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ダンジョン妖精と始める異世界魔王ライフ  作者: 西園寺
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第四十七話 魔王の惨劇

「なんだ、この揺れは……!」


 俺は玉座の肘掛けを掴みながら、思わず声を出した。


 ゴゴゴゴゴ……!!


 ダンジョン全体が大きく震えている。


 壁が鳴り、床が揺れ、天井から黒い魔力の光が降ってくる。


 だが、崩れるような揺れではない。


 ダンジョンそのものが外へ広がろうとしているような、そんな不思議な揺れだった。


 しばらくすると、揺れはゆっくりと収まっていった。


「タケシ様、大丈夫ですか?」


 ミルが心配そうに俺の顔を覗き込む。


「ああ、大丈夫だ」


 俺は息を吐いた。


「それより、さっきの揺れはなんだったんだ?」


「多分、タケシ様が一気に十万ポイント分も領域を広げたからです」


「あ」


 言われてみればそうだ。


 魔王の領域を初めて使ったのに、いきなり十万ポイントも消費した。


 さすがにやりすぎたかもしれない。


「さすがに十万は多かったか」


「かなり多いです」


 ミルは少し苦笑いする。


「普通なら、もっと少しずつ試すと思います」


「まあ、でも成功したからいいだろ」


「はい。成功はしています」


「ところで、どれくらい変わったんだ?」


 俺が聞くと、ミルはモニターを開いた。


 画面には、新帝ダンジョンの入口と、その周囲に広がる魔の森が映っている。


「そうですね……魔の森全体で見ると、十万分の一から九万分の一くらいがタケシ様の領域になったはずです」


「え、それしか変わってないのか?」


「はい」


 ミルは真面目な顔で頷いた。


「魔の森はとても広いです。十万ポイントでも、森全体から見ればほんの一部です」


「マジか……」


 俺は少し肩を落とした。


 十万ポイントも使ったのに、魔の森のほんの一部。


 世界の魔王になるには、まだまだポイントが必要だ。


「これは、もっとポイントを貯めないとな」


「そうですね」


 ミルが頷く。


「ですが、これでダンジョンの支配領域を外へ広げることはできました」


「ああ」


 少しとはいえ、外の森の一部が俺の領域になった。


 今まで全く分からなかった外の様子を、少しだけ感じ取れるようになったのは大きい。


「これで一歩前進だな」


「はい!」


 ミルが嬉しそうに頷いた。


 その時、ミルが何か思い出したように顔を上げた。


「タケシ様、もう一つ言いたいことがあります」


「なんだ?」


「スキルショップがありますよね?」


「ああ、あるな」


「実は、魔王ランクが進化すると、スキルショップに新しいスキルが追加されるんです」


「マジか」


 俺は思わず身を乗り出した。


「はい。Dランク魔王になったことで、今まで買えなかったスキルが追加されているはずです」


「それ、かなり大事な情報じゃないか」


「すみません。昨日は情報が多すぎて、説明できませんでした」


「まあ、それは仕方ない」


 昨日は俺の進化、水魅五姉妹の進化、ガルドの進化、魔王の領域の説明。


 確かに情報量が多すぎた。


「一回、スキルショップを開いてみたらどうですか?」


「そうだな」


 俺は頷いた。


「スキルショップ、オープン」


 目の前に半透明の画面が現れる。


 そこには、前に見た時よりも明らかに多いスキルが並んでいた。


「おぉ、いろいろ増えてるな」


「はい。Dランクから購入できるスキルが追加されています」


「どれも強そうだな」


 画面には、聞いただけで強そうな名前がいくつも並んでいる。


 雷系。


 闇系。


 重力系。


 剣技系。


 魔王専用と書かれたスキルもある。


「その中から、強いスキルを二つくらい買ってみてはどうですか?」


「そうだな」


 俺は画面を見ながら考える。


 今の俺には、黒葬の惨撃、エンゲル、残像、重力反転がある。


 だが、攻撃系のスキルはまだもう少し欲しい。


 特に、強い冒険者や騎士団長クラスを相手にするなら、決め手が多い方がいい。


「ミル、何かいい攻撃スキルはないか?」


「そうですね……少し高いですが、かなり強いものがあります」


「なんだ?」


「無限の斬撃と、魔王の惨劇です」


「なんだそれは」


「まず、無限の斬撃は分かりやすいです。敵に無数の斬撃を与える攻撃スキルです」


「強いな」


 避けきれないほどの斬撃。


 広範囲攻撃にも使えそうだ。


「それで、魔王の惨劇はなんなんだ?」


「魔王の惨劇は、買ってから説明した方がいいと思います」


「なんでだ?」


「魔王専用スキルなので、実際に取得してステータスを見た方が分かりやすいです」


「そうか」


 少し気になるが、魔王専用という響きがかなり強そうだ。


 ポイントはまだある。


 ここで買っておいて損はないだろう。


「だったら、一回買っちゃうか」


「はい!」


 俺はスキルショップを操作した。


「無限の斬撃、購入」


『無限の斬撃を購入しました』


『一〇〇〇〇ポイント消費』


 続けて、もう一つ。


「魔王の惨劇、購入」


『魔王の惨劇を購入しました』


『二〇〇〇〇ポイント消費』


「よし、買ったな」


「タケシ様、一回ステータスを開いてみてください」


「ああ、分かった」


 俺は頷いて、ステータスを開く。


「ステータスオープン」


━━━━━━━━━━━━━━━


【新帝のダンジョン 魔王Dランク】


名前:タケシ

レベル:0


体力:50000

魔力:50000


スキル

・鑑定S

・魔力の極み

・ファイヤーボール

・煉獄斬り

・黒葬の惨撃

・未来予知Lv10

・魔王の威圧Lv1

・身体能力強化

・超速再生

・エンゲル

・残像

・重力反転

・魔王の領域

・無限の斬撃

・魔王の惨劇D


残りポイント:268160pt


所持品

・魔銃

・上位魔剣

・アルティアレギオン


━━━━━━━━━━━━━━━


「ん?」


 俺はステータスを見て首をかしげた。


「なんか、魔王の惨劇にDってついてるぞ」


「はい」


 ミルが頷く。


「魔王の惨劇は、魔王専用スキルの一つです。魔王ランクが上がるごとに、特殊能力が追加されます」


「ランクが上がるごとに?」


「はい。今のタケシ様はDランク魔王なので、魔王の惨劇Dになっています」


「なるほど。で、Dランクの効果はなんだ?」


 ミルは少し真剣な顔になった。


「Dランクの効果は、斬撃を与えた相手の魔力を一分間使えなくすることです」


「え?」


 俺は思わず声を出した。


「魔力を使えなくする?」


「はい」


「それって、魔法を封じるってことか?」


「そうです。魔法だけではなく、魔力を使う強化や結界なども一時的に封じられます」


「マジかよ……」


 それは強すぎる。


 冒険者も騎士団も、強いやつほど魔力を使う。


 魔法使いはもちろん、剣士でも身体強化や属性剣を使う。


 それを一分間封じられるなら、戦闘が一気に有利になる。


「しかも、この効果は魔王の惨劇を使った時だけではありません」


「どういうことだ?」


「魔王の惨劇Dを取得している間、タケシ様の斬撃に常時付与されます」


「常時!?」


「はい。もちろん、相手が強ければ完全に封じられない場合もありますが、基本的には斬撃が当たれば魔力を乱し、一分間使えなくできます」


「最強じゃないか……」


 俺はステータスを見ながら息を呑んだ。


 黒葬の惨撃。


 エンゲル。


 無限の斬撃。


 そこに魔王の惨劇Dの効果が乗る。


 斬撃を当てれば、相手の魔力を封じる。


 つまり、相手の攻撃力も防御力も一気に落とせる。


「これは、早く試したいな」


「タケシ様、かなり危ない顔をしていますよ」


「いや、だってこれは試したくなるだろ」


 強い冒険者。


 騎士団。


 Sランク級の相手。


 そういう敵にどこまで通じるのか、気になる。


「冒険者を早く倒したいなぁ」


 俺がそう言った瞬間だった。


 玉座の間に、聞き覚えのある声が響いた。


「魔王様、大変です!」


「この声は……」


 俺は顔を上げる。


 入口の方から、小さな黒い影が飛び込んできた。


 コウだ。


 外の偵察に出していた、小さなコウモリ型の魔物。


「コウ!」


「はい、魔王様!」


 コウは俺の前で慌てたように羽ばたいた。


「外で大きな動きがあります!」


「大きな動き?」


「はい!」


 コウの赤い目が鋭く光る。


「ファラストラ伯爵の領地から、さらに大きな軍が動き出しました!」


 玉座の間の空気が一気に重くなる。


 騎士団副団長。


 騎士団長。


 そして今度は、さらに大きな軍。


 外の世界が、ついに本格的に新帝ダンジョンを潰しに来ようとしている。


 俺はゆっくりと笑った。


「ちょうどいい」


 上位魔剣を手に取り、黒い魔力を流す。


「新しいスキルを試す相手が来たってことだな」

———————————————————————-

第四十七話終了時点


タケシ:魔王Dランク Lv0

階層数:40階層

残りポイント:268160pt


新情報:

・魔王の領域で十万ポイント分広げても、魔の森全体から見ればごく一部

・Dランク進化によりスキルショップに新スキルが追加

・無限の斬撃を購入

・魔王の惨劇を購入

・魔王の惨劇は魔王専用スキル

・現在は魔王の惨劇D

・Dランク効果は、斬撃を与えた相手の魔力を一分間使えなくする

・魔王の惨劇Dの効果は常時発動型

・コウが外から帰還

・ファラストラ伯爵領からさらに大きな軍が動き出した


ポイント計算


第四十六話終了時点:298160pt


同日中の出来事のため、地脈ポイント追加なし


無限の斬撃購入:-10000pt

残り:288160pt


魔王の惨劇購入:-20000pt

残り:268160pt


第四十七話終了時点:268160pt

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