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ダンジョン妖精と始める異世界魔王ライフ  作者: 西園寺
魔物の国

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第五十話 魔物の国

「ぐぁぁ……」


 俺はベッドの上で目を覚ました。


「おはようございます」


 目の前には、ミル、ゼキナ、水魅五姉妹、そしてガルドが並んでいた。


「ああ、みんなおはよう」


 俺は体を起こしながら返事をする。


 昨日は四十一階層から四十九階層までを水の階層にして、ミラージュを配置した。


 Sランク冒険者との戦いで受けた毒の影響はまだ少し残っているが、昨日よりはだいぶ体が軽い。


「タケシ様」


 ミルが真剣な顔で俺を見た。


「あの、少しお話がしたいんですけど」


「どうしたんだ?」


 いつものミルとは違う。


 少し緊張しているようにも見える。


「実はですね、魔の森に住む魔物たちが、ここのダンジョンに住みたいと言っているんです」


「え?」


 俺は驚いて声を出してしまった。


 魔の森の魔物たちが、俺のダンジョンに住みたい?


 どういうことだ。


「ミル、なんで魔の森の魔物が俺たちのダンジョンに来たいって言ってるんだ?」


「魔の森の魔物は、冒険者に狩られることが多いんです」


 ミルは少し悲しそうに言った。


「特に弱い魔物や、戦いが苦手な魔物は、森の中では生き残るのが難しいことがあります」


「なるほど」


「そういう魔物たちは、強いダンジョンや魔王を探して、その王を主として暮らすことがあるんです」


「つまり、ダンジョンの魔王を、魔物の王みたいに見ているってことか」


「はい」


 ミルは頷いた。


「タケシ様はDランク魔王になりましたし、ダンジョンもかなり広がっています。それに、外の森の一部も魔王の領域になりました。その影響で、魔の森の魔物たちがタケシ様を王として認識し始めたのだと思います」


「そういうことか……」


 俺は腕を組んで考え込む。


 魔物たちが俺を王として頼ってくる。


 それ自体は悪くない。


 むしろ、世界の魔王を目指すなら、魔物たちを受け入れるのは大事なことだ。


 だが、問題は場所だ。


「それで、魔物は何人くらいいるんだ?」


「そうですね……ぱっと見た感じ、七百人くらいだと思います」


「七百!?」


 思わず声が大きくなった。


 七百人。


 それはもう、少し受け入れるという規模じゃない。


 完全に村か、小さな町だ。


「マジか……」


「はい。今後さらに増える可能性もあります」


「そうなると、さすがに今のダンジョン内にそのまま住ませるのは難しいな」


 今のダンジョンは、冒険者を倒すための階層ばかりだ。


 洞窟。


 森。


 毒。


 磁石。


 水。


 どれも住むには向いていない。


 魔物たちを受け入れるなら、専用の居住階層が必要になる。


「ミル、階層を下に追加することはできるのか?」


「できるはずです」


「下に増やして、そこを居住用にすることは?」


「可能だと思います。ただ、普通の戦闘用階層とは違って、街として整える必要があります」


「そうだよな」


 七百人が住むなら、家が必要だ。


 水場もいる。


 食料の保管場所も必要だ。


 道も作らないといけない。


 今後さらに魔物が増えるなら、最初から大きめに作るべきだろう。


 俺はしばらく考えてから、顔を上げた。


「よし、決めた」


「タケシ様?」


「国づくりを始めよう」


「国づくり?」


 みんなが一斉に首をかしげた。


「ああ」


 俺は玉座から立ち上がる。


「世界の王になるには、まず国からだ。だから、最初に魔物の国を作る」


「魔物の国……」


 ミルが小さく呟く。


「このダンジョンを、ただの冒険者を倒す場所じゃなくする。魔物たちが住める場所にする。俺たちの国にするんだ」


 俺がそう言うと、ゼキナが静かに頭を下げた。


「マスターらしい考えです」


「ご主人様、素敵です」


 セリたち水魅五姉妹も嬉しそうに微笑む。


「我が王が国を築くのであれば、私はその剣となりましょう」


 ガルドが片膝をつく。


「ありがとう、みんな」


 俺は少し照れながら頷いた。


 だが、すぐに現実的な問題に戻る。


「とはいえ、街を作るなら建築士が必要だよな」


「はい」


 ミルが頷く。


「家や道、貯水施設、倉庫などを作るなら、建築に詳しい者が必要です」


「ポイントはできれば資材に使いたいしな」


 全部をポイントで買うこともできるかもしれない。


 だが、七百人以上が住む場所を全部ポイントだけで整えるとなると、かなり消費が大きくなる。


 それに、今後も拡張していくなら、建築できる人材は絶対に必要だ。


「マスター」


 ゼキナが口を開いた。


「魔物たちの中に、オーク族がいたはずです」


「オーク族?」


「はい。オーク族の中には、建築を得意とする者たちがいます。木材や石材を扱うのが上手く、集落作りにも慣れています」


「おぉ、そんな種族がいるのか」


「はい。戦うだけのオークとは違い、職人として生きるオーク族もいます」


「それなら、そのオーク族の代表を呼んでくれないか?」


「かしこまりました」


 ミルが頷いた。


「では、私が外へ行って連れてきます」


「頼む」


「はい!」


 ミルはすぐに玉座の間を飛び出していった。


    ◇◇◇


 ――数分後。


「タケシ様、連れてきました」


 ミルが戻ってきた。


 その後ろには、大きな体をした男が立っていた。


 背は高く、肩幅も広い。


 肌は少し灰色がかっていて、太い腕には無数の傷がある。


 見た目だけなら戦士のようだ。


 だが、腰には剣ではなく、木槌や測量用の道具のようなものを下げていた。


 顔つきは厳しいが、目には知性がある。


「お前がオーク族の代表か?」


 俺が聞くと、男は静かに頭を下げた。


「はい」


 低く太い声だった。


「私はオーク族の建築士、バルドと申します」


「バルドか」


「魔王様にお会いできたこと、光栄に思います」


 バルドは深く頭を下げた。


「我々は魔の森で暮らしてきました。しかし、近年は冒険者の数が増え、弱い魔物や子どもたちが狩られることも増えています」


「そうか」


「もし許されるのであれば、我々をこのダンジョンに住まわせていただきたい。そして、その代わりに、我々オーク族は街を作ります」


「街を作れるのか?」


「はい」


 バルドは力強く頷いた。


「木造の家、石造りの家、倉庫、道、広場、防壁。必要であれば、地下に水路も作れます」


「かなり本格的だな」


「我々オーク族は、戦うだけの種族ではありません。住む場所を作り、守る場所を作ることも得意です」


 俺はバルドを見た。


 この男は使える。


 いや、使えるなんて言い方は失礼か。


 国づくりに必要な仲間だ。


「バルド」


「はい」


「俺は、魔物の国を作るつもりだ」


 バルドの目がわずかに見開かれた。


「魔物の国……ですか」


「ああ。このダンジョンを、ただの戦う場所じゃなく、魔物たちが安心して暮らせる場所にする」


「……」


「そのためには、お前たちオーク族の力が必要だ」


 俺はまっすぐバルドを見る。


「俺の国づくりを手伝ってくれ」


 バルドはしばらく黙っていた。


 そして、ゆっくりと片膝をついた。


「魔王様」


 低い声が玉座の間に響く。


「我らオーク族、この命と技をもって、魔王様の国づくりに尽くしましょう」


「ありがとう、バルド」


「ただ、一つお願いがございます」


「なんだ?」


「我々だけでなく、弱い魔物、子ども、戦えぬ者たちも受け入れていただきたいのです」


「ああ」


 俺はすぐに答えた。


「そのための国だ」


 バルドの表情が少しだけ緩んだ。


「ありがとうございます」


「まずは居住階層を作る。そこに街を作るぞ」


「はい」


「ミル、次は居住用の階層を作る準備だ」


「分かりました!」


 俺はモニターを見た。


 四十九階層まで広がった新帝ダンジョン。


 ここに、戦うためだけではない階層を作る。


 魔物たちが暮らす街。


 俺の最初の国。


「新帝ダンジョンに、魔物の国を作る」


 俺はそう宣言した。


 その瞬間、玉座の間にいた全員が頭を下げた。


 世界の魔王になるための第一歩。


 それは、魔物たちを守る国づくりから始まる。

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第五十話終了時点


タケシ:魔王Dランク Lv0

階層数:49階層

残りポイント:288160pt


新情報:

・魔の森の魔物約七百人が新帝ダンジョンへの居住を希望

・弱い魔物は冒険者に狩られやすく、強い魔王やダンジョンを主として頼ることがある

・タケシが魔物の国づくりを決意

・居住用階層を作る方針

・オーク族は建築に優れた種族

・オーク族の建築士バルド登場

・バルドが魔物の国づくりへの協力を誓う


ポイント計算


第四十九話終了時点:263660pt


翌朝の地脈ポイント:

49階層 × 500pt = +24500pt


第五十話開始時点:

263660pt + 24500pt = 288160pt


この話では購入・討伐なし


第五十話終了時点:288160pt


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