第二話:若さとインストール
お読みいただきありがとうございます。
なろうテンプレに、現代社会の歪みと少しの毒を混ぜた物語です。
宗教に関してもあくまでフィクションとして描いています!よろしくお願いします!
きっとこれは夢に違いない。俺はカーテンを閉め、ベッドに再び潜った。……夢の続きを、見なければ。
あんなに鮮明に死ぬ感覚なんて、夢の作りも凝りすぎだろ……
「寝ぼけてるの? 私、先に行くから。また学校でね」
窓の外から、女子高生の声がハッキリと聞こえた。現実逃避をするのはここまでにして、現状把握をする時が来たかと観念する。
「いったい、どうなっているんだ?」
考えながら顎をさすった。
「えっ?! スベスベなんですけど!!」
オッサンは朝起きた時から、オッサンがはじまる。伸びたヒゲはジョリジョリするし、口の中はナゾの粘つきを感じる。おまけに、寝たはずなのに疲労感が取れず、いつも腰が痛い。
オッサンをしていれば当たり前に経験することが、今日は何もない。口の中は爽やかで、体も羽のように軽い。
部屋を見渡し、勉強机に鏡が置いてあることに気づいた。恐る恐る写った自分の姿を見る。
「これが……俺? えっ、誰だ?」
鏡に写っていたのは、紛れもなくオッサンではなかった。
色素の薄い白い肌に、キリッと整った眉。一重の垂れ目は優しそうな印象を受ける。髪型はマッシュだ。俺が人生で一度もしたことがない、今風の髪型。
マッシュの男は、俺と同じように眉を下げた情けない表情をしていた。どうやら俺の感情とリンクしているらしい。
他に手掛かりはないかと引き出しを開けると、「日記帳」と書かれたノートを発見した。ご丁寧に表紙には「岡戸拓也」と名前が書いてある。
「岡戸くん、ごめんね」
人の日記を読むというプライバシー侵害に罪悪感を覚えつつ、俺は日記帳を開いた。
その瞬間、電流が走った。一瞬の出来事だったかもしれないが、岡戸くんの人生が走馬灯のように脳内に流れ込んできた。
彼は書道が得意で、飾られたトロフィーもコンクールで大賞を取った時のものらしい。俺は履歴書の字が汚いと怒られたことがあるのに、実に羨ましい。
走馬灯は続き、すべてがインストールされた。俺は「岡戸くん」を理解した。
そして、あの艶やかな黒髪の女子高生のことも――。
「そうか……彼女は俺の幼馴染なんだな」
パジャマ越しに、股間にテントが張った。
続く
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