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ダンジョン妖精と始める異世界魔王ライフ  作者: 西園寺
魔物の国

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第五十九話 Sランクとの戦い

 俺の前には、あの時のSランク冒険者が立っていた。


 そして、その後ろには二十人ものAランク冒険者が並んでいる。


 全員が一流の装備を身につけ、油断のない目でこちらを見ていた。


 普通の冒険者とは違う。


 立っているだけで分かる。


 こいつらは強い。


「よぉ、久しぶりだなぁ」


 Sランク冒険者が笑いながら言った。


 前と同じ、余裕のある笑み。


 まるで遊びに来たかのような態度だった。


「久しぶりだな」


 俺はそいつを睨みながら答えた。


「Aランク冒険者まで引き連れてきたのか」


「お前こそ、魔物をずいぶん引き連れてるじゃないか」


 Sランク冒険者が俺の後ろを見る。


 そこには、ゼキナ、水魅五姉妹、ガルド。


 そして、オーク族、ガロウ族、ゴブリン族、猫族、ダークエルフ族がいる。


 俺の国の仲間たちだ。


「どっちもどっちだな」


 俺は笑った。


「でも、負けても文句は言うなよ」


「当たり前だ」


 Sランク冒険者も笑う。


「前に言っただろ。一ヶ月後にまた来るってな」


「ああ。覚えてる」


「なら、始めようか」


「そうだな」


 俺とSランク冒険者は、ほぼ同時に声を上げた。


「お前ら、行け!」


「行け!」


 その瞬間、俺たちの部下と冒険者たちが一斉に動いた。


「うおおおおお!」


 Aランク冒険者たちが武器を構えて走る。


 だが、その足元が突然崩れた。


「なっ!?」


「罠だ!」


 数人の冒険者が落とし穴に落ちる。


 その直後、暗闇の中から矢が飛んだ。


 ダークエルフ族の矢だ。


「ぐあああ!」


「くそっ、どこから撃ってきている!」


 さらに、通路に黒い霧が広がる。


 視界を奪い、魔力の流れを乱す闇の霧。


 ゼルドたちダークエルフ族が仕掛けた罠が、最初から冒険者たちを苦しめていた。


「いいぞ、ゼルド!」


 俺は思わず叫ぶ。


「ガロウ族、前へ!」


「はい!」


 ガルフたちガロウ族が、魔法の剣を構えて飛び出した。


 剣に魔力を流すと、炎や風の斬撃が放たれる。


「なんだこの武器は!?」


「魔物が魔法武器を使っているぞ!」


 Aランク冒険者たちが驚きの声を上げる。


 ゴブリン族が作った細かい調整部品のおかげで、魔法の剣は安定して動いている。


 オーク族が作った防壁と通路も、味方の動きを助けていた。


 猫族は後方で休憩場所を整え、負傷した魔物をすぐに下げられるように待機している。


 この三週間で作ったものが、確かに戦場で機能していた。


「なるほどな」


 Sランク冒険者がその光景を見て、少しだけ目を細めた。


「ただの魔物の群れじゃないってことか」


「ああ」


 俺は剣を構える。


「ここは俺の国だ」


「面白い」


 Sランク冒険者も剣を抜いた。


 ズゥゥ……。


 俺とSランク冒険者の剣が、同時に音を立てた。


「そろそろ、俺たちも始めようか」


「そうだな」


 俺は身体能力強化を発動する。


 体の奥から力が湧き上がる。


 さらに、未来予知Lv10で相手の動きを読む。


 前と同じなら、あいつは速い。


 それに、魔法も剣も使える。


 油断した瞬間に終わる。


「さぁ、まずはこっちの番だ」


 Sランク冒険者が片手を上げた。


 その手の先に、黒い炎が集まっていく。


「黒い炎……?」


「火魔法、黒炎矢」


 次の瞬間、黒い炎の矢が俺に向かって飛んできた。


「いけ」


 速い。


 だが、見える。


「黒葬の斬撃!」


 俺は剣を振り、黒い斬撃を放った。


 黒炎矢と黒葬の斬撃がぶつかり、空中で爆ぜる。


 黒い炎が周囲に散った。


「ほう」


 Sランク冒険者が少し笑う。


「前より反応がいいな」


「次はこっちの番だ」


 俺は地面を蹴った。


「身体能力強化」


 さらに。


「瞬間移動」


 俺の体が一瞬で消える。


 次の瞬間、俺はSランク冒険者の背後に出た。


「黒葬の斬撃!」


 背後から斬撃を放つ。


 だが、Sランク冒険者は振り向きもせず、体をわずかに傾けて避けた。


「甘いな」


「なっ――」


 次の瞬間、俺の腹に痛みが走った。


 Sランク冒険者の剣が、俺の腹を浅く切り裂いていた。


「ぐっ!」


「すまんな」


 Sランク冒険者は笑う。


「お前の斬撃を受けたら、一分間魔力が乱れるんだったな。前より少し面倒になっている」


「気づいてたのか」


「当然だ。前に戦った時より、お前の斬撃は厄介になっている」


 Sランク冒険者は剣を構え直す。


「だから、当たらなければいい」


「そうかよ」


 俺は腹に手を当てた。


「無限再生」


 傷口がゆっくりと塞がっていく。


 完全に一瞬で治るわけではない。


 だが、浅い傷ならすぐに動ける程度には回復する。


「なるほど」


 Sランク冒険者が目を細めた。


「前の再生とは違うな。少し厄介だ」


「そう簡単には倒れないぞ」


「なら、そろそろ終わらせるか」


「なに?」


 Sランク冒険者が空へ剣を向けた。


 その瞬間、上空に巨大な魔法陣が広がる。


 熱い。


 空気が焼ける。


 まるで太陽が落ちてくるような圧力が、上から降ってきた。


「世界の太陽光より光り、世界を照らせ」


 Sランク冒険者が詠唱する。


「火魔法、太陽聖」


 真上に、巨大な火球が現れた。


 隕石のようにも見える。


 だが、それはただの隕石ではない。


 太陽のように輝く、巨大な火魔法だった。


「なっ……!」


 俺は思わず見上げた。


 デカすぎる。


 避けるには範囲が広すぎる。


 防ぐにも威力が高すぎる。


「これで終わりだ」


 Sランク冒険者が笑う。


「くっ!」


 俺は魔法キューブを発動しようとした。


 だが、太陽聖の落下速度が速すぎる。


 巨大な火球が、俺の真上から一気に落ちてきた。


「タケシ様ぁぁぁ!」


「ご主人様!」


「我が王!」


 ミルたちの声が響く。


 次の瞬間、太陽聖が俺を飲み込んだ。


 轟音。


 爆風。


 熱。


 光。


 地面が砕け、石が飛び散る。


 周囲の魔物たちが吹き飛ばされそうになり、オーク族の防壁が大きく揺れた。


「タケシ様!」


 ミルの叫び声が響く。


 煙が上がる。


 炎が揺れる。


 俺が立っていた場所には、巨大な穴が開いていた。


「終わったな」


 Sランク冒険者が剣を下ろした。


「お前ら、俺たちの勝ちだ」


「うおおおおお!」


 Aランク冒険者たちの一部が歓声を上げる。


「ここは俺たちのものだ!」


「魔王は倒れたぞ!」


「押し切れ!」


 冒険者たちが勢いづく。


 だが、その時だった。


「そうはさせないぜ」


 瓦礫の中から、俺の声が響いた。


「なに?」


 Sランク冒険者の表情が初めて変わる。


 砕けた石の山が動いた。


 その中から、俺はゆっくりと立ち上がる。


 体は焼けている。


 服もところどころ焦げている。


 だが、俺は生きていた。


 体の奥から、黒い炎のような魔力があふれている。


「なんで生きてるんだ?」


 Sランク冒険者が低い声で言った。


「地獄の狂乱さ」


「地獄の狂乱?」


「ああ」


 俺は剣を握り直す。


「十分間だけ、魔力、体力、スキルの攻撃力を二倍にする」


 俺の全身から、黒い魔力が噴き上がる。


「その代わり、効果が切れた後は一時間意識を失う呪い付きのスキルだ」


「そんなスキルを……」


 Sランク冒険者が笑った。


 だが、その笑みにはさっきまでの余裕が少しだけ消えていた。


「面白い。本当に面白いな、お前」


「こっちは遊びじゃないんだよ」


 俺は一歩踏み出す。


 地面が割れる。


 体が軽い。


 魔力があふれる。


 今なら、届く。


 この十分快で、決める。


「さぁ」


 俺は剣を構えた。


「ここからが本当の戦いだ」


 次の瞬間、俺は地面を蹴り、Sランク冒険者へ飛びかかった。


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第五十九話終了時点


タケシ:魔王Dランク Lv0

階層数:60階層

残りポイント:633160pt


戦闘状況:

・Sランク冒険者がAランク冒険者20人を連れて再襲来

・タケシ側は新帝ダンジョンの国の仲間たちで迎撃

・ダークエルフ族とオーク族の罠が発動

・ガロウ族の魔法武器が実戦投入

・ゴブリン族の調整道具が武器と罠を支援

・猫族は後方で回復と休憩場所を担当

・タケシとSランク冒険者が一騎打ち開始


タケシが使用したスキル:

・身体能力強化

・瞬間移動

・黒葬の斬撃

・無限再生

・地獄の狂乱


Sランク冒険者が使用した魔法:

・黒炎矢

・火魔法、太陽聖


地獄の狂乱:

・十分間、魔力、体力、スキル攻撃力が二倍

・効果終了後、一時間意識を失う

・タケシの切り札として発動


ポイント計算:

・戦闘中のため、討伐ポイントは未確定

・第五十九話終了時点ではポイント変動なし


第五十九話終了時点:633160pt

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