表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
天上天下唯が独尊 ~あたしが世界最強になるまで~  作者: はの
五大大国編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

49/69

第四十八話 来訪

 光が、カルボナーラ王国に落ちるより少し前。

 

 プッタネスカ王国の王城では、突然の来訪者を前にどよめきが走っていた。

 

「カルボナーラ王国第一王子、フリーク・カルボナーラ様。ご入場です」

 

 玉座の間の扉が開き、一人の男が入ってくる。

 カルボナーラ王国国王フレッシュの若き日を思い出す聡明な顔立ちは、見たもの全員に玉座へ座す姿を連想させる。

 ブッタネスカ王国の王族が勢ぞろいする場においても、フリークは緊張も動揺も見せることなく、実に堂々とした佇まいで頭を下げた。

 

「カルボナーラ王国第一王子、フリーク・カルボナーラです。この度は、突然の訪問にも関わらず面会をお許しいただき、ありがとうございます。ブッタネスカ王国女王様の心の広さに」

 

「前置きはよい。そなたが連絡もなしに訪れたということは、それほどの危機と言うことなのだろう? 用件を簡潔に述べよ」

 

 プッタネスカ王国女王が告げると、フリークは顔を上げる。

 

 玉座の間の奥に設置された椅子は三つ。

 中央に座るのは、プッタネスカ王国女王のアスシア・プッタネスカだ。

 四十歳を超えるというのに、赤い長髪のツヤは衰えることを知らず、肌のハリも実年齢にそぐわないほど瑞々しい。

 気の強い性格を嫌でも突きつけられる鋭い眼光が、フリークを貫く。

 

 そして、アスシアの左右に分かれて座るのが、第一王女のフリューネと第二王女のネアだ。

 どちらもアスシアの美貌と髪色を受け継いでおり、一目で親子だと分かるほどそっくりだ。

 しいて違いを上げるなら。フリューネはアスシアよりも穏やかな表情をしていて、ネアは髪の毛を肩でバッサリと切っていることだろう。

 

 フリークは視線をフリューネとネアに送ることで挨拶に代え、改めてアスシアの方を見る。

 

「では、申し上げます。我がカルボナーラ王国が、一人の女によって滅ぼされました」

 

 アスシアの眉が、ピクリと動く。

 フリューネとネアは驚きで顔を見合わせ、玉座の間に立つ兵たちも表情が固まる。

 

 唯一冷静なアスシアは、その原因を自然と考え、一つの過去を思い浮かべる。

 

「貴国は以前、我が国へ勇者の派遣を依頼してきたな。その時も、一人の女の討伐を理由としていた。その女と言うのは、以前と同じ人間か?」

 

「おっしゃる通りです」

 

「そうか。つまり、勇者パーティは敗れたのだな」

 

 アスシアの推測に、再びフリューネとネアが顔を見合わせる。

 兵たちは会話を邪魔せぬように沈黙を貫いてはいたが、勇者パーティの敗北という情報を前に、表情から平常さが抜け落ちた。

 兵たちにとって、勇者パーティの敗北と言う事実は、それだけ信じられないものだ。

 

 アスシアとフリークの間に、無言の時間が流れる。

 互いの視線だけが会話をする。

 

 丸一日が経過したと思えるほどに長い数秒間の後、先に口を開いたのはアスシアだ。

 

「その女は、勇者の素質を持つ人間なのか?」

 

 勇者の素質。

 魔王が世界に現れた時のみ確認される、一部の人間に発現する特別な力。

 勇者パーティも、勇者の素質が認められた者たちで構成されている。

 

「わかりません」

 

「わからない、か」

 

「しかし、神の匂いがしました」

 

「!?」

 

 フリークの一言に、アスシアは思わず玉座から立ち上がる。

 フリューネとネアも焦った表情でアスシアの顔を見る。

 アスシアの表情は、明らかに狼狽していた。

 

 意味を理解できないのは、兵と貴族たちだ。

 兵たちにとって、神とはこの世界を作り、一部の僧侶や巫女の口を経由して人々に助言を与える存在だ。

 匂いを感じられるほど、近づける存在ではない。

 匂い、という概念は、兵たちの頭の中に存在しない。

 

「ならば滅ぼさねばなりませんね」

 

 が、兵にも貴族にも神の匂いと言う言葉が説明されることはなかった。

 代わりに言い放たれたのは、アスシアの決断。

 

「その通りです。滅ぼさねばなりません」

 

 フリークは、即座にアスシアの言葉を肯定した。

 

「滅ぼしましょう」

 

「滅ぼしましょう」

 

 追って、フリューネとネアも肯定した。

 

 目の前で繰り広げられる、王族同士だけが分かる会話。

 兵たちは、何が起きたのかわからず顔を見合わせる。

 

 今までも、王族同士の会話で理解できない内容はあった。

 だがそれは、外部に漏れないように何かを隠していると分かるからこそ、理解できないことに納得ができた。

 今、目の前で起きていることは、論理が何一つわからなかった。

 兵たちは困惑の表情を浮かべ、王族たちをただ見続ける。

 

「全魔道師を招集せよ。滅国めっこく魔法の準備に入る」

 

 アスシアは止まらない。

 すぐさま兵に命令を下す。

 

「め、滅国魔法!?」

 

「急げ!」

 

「は、はい!」

 

 滅国魔法。

 その名の通り、国一つ滅ぼすことのできる魔法。

 人類が戦争の最中に開発してしまった魔法であり、五大大国によって使用が禁止された魔法。

 ただし、五大大国全ての国が使用を賛成した場合は、その限りではない。

 

 アスシアは玉座へと座り、フリークに視線を戻す。

 

「それで、残り三か国の同意は?」

 

「問題なく、とれております」

 

「ならば、良い」

 

 この場にあるのは、カルボナーラ王国の賛成と、ブッタネスカ王国の同意。

 

 

 

 

 

 

 同刻。

 

 アラビアータ帝国の王城で、フリークは国王と謁見していた。

 

 同刻。

 

 ボイスカイオーラ王国の王城で、フリークは国王と謁見していた。

 

 同刻。

 

 カチャトーラ王国の王城で、フリークは国王と謁見していた。

 

 

 

 

 

 

 五か国全ての賛成は、いとも簡単になされた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ