第五十七話 魔王専用スキル
――次の日。
俺の前には、ミルがいた。
昨日は各種族の成果を確認し、星制度を作った。
オーク族は星五。
ガロウ族は星六。
ゴブリン族は星四。
猫族は星四。
ダークエルフ族は星七。
そして、Sランク冒険者との戦いで一番活躍した種族には、星十を与えると宣言した。
あれから各種族の動きはさらに良くなっている。
だが、俺自身にもやるべきことがある。
「ミル、一つ聞きたいことがあるんだが」
「なんですか、タケシ様?」
「魔王専用スキルについてなんだが、魔王専用スキルって全部で何個あるんだ?」
俺が尋ねると、ミルは少し考えてから答えた。
「全部で百個あります」
「百個?」
思ったより多い。
「はい。ただし、すべてを最初から買えるわけではありません。魔王ランクによって購入できるスキルが変わります」
「なるほど」
「タケシ様は今、魔王Dランクなので、買えるのは二十個ほどだと思います」
「え」
俺は思わず声を出した。
百個あるのに、今買えるのは二十個ほど。
つまり、強いスキルの多くはまだロックされているということか。
だが、逆に考えれば、今買える二十個の中にも使えるものがあるはずだ。
「ミル、Sランク冒険者との戦いもあるし、今買える強いスキルは買っておきたい」
「はい。私もその方が良いと思います」
ミルは頷いた。
「それで、ミル。強いスキルを三個くらい欲しいんだが、何か良いものはないか?」
「そうですね……」
ミルは少し考え込む。
「今のタケシ様に合うものなら、無限再生、瞬間移動、魔法キューブなどがあります」
「無限再生、瞬間移動、魔法キューブか」
どれも名前だけで強そうだ。
「それぞれ、どういう能力なんだ?」
「まず、無限再生です」
ミルが説明を始める。
「無限再生は、軽い怪我ならすぐに治せるスキルです。大きな傷を完全に治すほどではありませんが、切り傷や打撲、浅い傷なら自動的に回復できます」
「なるほど。戦闘中に少しずつ回復できるのか」
「はい。長期戦ではかなり役に立ちます」
「次は瞬間移動だな」
「瞬間移動は、その名の通り、一瞬で移動するスキルです」
「距離は?」
「魔力の消費量によって変わります。短距離ならすぐ使えますし、ダンジョン内であればかなり自由に動けます」
「それは強いな」
Sランク冒険者との戦いでは、距離を取ることも近づくことも重要になる。
瞬間移動があれば、攻撃を避けることもできるし、奇襲もできる。
「最後に魔法キューブです」
「魔法キューブ?」
「はい。自分の周囲に四角い魔法空間を作るスキルです」
「魔法空間?」
「その中では、タケシ様の魔力と体力が一時的に二倍になります。さらに、魔法の壁が自動で展開されるので、防御にも使えます」
「つまり、自分に有利な空間を作るスキルか」
「はい。ただし、条件があります」
「条件?」
「魔力が三万以上ある時でないと使えません」
「なるほど」
魔力三万以上。
今の俺なら問題ない。
だが、戦闘で魔力を使いすぎた後だと使えない可能性がある。
そこは気をつける必要がありそうだ。
無限再生。
瞬間移動。
魔法キューブ。
全部かなり使える。
特に瞬間移動と魔法キューブは、Sランク冒険者との戦いで切り札になりそうだ。
「よし。全部買うか」
「本当に全部買うのですか?」
「ああ。今は出し惜しみしてる場合じゃない」
俺はモニターを開いた。
「スキルショップ、オープン」
目の前にスキルショップが表示される。
俺はまず、無限再生を選んだ。
『無限再生を購入しました』
『100000ポイント消費』
次に、瞬間移動。
『瞬間移動を購入しました』
『100000ポイント消費』
最後に、魔法キューブ。
『魔法キューブを購入しました』
『50000ポイント消費』
「よし。これで全部買えたな」
俺は息を吐いた。
かなりポイントは減った。
だが、Sランク冒険者と戦うためには必要な出費だ。
「タケシ様、一度ステータスを確認してみてください」
「ああ」
俺はステータス画面を開いた。
━━━━━━━━━━━━━━━
【新帝のダンジョン 魔王Dランク】
名前:タケシ
レベル:0
体力:80000
魔力:80000
スキル
・鑑定S
・魔力の極み
・ファイヤーボール
・煉獄斬り
・黒葬の惨撃
・未来予知Lv10
・魔王の威圧Lv1
・身体能力強化
・超速再生
・エンゲル
・残像
・無限の斬撃
・重力反転
・魔王領域
・魔王懺悔
・地獄の狂乱(呪い)
・無限再生
・瞬間移動
・魔法キューブ(魔力30000以上の時のみ使用可能)
残りポイント:33160pt
所持品
・魔銃
・上位魔剣
・アルティアレギオン
━━━━━━━━━━━━━━━
「……スキルの後ろに何かついてるな」
俺はステータス画面を見ながら言った。
地獄の狂乱には、呪い。
魔法キューブには、魔力三万以上の時のみ使用可能。
「後ろについているものは、デメリットや条件です」
「デメリット?」
「はい。スキルによっては、使うための条件や、使った後に発生する代償があります」
「なるほど。魔法キューブは、魔力が三万以上ないと使えないってことか」
「はい」
「じゃあ、地獄の狂乱についてる呪いは?」
「それは、使用後に大きなデメリットが発生するという意味です」
「地獄の狂乱の場合は、使った後に一時間意識を失うやつか」
「はい。それが呪いです」
「なるほどな」
スキルは強ければ強いほど、何かしらの条件や代償がある。
地獄の狂乱は強いが、使った後に意識を失う。
魔法キューブは便利だが、魔力が三万以上ないと使えない。
これからスキルを選ぶ時は、効果だけじゃなくて、後ろについている条件やデメリットも見ないといけない。
「スキルって、ただ買えばいいわけじゃないんだな」
「はい。強いスキルほど、使い方を間違えると危険です」
「分かった。気をつける」
俺はステータス画面を閉じた。
これで、Sランク冒険者との戦いに向けて、俺自身の準備もかなり進んだ。
地獄の狂乱。
無限再生。
瞬間移動。
魔法キューブ。
この四つをうまく使えば、前よりは確実に戦える。
だが、まだ安心はできない。
Sランク冒険者は、それほど甘い相手ではない。
「ご主人様、ご飯ができました」
その時、セリが玉座の間の入口から声をかけてきた。
「そうか」
俺は少し笑った。
「じゃあ、飯を食べるか」
「はい」
ミルも頷く。
俺はセリについて食堂へ向かった。
猫族たちが用意した食事は、前よりもかなり整っていた。
温かい料理。
柔らかいパン。
肉料理。
スープ。
国づくりが進むと、こういうところも変わってくるらしい。
「うまいな」
「本当ですか?」
セリが嬉しそうに聞いてくる。
「ああ。かなりうまい」
俺はそう言って食事を続けた。
食事を終えた後、俺は自分の部屋へ戻った。
今日は大きな戦いはなかった。
だが、確実に強くなった日だった。
Sランク冒険者が来るまで、残りは約三週間。
その日までに、俺も、仲間たちも、この国も、もっと強くならなければならない。
俺はステータス画面に表示されていた新しいスキルを思い出しながら、静かに眠りについた。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
第五十七話終了時点
タケシ:魔王Dランク Lv0
階層数:60階層
残りポイント:33160pt
新購入スキル:
・無限再生
軽い怪我ならすぐに回復できる
長期戦で役に立つ
・瞬間移動
一瞬で移動できる
短距離移動や回避、奇襲に使える
ダンジョン内ではかなり有効
・魔法キューブ
自分の周囲に魔法空間を作る
中では魔力と体力が一時的に二倍
魔法の壁による防御も可能
魔力30000以上の時のみ使用可能
確認したこと:
・魔王専用スキルは全部で100個
・魔王Dランクの今買えるスキルは約20個
・スキルの後ろにつく表示は、条件やデメリットを表す
・地獄の狂乱の「呪い」は、使用後に一時間意識を失う代償のこと
・魔法キューブは、魔力30000以上の時のみ使用可能
現在の重要スキル:
・地獄の狂乱
・無限再生
・瞬間移動
・魔法キューブ
ポイント計算
第五十六話終了時点:253160pt
翌朝の地脈ポイント:
60階層 × 500pt = 30000pt
第五十七話開始時点:
253160pt + 30000pt = 283160pt
スキル購入:
無限再生:100000pt
瞬間移動:100000pt
魔法キューブ:50000pt
合計消費:
250000pt
283160pt - 250000pt = 33160pt
第五十七話終了時点:33160pt
ーーーーーーーーーーーーーーーーーー




