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『信用処刑人レオン』 ― 帝国監査局第零課 ―  作者: 神代零


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第二十一話 「新管理者」

 《レオン・アルヴェイン》


 その名前が表示された瞬間。


 世界中の契約網が静まり返った。


 まるで、

 世界そのものが新たな管理者を認識したように。


 中央監査塔ネメシス


 会議室全員が、

 空中へ浮かぶ文字を見つめている。


《世界信用管理機構》

《新規管理者承認》


 ルークが最初に口を開いた。


「……いや待て」


「これ、

 洒落になってないぞ」


 震えた声だった。


「《エレボス》管理者って、

 実質世界最高権限だろ……」


 ヴァルディスも険しい顔をしている。


 七大財閥ですら、

 完全管理者にはなれなかった。


 《エレボス》は本来、

 単独支配を拒む構造だったからだ。


 だが今。


 世界契約網自身が、

 レオンを選んでいる。


「なぜだ」


 セリスが静かに問う。


 レオンは黒い契約核を見つめていた。


 そして。


 理解する。


「《エレボス》は、

 支配者を求めていたわけじゃない」


 全員が振り返る。


「監査者を探していたんだ」


 沈黙。


 レオンは続ける。


「世界全信用を管理する以上、

 誰かが監査し続けないと腐敗する」


「でも七大財閥は、

 監査ではなく支配を選んだ」


 だから崩壊した。


 《エレボス》そのものは、

 世界維持機構として必要だった。


 問題だったのは。


 人間側の欲望。


「……なるほどな」


 カインが小さく笑う。


「だから《エレボス》は、

 お前を選んだか」


 レオンは静かに《エレボス》契約核へ触れる。


 その瞬間。


 膨大な情報が流れ込んできた。


 国家信用。


 市場流動。


 戦争予測。


 食糧供給。


 人口移動。


 世界全体の契約情報。


 常人なら即座に精神崩壊する量。


 だが。


 レオンの信用視は、

 それを処理していく。


「……重いな」


 小さな呟き。


 世界そのものを背負う感覚。


 その時。


 《エレボス》中央へ、

 新たな警告が浮かび上がる。


《未処理危険契約を確認》


 空気が変わった。


 レオンの瞳が細まる。


 契約情報が展開される。


《帝国中央信用議会残存契約》


《自動執行待機状態》


 ヴァルディスが顔色を変える。


「……まだ残っていたのか」


 ルークが青ざめる。


「待て、

 自動執行って何だ」


 レオンは静かに契約内容を読む。


 そして。


 目が冷えた。


「国家清算契約だ」


 沈黙。


「何?」


 セリスが問い返す。


 レオンは淡々と答える。


「もし《エレボス》管理権が失われた場合、

 帝国全国家信用を強制回収する契約」


 ルークの顔が真っ白になる。


「……つまり」


「帝国を道連れにする気だった」


 世界支配が失敗した時。


 帝国そのものを崩壊させる。


 最後の保険。


 カインが低く笑う。


「本当に腐ってるな、

 あいつら」


 その瞬間。


 帝国全域へ警報が鳴り響いた。


《帝国国家清算契約》

《自動執行開始》


 会議室が揺れる。


 世界信用図。


 帝国全土が、

 一斉に赤黒く染まり始めた。


「始まった!」


 ルークが叫ぶ。


「帝国信用が吸われてる!」


 市場暴落。


 国家保証崩壊。


 軍事契約停止。


 帝国全体が急速に死に始めていた。


 セリスがレオンを見る。


「止められますか」


 レオンは静かに帝国契約網を見つめる。


 視える。


 巨大な自壊契約。


 帝国そのものへ打ち込まれた、

 最後の毒。


 そして。


 その契約の発動者名。


《第一財閥》

《アウグスト・レイヴン》


 レオンの瞳が冷える。


「……最後まで腐ってる」


 その時。


 《エレボス》が静かに反応した。


《管理者権限承認》


《世界監査権限を開放します》


 空間が震える。


 ヴァルディスが息を呑む。


「まさか……

 世界監査権限……!」


 帝国すら封印していた、

 《エレボス》最高権限。


 世界そのものへ監査を行う力。


 レオンは静かに監査印を握る。


 赤黒い光が、

 今度は帝国全土へ広がっていく。


 信用処刑人。


 その名を持つ監査官は、

 静かに宣言した。


「帝国国家清算契約を確認」


 世界が静まる。


「これより、

 帝国そのものへの監査を開始する」

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