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呪われた?旦那様、お約束通り半年が経ちましたので離縁させていただきます  作者: 涙乃


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アンディside

闇夜に同化するように、漆黒の髪をもつ一人の青年が佇んでいる。


数日前から討伐遠征に来ている第二王子率いる騎士団の新人だ。

青年の側には、原型を留めていない魔物の死骸が転がっている。


「──アンディ、おい、アンディ、聞いてるのか」


「誰だ?」


「俺だよ、レオナルド。いい加減名前くらい覚えてくれよ。お前、今日も夜勤するのか? ずっと、寝てないだろ?──」


名前か……。どうでもいい。


アンディにとって、全員が石ころにしか見えていなかった。

石ころ以外の魔物を、どちらが魔物か分からないくらいに虐殺していた。

アンディにとって、エリーのいない世界は、もはや生きている意味がない。


「私の髪色は、赤なのか茶色なのかはっきりしない色でしょ?だから、アンディの黒髪が羨ましいわ。」


金髪が好まれ、黒髪が忌み嫌われる世の中で、エリーだけが自身の髪色を好んでくれた。


エリーも、自身の髪色に悩んでいた。だが、僕から言わせると、エリーの髪色は、まるで実りの秋を思わせるような穏やかな赤茶色だ。くりくりと動く瞳は、アメジストを思わせるようなすみれ色。とても綺麗だ。

僕に何かあれば、まるで自分のことのように心配してくれた。嬉しいことは一緒に喜んでくれ、いつでも心の支えだった。エリーは、僕にとって誰よりも大切な存在。だからこそ、一生側で守ると誓った。それなのに……。


卒業式を欠席するなんて、悪い予感がした。でも、まさか……。伯爵家に乗り込んではみたものの、結局門を開けてももらえなかった。くそっ!己の不甲斐なさに腹が立つ。

結婚した事実だけを知らされるなんて!


エリー、どうして何も言ってくれなかったんだ……。今、君は幸せか?


「どけ!!」


アンディは不穏な気配を察知し、レオナルドを押し退けて駆け出す。


「あそこか!」


巨大な獣の前には、石ころがある。アンディは、石ころの前の魔獣を鬱憤をはらすように吹き飛ばした。

その反動で、魔獣の攻撃がアンディの頬をかすめる。


この程度の傷、痛くもない。エリーの苦しみに比べたら……。


遅れて追いかけてきたレオナルドは「すげー」と開いた口がふさがらないでいた。


アンディは、頬の傷を確認する間もなく、神経を研ぎ澄ます。そして八つ当たりのように周囲の魔獣を跡形もなく消し去った。


「助かった、君、名前は?」


石ころがアンディに問いかけていたが、アンディには届いていない。


「エ、エリオット第二王子殿下、こ、こいつは、アンディと申します! ちょ、ちょっと、耳が悪くて……」


レオナルドは、必死にアンディを庇うように言い訳を言い誤魔化していた。


「そうか、戦闘の後だからな。この礼は、改めてしよう。それ相応の褒美を与えると約束する」


「良かったなアンディ! おい!」


エリー、君は幸せか?

自分の目で確かめなければ、納得できない!エリーが幸せならそれでいい。だが、そうでなければ、決闘を申し込む!

必ず会いにいく!

待っていてくれ、エリー。



その後も魔物討伐は、ほぼアンディ一人の功績により、無事に終了する。歴史上最も早く終わったことを、アンディは知らない。

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