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『信用処刑人レオン』 ― 帝国監査局第零課 ―  作者: 神代零


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第二十二話 「第零課内乱」

 中央監査塔ネメシス


 帝国国家清算契約の発動によって、

 塔全域は戦場へ変わっていた。


 警報。


 怒号。


 封鎖術式。


 監査官達が走り回り、

 各監査区画では契約銃撃戦すら発生している。


 異常事態だった。


 帝国監査局。


 世界最強の監査組織。


 その内部が、

 崩れ始めている。


《中央監査局第三区画封鎖》


《反乱監査官を確認》


《契約鎮圧部隊を派遣》


 ルークが顔を引きつらせた。


「いや待て……

 本当に内乱じゃないか」


 セリスは冷静に端末を操作する。


「国家清算契約発動で、

 監査局内部の潜伏派閥が動きました」


「財閥派だな」


 カインが壁にもたれながら言う。


「《エレボス》旧支配層の残党だ」


 レオンは静かに世界信用図を見つめていた。


 帝国信用率はまだ不安定だ。


 国家清算契約そのものは止められる。


 だが。


 内部崩壊が続けば、

 帝国監査局そのものが死ぬ。


「レオン」


 ヴァルディスが低く言う。


「第零課を動かせ」


「内部反乱を鎮圧する」


 ルークが思わず振り返る。


「俺達で?」


「現在、

 信用権限が最も安定しているのは第零課だ」


 つまり。


 他部門は既に信用汚染されている。


 誰が敵か分からない。


 セリスが静かに立ち上がる。


「了解しました」


 黒い監査外套を翻す。


「反乱監査官の拘束を開始します」


 その時だった。


 会議室外通路で爆発音。


 次の瞬間。


 封鎖扉が吹き飛んだ。


 黒煙。


 そこへ立っていたのは、

 複数の監査官達だった。


 だが異常なのは、

 胸元の監査印。


 黒く変色している。


「財閥派監査官……!」


 ルークが叫ぶ。


 先頭の男が冷たい目で言った。


「総監ヴァルディス」


「第零課」


「国家反逆罪で拘束する」


 空気が凍る。


 セリスが即座に監査銃を構えた。


「反乱行為を確認」


「武装解除してください」


 男は笑った。


「解除するのはお前達だ」


 次の瞬間。


 黒い契約光が通路全域へ広がる。


《第零課権限凍結申請》


 ルークが青ざめた。


「まずい!

 権限奪取術式だ!」


 財閥派監査官達。


 彼らもまた、

 監査権限を持っている。


 しかも。


 《エレボス》旧契約へ接続済み。


「レオン!」


 セリスが叫ぶ。


 だが。


 レオンは静かだった。


 視えている。


 相手の契約構造。


 既に腐敗している。


 偽装権限。


 違法接続。


 財閥信用供与。


 全て。


 不適合。


「監査対象を確認」


 レオンの低い声が響く。


 反乱監査官達の顔色が変わる。


「な……」


「待て!」


 遅い。


 赤黒い監査光が、

 一瞬で通路全域を覆う。


《違法監査権限を確認》


《権限剥奪処理開始》


 反乱監査官達の監査印が、

 一斉に砕け散った。


「馬鹿な!?」


「俺達の権限が……!」


 セリスが目を細める。


 レオンは淡々と言った。


「監査官が腐敗したなら、

 監査するだけだ」


 その瞬間。


 通路奥から新たな警報が鳴り響く。


《中央封印庫侵入》


《監査兵器庫解放を確認》


 ヴァルディスの顔色が変わった。


「……不味い」


「どうした」


 レオンが問う。


 老人は重く答える。


「財閥派が“監査執行兵器”を起動した」


 ルークが絶句する。


「待て……

 まさか《執行者》か!?」


 空気が凍る。


 セリスですら、

 僅かに目を見開いた。


 レオンだけが静かに聞く。


「何だそれは」


 数秒の沈黙。


 そしてヴァルディスが答えた。


「帝国監査局最終処刑機構」


「国家級監査兵器――

 《執行者エクスキューター》だ」

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