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ダンジョン妖精と始める異世界魔王ライフ  作者: 西園寺
魔物の国

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第六十話 闇雷

「ガン!」


 俺とSランク冒険者の剣がぶつかり合う。


「バンッ! バンッ! バンッ!」


 剣と剣が何度も混じり合い、火花が散った。


 地獄の狂乱を発動した俺の体は、さっきまでとは比べものにならないほど軽い。


 魔力も溢れている。


 体力もある。


 スキルの威力も上がっている。


 だが、それでもSランク冒険者は簡単には崩れない。


「いいなぁ、魔王!」


 Sランク冒険者が笑う。


「前とは別人みたいだ!」


「こっちは本気なんだよ!」


 俺は剣を振り下ろす。


 だが、Sランク冒険者はそれを受け止め、すぐに後ろへ跳んだ。


「水の矢」


 Sランク冒険者の周囲に、無数の水の矢が現れる。


 黒い炎だけではない。


 水魔法まで使えるのか。


「いけ」


 水の矢が一斉に飛んできた。


「あまい!」


 俺は剣を構える。


「黒葬の斬撃!」


 黒い斬撃が水の矢をまとめて切り裂いた。


 水しぶきが空中に飛び散る。


「魔王の威圧!」


 俺の魔力が一気に広がった。


 黒い圧力がSランク冒険者を包み込む。


「くっ……!」


 Sランク冒険者の魔力が一瞬だけ弱くなった。


 その隙を逃すつもりはない。


「終わりだ」


 俺は手を前に出した。


「重力反転!」


 Sランク冒険者の体が、一気に地面へ押し潰される。


 地面が砕けた。


 普通の冒険者なら、そのままぺちゃんこになって終わりだ。


 だが、相手はSランク冒険者。


「光魔法、光の斬撃!」


 Sランク冒険者が光の剣を振る。


 その斬撃が、俺の重力反転の魔力を切り裂いた。


「なに!?」


「重力反転ってのは、こう使うんだよ」


 次の瞬間、Sランク冒険者の手から、俺と同じ重力の魔力が放たれた。


「ぐっ……!」


 今度は俺の体が地面へ押しつけられる。


 重い。


 全身の骨がきしむ。


「なんでお前が重力反転を……!」


「前に見た時に覚えたんだよ」


 Sランク冒険者が笑う。


「Sランク冒険者をなめるなよ。面白い技は、一度見ればだいたい分かる」


「さすがだな……!」


 俺は歯を食いしばった。


 こいつは、俺の技まで覚えてくるのか。


 だが。


「でもな」


 俺は地面に手をついた。


「これは俺の技だぞ」


 俺は自分にかけられた重力反転へ、さらに重力反転を重ねた。


 ズンッ――。


 次の瞬間、俺の体がふっと軽くなる。


「なに?」


 Sランク冒険者の目が細くなる。


「なんで立てるんだ?」


「重力反転は、その場の重力を真逆にする」


 俺はゆっくり立ち上がる。


「つまり、重力反転に重力反転を重ねれば、重さの向きをずらせる」


 俺の体が、羽のように軽くなった。


「超軽くなるってことさ」


「くっ……」


 Sランク冒険者が笑う。


「さすがだな、魔王」


「お前に、本当の重力反転を見せてやる」


 俺は両手を広げた。


「全方向、重力反転!」


 上から。


 下から。


 右から。


 左から。


 前から。


 後ろから。


 全方向から重力の圧力がSランク冒険者へ襲いかかった。


「ぐっ……!」


 Sランク冒険者の動きが止まる。


 体が空中で固定される。


 まるで見えない箱に閉じ込められたように、動けなくなっていた。


「動けない……!」


「これで終わりだ」


 俺はさらに魔力を込めた。


「魔法キューブ!」


 俺の周囲に、四角い魔力の空間が展開される。


 透明な魔力の壁。


 その中に入った瞬間、俺の魔力と体力がさらに膨れ上がる。


 地獄の狂乱。


 魔法キューブ。


 二つの強化が重なる。


 今の俺が出せる、最大の一撃。


「黒葬の斬撃!」


 黒い斬撃が、魔法キューブの中から放たれた。


 通常よりも大きく、濃く、重い斬撃。


 それが、動けないSランク冒険者へ向かって一直線に飛ぶ。


 ズガァァァァン!


 黒い斬撃がSランク冒険者を飲み込んだ。


 地面が裂け、岩が砕け、黒い魔力が爆発する。


「はぁ……はぁ……」


 俺は肩で息をした。


 今の一撃は、かなり魔力を使った。


 だが、当たった。


 確実に当たったはずだ。


 しかし――。


「……レベルが上がっていない」


 俺は小さく呟いた。


 つまり。


「おいおいおい」


 煙の向こうから声が聞こえた。


「さすがに、これで俺が死ぬと思ったか?」


 煙が晴れる。


 そこには、岩の上に座るSランク冒険者がいた。


 服は破れ、体には傷がある。


 血も流れている。


 だが、死んではいない。


 それどころか、まだ笑っている。


「なんで生きていやがる」


「俺はSランク冒険者だぜ」


 Sランク冒険者は立ち上がった。


「そうだったな」


 俺は剣を握り直す。


 こいつはしぶとい。


 いや、しぶといなんて言葉では足りない。


 本当に化け物だ。


「だが、お前もそろそろ限界だろ」


 Sランク冒険者が言った。


「地獄の狂乱。十分間だけ強くなるスキルだったな」


「……」


「もうすぐ効果が切れる。そうなれば、お前は一時間意識を失う」


 Sランク冒険者は剣を構えた。


「それで終わりだ」


「そうか」


 俺は息を整える。


 確かに、地獄の狂乱の効果は長くない。


 体の奥で燃えている黒い炎も、少しずつ弱くなってきている。


 残り時間は少ない。


 だが、まだ終わっていない。


「だったら」


 俺は剣を構え直した。


「俺の最高の技を出して終わらせる」


「そうか」


 Sランク冒険者が笑った。


「だったら、こっちも答えよう」


 Sランク冒険者の体から、白い光が溢れ出す。


 さっきまでの黒い炎や水魔法とは違う。


 神聖な光。


 だが、優しさはない。


 ただ敵を焼き尽くすための光だった。


「地獄を照らせ」


 Sランク冒険者が詠唱を始める。


「光より光り、世界を照らせ」


 上空に白い魔法陣が広がる。


「光魔法、光の塔」


 巨大な光の柱が、天から降りてくるように形成されていく。


 その威力は、さっきの太陽聖にも劣らない。


 いや、集中している分、こっちの方が貫通力は高いかもしれない。


「なら、こっちもいく」


 俺は剣に魔力を込めた。


 エンゲルの雷。


 黒葬の闇。


 二つの力を、無理やり一つに合わせる。


 剣が震えた。


 黒い雷が刃に絡みつく。


 バチバチと音を立てながら、闇と雷が混ざっていく。


 これは、今まで使ったことのない技だ。


 だが、今ならできる。


 地獄の狂乱と魔法キューブで強化された今なら。


「雷と闇を合わせて」


 俺は剣を振り上げた。


「地獄に落ちろ」


 黒い雷が、剣の先に集まる。


「闇雷!」


 俺とSランク冒険者が、同時に技を放った。


「いけ!」


 白い光の塔。


 黒い雷の斬撃。


 二つの技が真正面から衝突した。


 次の瞬間――。


 世界が白と黒に染まった。


 轟音。


 爆風。


 光。


 闇。


 雷。


 地面が砕け、壁が割れ、空気が震える。


 味方も敵も、全員がその場に踏みとどまるだけで精一杯だった。


「タケシ様!」


「魔王様!」


「ご主人様!」


 仲間たちの声が、爆風の中に消えていく。


 光の塔と闇雷がぶつかり合い、巨大な爆発を生み出した。


 その中心にいた俺とSランク冒険者の姿は、爆煙に飲み込まれて見えなくなった。


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第六十話終了時点


タケシ:魔王Dランク Lv0

階層数:60階層

残りポイント:633160pt


戦闘状況:

・地獄の狂乱を発動したタケシとSランク冒険者の一騎打ちが継続

・Sランク冒険者は水魔法、光魔法、さらに重力反転を使用

・Sランク冒険者は一度見たタケシの重力反転を覚えて使った

・タケシは重力反転に重力反転を重ねて対抗

・全方向からの重力反転でSランク冒険者を一時的に拘束

・魔法キューブ内から強化された黒葬の斬撃を放つ

・しかしSランク冒険者は生存

・地獄の狂乱の効果時間が残り少なくなる


タケシが使用したスキル:

・黒葬の斬撃

・魔王の威圧

・重力反転

・魔法キューブ

・エンゲル

・闇雷


Sランク冒険者が使用した技:

・水の矢

・光魔法、光の斬撃

・重力反転

・光魔法、光の塔


新技:

・闇雷

 エンゲルの雷と黒葬の斬撃を合わせた技

 黒い雷をまとった斬撃

 地獄の狂乱と魔法キューブによって強化された状態で使用


ポイント計算:

・戦闘中のため、討伐ポイントは未確定

・第六十話終了時点ではポイント変動なし


第六十話終了時点:633160pt

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