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異世界召喚で杖になった俺は、魔女の弟子と共に魔女の仇を取る  作者: 月ノ裏常夜


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18.後処理

「もういいかしら」

外からの悲鳴を聞いて、レイラも外で何が起きたのか察したのだろう。

「誰の声も聞こえないし大丈夫だろう」

外が完全に静かになっているという事は、俺たちを取り囲んでいた帝国兵は声を出せない状態になっているという事だ。


「ねえ、これってあたし達も危ないんじゃない?」

壁の内側である俺たちは、直接壁の外を見る事はできない。

下手にこの壁を崩してしまうと、内側に土が雪崩こんできて、俺たちも生き埋めになってしまうかもしれない。

「だったら、空を飛ぶか?」

なら壁はこのまま残して、ホウキにのって飛び越えればいい。


「誰かに見られたら面倒よ」

「この状況でか?」

帝国兵と戦った今、、気にする事でもないような気がするが。

大体この壁も手作業で作れるような高さではない。

魔法の知識があるやつが見れば、誰かが魔法で土の壁を作ったときがついてしまうだろう。


「町も近いし、誰が見てるか分からないわよ」

それでもレイラは気にするらしい。

まあ、この壁を見られるのと、直接飛んでいる姿を見られるのでは危険度が違うか。

「なら階段を作れ」

だったら階段を作って足で上るしかない。


「どうやるのよ」

「らせん状に作ればいいだろう」

「らせん?」

どうやらこの世界にはらせん階段の概念もなかったようだ。

「ああ、分かった俺が介入するから適当に壁を作れ」


「こうかしら」

レイラが壁の内側にさらに壁を作る。

「こういう事だ」

おれはレイラの魔法に介入して、壁として立ち上がった土を、既にある壁の内側にらせん階段になるように取り付ける。


「へえ。でも、これはこれで上るのが面倒ね」

感心したような声を上げる。

「埋もれるよりはいいだろう」

階段を昇って行き、壁の最上段まで上り詰めると外の様子が見えた。

外側の壁が完全に崩れ、山のようになっている。


「これ、外も段差があるわね」

ある程度山になっているとはいえ、この場所からは結構な高低差があった。下手に飛び降りたら怪我をするかもしれない。

「ならここにも階段を作るか」

「そうね」

先ほどのようにレイラが壁を作る魔法を使い、そこに俺が干渉することで壁の外側にもらせん階段を作る。

「やるじゃないか」

俺が補助したのもあるが、らせん階段が綺麗に精製された。


「これでいいわね」

作ったばかりの階段をレイラがおりる。

念のため辺りを警戒しているが、動く者どころか声一つ聞こえなかった。


「これ、自分が出るのも大変ね」

階段が終わり、土の山に降り立つが、それでも地面からはある程度の高低差がある。

自らの産物である土の山を下りながら、レイラがぼやく。

「捕まるよりはいいだろ」

自分を取り囲むように、山が出来てしまった以上、外に出るには上って降りるしかない。


「そうだけど」

山を下りた後に振り返って、再度自分で作った土の山を見渡す。

「どうかしたか?」

何か言いたそうだったので、こちらから聞いてみる。


「あいつら、生き埋めになったの?」

「そうなるな」

崩落から逃れているなら、どこかしらにいるはずだが、まったく声が聞こえないという事は生き埋めになったと考えるのが自然だ。


「うーん」

人を殺めるという事に罪悪感があるのだろうか。

「さっきもファイアボールで帝国兵を倒してただろ」

今回が初めてではないはずだ。


「そうね」

レイラが返事をするのと同時に、視界の端で何かが動いた。

「う」

声が聞こえた。

よく見ると、土の山から腕が一本でている。


「もしかして」

レイラもそれに気が付いたようだ。

「おい、助ける気か?」

また霧を出されたら面倒だ。


「まさか、話を聞くだけよ」

レイラはその手に向かって近づいていく。


「まだ生きてる?」

まあ、土をかぶってからそれほど時間は立ってない。

「恐らくな」

「掘ってみる?」

「相手が抜け出せない程度にしておけよ」

暴れ始めるかもしれない。


「そうね」

手の出ているところを、レイラが魔法を使って適当に穴を掘ると顔が出てきた。

目が合う。どうやら意識は残っていたらしい。

「くそ、お前…」

帝国兵が弱弱しく口を開く。

顔に見覚えがある。やたらと挑発してきたあの帝国兵だった。


「ねえ、あんた達、私を捕まえようとしてたわね」

「それが、どうした…」

一応話はできるらしいが、覇気が抜けている。短い間とはいえ、生き埋めにされてそれなりにダメージがあったのだろう。


「捕まえた魔女と魔女の弟子をどうしているの?」

それは俺も気になっていたことだ。

「だれが、お前なんかに教えるか」

どうやら帝国兵にも忠誠心があるらしい。


「もう一度埋めてもいいわよ。」

なかなかえげつない事を言っている。

「お、脅す気か…」

帝国兵の声に動揺が浮かぶ。


「脅しじゃないわよ」

そう言ってレイラは土をけり、土をつかんで帝国兵の顔にかけた。

「お、お前、やめろ」

せき込みながら反論するが、体のほとんどが埋まっている帝国兵はそれ以上抵抗することができない。


「次は目と口どっちがいい?」

究極の二択だ。

「お前…」

帝国兵は恨みがましい声を上げるがそれ以上はどうすることもできない。


「なら答えなさい。殺したの?」

レイラが強い口調で問い詰める。

捕まった魔女の弟子達が生きているかどうかは、俺も気になるところだ。

「こ、殺してはいない」

仕方ないといった様子で答え始めた。


「ならどうしているの?」

予想はしていたが、生け捕りにした以上何かしらの使い道があるのだろう。

「どこかに移送されている」

移送するという事は、収容所のような施設がこの島に既に作られているのか。


「場所は?」

当然場所が気になるところだ。

「そこまでは知らない」

本当かどうか怪しいものだ。


「嘘は良くないわね」

レイラも疑っているようだ。

レイラはこれ見よがしにつま先で土をいじる。

「ほ、本当だ」

これ以上土をかけられたくないのか、狼狽しながら帝国兵が答える。とはいえその言葉を素直に信じる事はできない。


「どうしようかしら」

それの言葉は帝国兵に向けてなのか、俺に向けてなのか。

「仮に知っていたとしても、ここまでされて答えないなら、これ以上やっても口を割る事は無いだろう」

とりあえず俺はそう答えた。


「それもそうね」

レイラもこれ以上尋問するのは無駄だと思ったようだ。

「た、助けてくれ」

レイラの言葉を聞いて、これ以上尋問されることは無いと悟ったのか、帝国兵が再び助けを求めてきた。


「嫌よ」

はっきりとレイラは断った。

「話せば助けると言っただろう」

助かると思っていたのか帝国兵は食い下がる。


「違うわ。話さなければ生き埋めにすると言ったの」

確かに、話せば助けるとは言っていなかった。

「た、頼む」

そこまで言われても帝国兵は諦めきれない様だ。

まあ、自分では動けない以上、レイラに助けを求めるしかないのだろう。


「どうせ、動けるようになったら襲ってくるんでしょう?」

こちらも二回も襲われているし、助ける理由は無い。三回目をされても迷惑だ。

「そ、そんなことはしない」

帝国兵はまだ食い下がるが、レイラはこれ以上話す気はない様だ。


「運が良ければ助けが来るんじゃない?」

そう言って、レイラは背を向け、土の山を下り始めた。

ここからは町が見えている。運がよければ誰かが通りかかって助けてくれるかもしれない。

「おい、あれ、助けが来なかったら死ぬがいいのか?」

一応レイラにはあのまま帝国兵が死んでもいいのか聞いておく。


「捕まった魔女の弟子達はもっと酷い扱いを受けてるかもしれないわ」

「それはそうだが」

「あいつらはこの島に侵略しに来たのよ。殺されても文句は言えないでしょ」

「だが、俺達は霧を攻略した。今後の事を考えておくならトドメを刺しておいてもいいんじゃないか?」

直接魔法を打ち込んでも打ち消されるが、既にある物体を移動させるという魔法であれば、移動された物体自体を消すことはできない。

この情報を他の帝国兵に渡さないほうが良い。


「ダメよ。反省する時間を与えないと」

どうやら帝国兵を今すぐ殺すのではレイラの気が済まないらしい。

「そんなにあいつらが憎いか?」

「あいつは師匠を馬鹿にしたわ」

先ほどの挑発には相当頭に来ていたのか。

「しかし、俺たちの戦い方が敵にもバレるぞ?」


「あの土の山を見たら、大体察しは付くでしょ」

「それもそうか」

今あの土の山自体を消すために、地面を平らにするという手もあるが、そうすると埋まっていた他の帝国兵も出てくるだろう。

そうなっては手に負えない。

あの土の山は放っておくしかない。


「あいつらは報いを受けるべきよ」

まあ、それは建前であいつらに苦痛を与えるというのがレイラの本音だろう。

どうせ生き埋めにされていて動けないし、放っておいても衰弱する。ならばここで無理に殺す必要はない。

俺もこの時はそう思っていた。

「それでお前の気が済むなら、そうしよう」

間接的とはいえ、師匠を殺されたのだ。ある程度は好きにさせよう。


「とにかく、町に行くわよ」

既に町は目に見える場所に来ている。

俺たちは生き埋めになった帝国兵をそのままにして町に向かった。


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