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ダンジョン妖精と始める異世界魔王ライフ  作者: 西園寺
魔物の国

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53/62

第五十二話 魔物の国

 ――一時間後。


「魔王様、大変です!」


 ギガルドが慌てた様子で玉座の間へ入ってきた。


「どうした、ギガルド」


「資材が切れました!」


「マジか、そんなに早く!?」


 俺は思わず大声を上げた。


 ついさっき、オーク族を国の建築士として任命したばかりだ。


 それなのに、もう資材が足りないらしい。


「はい。七百人規模の住居を作るとなると、想像以上に資材が必要です」


 ギガルドは申し訳なさそうに頭を下げる。


「木材、石材、金具、屋根材、道を整える石材、倉庫用の柱。それに、今後さらに魔物が増えることを考えると、かなりの量が必要になります」


「なるほどな」


 確かに、家を一つ作るのとはわけが違う。


 七百人が住む場所を作るなら、資材はいくらあっても足りないだろう。


「分かった。資材を買う」


 俺はショップ画面を開いた。


「資材、購入」


『資材を購入しました』


『二〇〇〇ポイント消費』


 玉座の間の横に、大量の木材、石材、金具、布、工具が積み上がった。


「おぉ……!」


 ギガルドの目が輝く。


「これでいいか?」


「はい! これだけあれば一週間は持ちます!」


 ギガルドが自信満々に答えた。


「そうか。じゃあ、引き続き頑張ってくれ」


「はい!」


 ギガルドは大きな声で返事をすると、すぐに作業場へ戻っていった。


 オークたちの動きはかなり速い。


 バルドとギガルドが指示を出し、他のオークたちが資材を運んでいる。


 この調子なら、魔物の国づくりも思ったより早く進むかもしれない。


「さて、こっちはこっちで始めるか」


「はい、タケシ様!」


 ミルが元気よく返事をした。


 国づくりも大事だ。


 だが、俺たちにはもう一つ大きな問題がある。


 一ヶ月後に戻ってくる、あのSランク冒険者だ。


 あいつを倒すためには、俺自身も強くならなければならない。


 そして、ダンジョンの防衛力も上げる必要がある。


「ミル」


「はい」


「一ヶ月後にSランク冒険者がまた来るよな」


「はい。あの冒険者は、そう言っていました」


「Sランク冒険者を足止めできる魔物はいるか?」


「そうですね……」


 ミルは少し考え込んだ。


「います」


「マジか。どんな魔物だ?」


「レヴィアスです」


「レヴィアス?」


「はい」


 ミルがモニターを開く。


 そこに映ったのは、巨大な水の魔物だった。


 蛇のように長い体。


 龍のような頭。


 青黒い鱗に覆われた巨体。


 水の中を泳ぐたびに、周囲の水流が荒れ狂っている。


「レヴィアスは、海の深くに生息すると言われる巨大な魔物です」


「海の魔物か」


「はい。大きな街を壊すほどの力を持つと言われています。水の中では圧倒的に強く、Aランク冒険者なら一瞬で倒せるほどです」


「Aランクを瞬殺か」


 かなり強い。


 Sランク冒険者を倒せるかは分からない。


 だが、五十階層のボスとして配置すれば、足止めくらいはできるかもしれない。


「四十一階層から四十九階層までは水階層だ」


 俺はモニターを見ながら言う。


「だったら、五十階層は水階層のボス部屋にする」


「はい。レヴィアスなら、五十階層のボスにふさわしいと思います」


「よし。早速買うぞ」


 俺はショップ画面を開いた。


「レヴィアス、購入」


『レヴィアスを購入しました』


『二五〇〇〇ポイント消費』


 モニターに五十階層が映し出された。


 水で満たされた巨大な空間。


 中央には、深い青色の湖のような場所がある。


 その奥に、巨大な魔法陣が広がった。


 青黒い光が渦を巻き、やがて巨大な影が水中に現れる。


 レヴィアス。


 その巨体がゆっくりと動くだけで、五十階層全体の水が大きくうねった。


「おぉ……」


 かなり迫力がある。


 普通の冒険者なら、近づいただけで終わりだろう。


「これで五十階層のボスは決まりだな」


「はい!」


 ミルが嬉しそうに頷く。


「次は、魔物の国だ」


 俺は管理画面を見た。


 現在、新帝ダンジョンは五十階層まで整った。


 一階層から四十階層までは戦闘用の階層。


 四十一階層から四十九階層は水階層。


 五十階層はレヴィアスのボス部屋。


 だが、魔物たちが住む場所はまだない。


「五十一階層から六十階層を作る」


「はい」


 ミルが真剣な顔で頷く。


「十階層すべてを合わせて、魔物の国にする」


 俺はそう言った。


「一つの階層に全員を詰め込むんじゃなくて、各種族に一階層ずつ与える」


「種族ごとに街を作るということですね」


「ああ」


 オーク族にはオーク族の暮らし方がある。


 ゴブリン族にはゴブリン族の暮らし方がある。


 ウルフ系には広い走れる場所が必要だろう。


 スライム系なら水場や湿地が必要かもしれない。


 アンデッド族なら、暗く静かな場所の方が向いている。


 それぞれに合った階層を与えた方が、国として長く続くはずだ。


「五十一階層から六十階層、購入」


『五十一階層から六十階層を購入しました』


『魔物の国用階層として改変します』


『八〇〇〇ポイント消費』


 ゴゴゴゴゴ……!!


 ダンジョン全体が揺れた。


 五十階層の奥に、新しい道が開かれていく。


 五十一階層。


 五十二階層。


 五十三階層。


 そこから六十階層まで。


 十の階層が、一気に生まれた。


 ただの戦闘階層ではない。


 住むための階層。


 国を作るための階層。


 魔物たちが安心して暮らすための場所。


「よし、割り当てを決めるぞ」


「はい!」


 俺はモニターに新しい十階層を表示した。


「まず、五十一階層はオーク族だ」


「ありがとうございます、魔王様」


 バルドが深く頭を下げた。


「オーク族には、国づくりの中心になってもらう。建築区、工房、資材置き場を作ってくれ」


「承知しました」


「五十二階層は、まだ未定にしておく」


「はい」


「今後、新しい種族が来るかもしれないからな。空けておいた方がいい」


 ミルが頷く。


「五十三階層はゴブリン族」


「ゴブリン族ですか」


「ああ。数が多いし、手先も器用な個体がいる。工房や道具作りを任せられるかもしれない」


「良いと思います」


「五十四階層はウルフ系」


 モニターに、広い草原のような空間を映す。


「走れる場所が必要だろうから、広い平原みたいにする」


「ウルフ系にはかなり合いそうですね」


「五十五階層はスライム系」


「スライム系はどう使いますか?」


「浄化や農地、あと水場の管理に使えるかもしれない。柔らかい湿地みたいな階層にする」


「なるほど」


「五十六階層はアンデッド族」


 俺はガルドを見る。


「ガルド、アンデッド族の階層は任せてもいいか?」


「はっ。我が王の命とあらば」


「暗く静かな場所にして、訓練場も作る。将来的にはアンデッド騎士団みたいなものも作りたい」


「必ずや、我が王の盾となる騎士団を作り上げます」


「頼む」


 俺は再びモニターを見る。


「五十七階層、五十八階層、五十九階層、六十階層は未定だ」


「全部決めないのですか?」


 ミルが聞いてくる。


「ああ。今決めすぎるより、今後来る種族に合わせた方がいい」


「確かにそうですね」


「六十階層は国の中心にしてもいいし、魔王城下みたいにしてもいい。そこは後で考える」


「分かりました」


 これで、魔物の国の基本形は決まった。


 五十一階層、オーク族。


 五十二階層、未定。


 五十三階層、ゴブリン族。


 五十四階層、ウルフ系。


 五十五階層、スライム系。


 五十六階層、アンデッド族。


 五十七階層から六十階層は、今後のために空けておく。


「バルド、ギガルド」


「はい」


「まずは五十一階層から作ってくれ。オーク族の居住区と、建築用の工房。それから資材置き場だ」


「承知しました」


 バルドが力強く頷く。


「五十三階層以降は、種族ごとに必要な形を確認しながら作ります」


「頼む」


「魔王様」


 ギガルドが一歩前に出る。


「外にいる魔物たちを、先に五十一階層へ一時的に案内してもよろしいでしょうか?」


「ああ。まだ各階層は完成していないから、まずは一時避難場所として使おう」


「分かりました」


「コウにも外の様子を見てもらいながら、魔物たちを安全に誘導してくれ」


「はい!」


 こうして、魔物たちの受け入れが始まった。


 弱い魔物。


 子どもの魔物。


 戦うことが苦手な魔物。


 彼らが少しずつ、新帝ダンジョンの中へ入ってくる。


 最初は不安そうだった魔物たちも、オークたちが案内すると、少しずつ落ち着いていった。


 ここはもう、ただのダンジョンではない。


 魔物たちの国になる場所だ。


「タケシ様」


 ミルが俺の横に来た。


「本当に、国づくりが始まりましたね」


「ああ」


 俺はモニターに映る五十一階層から六十階層を見る。


 まだ何もない。


 ただ広い空間があるだけだ。


 だが、ここに家が建つ。


 道ができる。


 種族ごとの街が生まれる。


 そして、いつか魔物たちが笑って暮らす国になる。


「世界の魔王になるなら、まずは守るべき国が必要だ」


「はい」


「ここを、俺の最初の国にする」


 俺はそう言った。


 新帝ダンジョンは、また一つ形を変えた。


 戦うためのダンジョンから、魔物の国へ。


 俺たちの新しい一歩が、ここから始まる。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


第五十二話終了時点


タケシ:魔王Dランク Lv0

階層数:60階層

残りポイント:253160pt


新階層:

・五十階層

 水階層のボス部屋

 ボスモンスター:レヴィアス配置


・五十一階層〜六十階層

 魔物の国

 十階層すべてを合わせて一つの国にする

 各種族に一階層ずつ与える方針


階層割り当て:

・五十一階層:オーク族

・五十二階層:未定

・五十三階層:ゴブリン族

・五十四階層:ウルフ系

・五十五階層:スライム系

・五十六階層:アンデッド族

・五十七階層:未定

・五十八階層:未定

・五十九階層:未定

・六十階層:未定


新魔物:

・レヴィアス

 五十階層ボス

 海の深くに生息すると言われる巨大な魔物

 大きな街を壊すほどの力を持つ

 Aランク冒険者を瞬殺できるほど強い

 Sランク冒険者の足止め役として期待


国づくり:

・資材を追加購入

・バルド、ギガルドたちが建築継続

・外にいた魔物たちを五十一階層へ一時的に受け入れ開始

・種族ごとの街づくりが始まる


ポイント計算


第五十一話終了時点:288160pt


同日中のため、地脈ポイント追加なし


資材購入:-2000pt

残り:286160pt


レヴィアス購入:-25000pt

残り:261160pt


五十一階層〜六十階層購入・国用階層化:-8000pt

残り:253160pt


第五十二話終了時点:253160pt

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