059⚫️本当の恐怖 & 060⚫️来るか
余は’帝王’である。
幼少のころから、そう呼ばれていた。
父が若くして世を去り、そのため、生まれながらにして帝王だったのだ。
幼名はよくおぼえていない。
何だったか。イシヤキ スキヤキ ガラアキ・・・違うな。
ヨシアキだったか?
わからん。どうでもよい。
余は帝王。それで充分、それで完全だ。
ようやく腕の立ちそうな若者を見つけた。
ツノが生えている。よいではないか。
腕も立つ。ヴァルターほどではないがな。忠誠心も期待できんがな。
だが、打倒、公国という点では一致する。
我が敗北の源はあそこだ。
ロイ・ラベンダー・エンジェラム。
帷幕にあって、遥か彼方に勝利を決する危険な存在。
あのような戦略を練っていたとはな。
会戦は不利だ。隧道は大軍では通過しにくい。
とはいえ、あの天然の要害の山脈を乗り越えるのも至難の技だ。
戦力を集中させ、公国の首都、エターニティを一気に攻め落とす。
燃え上がる光景が見えるようだ。叫びも懇願も意味を成さん。
徹底的な殺戮と破壊。これこそが、余の復讐である。
策はある。余の力はラベリア本国だけにあると思うな。
ここには我が植民地、コロニア・ラベリアがあるのだ。
もう少しだ。もう少し力を蓄えるのだ。
あの忌々しい公国。
あそこさえ押さえれば、ボレリアなど恐れるに足らん。
見ているが良い。
あのエターニティを、闇に沈めてやる。
余の本当の力を見せてくれよう!
本当の恐怖を味あわせてやろうぞ!
帝王を包む夜の闇。
だが、その心の闇はさらに深い。
三日月が青白く輝く、美しくも不気味な夜である。
060⚫️来るか
ーマイロード、よろしいですか?
ー構わん。動いたか?
ーはい。今、リョウマと王虎が配下のボールを飛ばして観察中です。
ーやはり、来るか。
ー110に5万2000です。
ーブラッドに伝えろ。刻が至った、とな。ミトとツキガゼも臨戦態勢に入らせろ。
ー承知しました。




