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ダンジョン妖精と始める異世界魔王ライフ  作者: 西園寺
魔王転移

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6/13

第六話「新しい仲間」

「ステータス、開け」


 俺がそう呟くと、半透明の画面が目の前に現れた。


━━━━━━━━━━━━━━━


【新帝ダンジョン 魔王】


名前:タケシ

レベル:3


体力:5500

魔力:5700


スキル

・鑑定E

・魔力操作


残りポイント:2500


持ち物

・魔剣

・魔銃


━━━━━━━━━━━━━━━


「おぉ……結構上がってるな」


 レベルが二つ上がっただけなのに、体力も魔力もかなり増えている。


 しかも。


「鑑定のレベルまで上がってるのか」


「はい!」


 ミルが嬉しそうに頷いた。


「スキルは使用回数やレベルアップによって成長するんです!」


「へぇ……」


「ちなみに、ポイントを使って直接強化することもできますよ!」


「なるほどな」


 やっぱりこのダンジョン、ゲームっぽい。


「それでタケシ様、次はどうされますか?」


「そうだな……」


 俺は床に座り込んでいる女魔法使い――ヒアを見る。


 首元には、まだ魔剣を突きつけたままだ。


 さっきまで威勢が良かったのに、今は顔色が真っ青だった。


「まずは、こいつから外の情報を聞きたい」


 その瞬間、ヒアの肩がビクッと震える。


「ひっ……」


 するとミルがさらっと言った。


「それなら、拷問向きの魔物を召喚してみてはどうでしょう?」


「……拷問向き?」


「はい!」


 ミルはいつも通りの笑顔だ。


「精神系が得意な魔物なら、簡単に情報を引き出せますよ!」


 怖いことを笑顔で言うなこの妖精。


「そんな魔物いるのか?」


「今のポイントなら、Aランク魔物の“トーチャ”とかどうでしょう?」


「Aランク?」


 そんな上位魔物が買えるのか。


「戦闘特化じゃないので、比較的安いんです!」


「なるほどな……」


 俺は少し考えた後、頷いた。


「じゃあ召喚してみるか」


 そう言って玉座へ向かおうとした時だった。


「あ、そうだタケシ様!」


「ん?」


「もうモンスター召喚に玉座のボタンを押す必要ありませんよ!」


「……は?」


「“管理画面”と念じれば、ダンジョン機能を直接使えるようになってるはずです!」


「そんな機能増えてたのか?」


「冒険者を倒してレベルが上がったことで、タケシ様とダンジョンの結びつきが強くなったからだと思います!」


「なるほどな」


 俺はミルに言われた通り、心の中で唱えた。


「管理画面」


 すると。


 目の前に巨大な半透明の画面が現れる。


━━━━━━━━━━━━━━━


【管理画面】


 階層追加   階層改変   ショップ   魔物召喚


 ポイント   モニタ


━━━━━━━━━━━━━━━


「おぉ……」


 完全にゲーム画面だ。


「今まで玉座でやっていたことを、どこでもできるようになったと考えてもらえば大丈夫です!」


「つまり迷宮操作も自由ってことか」


「はい!」


「便利すぎるだろ……」


「モニタも、いつでもどこの階層でも見れるようになりました!」


 どんどんダンジョン運営が快適になっていく。


「じゃあ早速――魔物召喚」


 俺は画面から“トーチャ”を選択した。


『Aランク魔物・トーチャを召喚しますか?』


「承認」


 その瞬間。


 淡い紫色の光が部屋に広がった。


 光はゆっくり人型を作り上げていく。


 そして現れたのは、一人の女性だった。


 長い黒髪。


 白い肌。


 額から一本だけ伸びた黒い角。


 妖艶な雰囲気を纏った美女だ。


 彼女は俺の前で静かに膝をついた。


「初めまして、マスター」


 落ち着いた声だった。


「私は“トーチャ”です」


「初めまして……って、そのトーチャって名前なのか?」


「いえ」


 女性は静かに首を振る。


「トーチャは種族名です」


「なるほど」


 確かに呼びにくい。


「新しい名前をつけてもいいか?」


 すると彼女の表情が少しだけ柔らかくなった。


「……はい」


「名前を頂けるなら、嬉しいです」


 俺は少し考える。


 黒髪に黒角。


 なんとなく強そうな名前がいい。


「じゃあ、お前の名前は今日から“ゼキナ”だ」


「……ゼキナ」


 彼女は小さく呟く。


「嫌だったか?」


「いいえ」


 ゼキナは深く頭を下げた。


「ありがたき幸せです、マスター」


 なんか急に部下っぽくなったな。


 するとミルが思い出したように言った。


「そういえばタケシ様!」


「どうした?」


「先ほどの戦闘で、二階層のゴブリンがかなりやられています!」


「なに?」


 Cランク相手だったからな。


 迷宮を突破されかけたし、かなり消耗してるのか。


「でも今はポイントを節約したいんだよな……」


「それなら大丈夫だと思います!」


「どういうことだ?」


「レベルアップしたことで、低級魔物の価格が安くなっているんです!」


「なるほど」


 つまりダンジョンが成長したことで、下級魔物を量産しやすくなったわけか。


「じゃあ三階層も安く――」


「階層は安くなりません!」


「そこは据え置きか……」


 なかなか世知辛い。


 そんな話をしていると、ゼキナが静かに口を開いた。


「マスター」


「ん?」


「私のスキルに“魔物召喚”があります」


「魔物召喚?」


「はい。現在のレベルでは下級魔物しか召喚できませんが、ゴブリン程度なら可能です」


「マジか!?」


「はい」


 それはかなり便利じゃないか?


「すぐ頼む!」


「承知しました」


 ゼキナが片手を前に出す。


「――スキル・魔物召喚」


 魔法陣が展開される。


 次の瞬間。


 大量の光が現れ、そこからゴブリンたちが次々と姿を現した。


「おぉぉ!?」


 ざっと五十体ほど。


 一瞬で補充部隊が完成した。


「すごいぞゼキナ!」


「ありがとうございます、マスター」


 するとミルが羽をぱたぱたさせながら言う。


「これなら二階層をすぐ立て直せますね!」


「そうだな。……ミル、このゴブリンたちを二階層へ送れるか?」


「もちろんです!」


「どうやる?」


「“魔物転移”と念じれば大丈夫ですよ!」


「便利機能多いな……」


 俺は苦笑しながら念じた。


「魔物転移」


 すると。


 シュンッ!!


 ゴブリンたちが一瞬で消えた。


「転移完了です!」


「よし」


 これで二階層の補充も終わった。


「二人とも、よくやってくれた」


「えへへ!」


「当然です、マスター」


 ミルとゼキナがそれぞれ反応する。


「さて……」


 俺は玉座へ腰掛けた。


「次はどうされますか、マスター?」


「そうだな」


 ポイントも欲しい。


 三階層も欲しい。


 もっと強い魔物も必要だ。


 やることは山ほどある。


 だが――。


「今日はもう休む」


「え?」


「頭が疲れた。明日また考える」


 異世界に来てから、まともに休んでいない。


 少し整理したかった。


「承知しました!」


「おやすみなさい、マスター」


 こうして俺は、新しい仲間を得たダンジョンで再び眠りについた。

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