?幸運の女神が微笑みすぎやろ?」

「そうですね。宝くじ、買ってみますか?当たるかもしれませんぞ?」

「まさか、な。だが、知的生命体、というか、この惑星の人類の滅亡は何故起こったんだろう?」

「わかりませんね。そうだ、艦長!もし宝くじがあったら、我々の滅亡因子を取り除く研究でも始めてみませんかな?」

「イヤだ!贅沢は素敵だ!滅亡回避より、まずは快楽だ!」

「贅沢は敵だ、ではなかったんですね。」

「敵かもしれんが、当たったら味方だ。」


真空の宇宙空間には、ふたりの笑い声は響かない。

瞬くことのない星々が、司令艦の窓から見えるだけだった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ