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ダンジョン妖精と始める異世界魔王ライフ  作者: 西園寺
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第四十四話 Dランク魔王

「タケシ様、タケシ様、起きてください!」


 俺はミルの声で目を覚ました。


「ん……どうした、ミル。こんな朝早くから」


 まだ頭が少しぼんやりしている。


 昨日は三十一階層から四十階層までを磁石階層にして、磁石ゴーレムも配置した。


 かなり疲れていたから、もう少し寝ていたかったのだが、ミルの顔はかなり焦っていた。


「それが、前に倒した騎士団の騎士団長と、騎士五十名が来ています!」


「なに?」


 一気に眠気が飛んだ。


 騎士団長。


 つまり、前にガルドが倒したファラストラ伯爵騎士団副団長の上司か。


「それで、今何階層にいるんだ?」


「三十九階層です!」


「三十九階層!?」


 思わず声が出た。


 三十一階層から四十階層は、昨日作ったばかりの磁石階層だ。


 磁石ゴーレムも千体配置している。


 それなのに、もう三十九階層まで来ているのか。


「かなり強いな……」


「はい。騎士団長は副団長よりもはるかに強いです。それに、騎士たちも全員かなり鍛えられています」


 となると、もうすぐ四十階層を突破されるかもしれない。


 このまま放っておけば、玉座の間まで来る可能性もある。


「タケシ様、どうしますか?」


「とにかく、やるしかない」


 俺はベッドから立ち上がった。


「全員、戦闘準備だ」


「はい!」


    ◇◇◇


 ――数分後。


 俺たちは四十階層の手前で騎士団を迎え撃つ準備を整えた。


 ゼキナ。


 ミル。


 メリ、ビビ、セリ、サリ、エリ。


 そして、魔王の騎士ガルド。


 みんなが俺の周りに集まっている。


 磁石階層の空気は、少し重い。


 壁や床に走る青白い磁力の光が、騎士団の金属鎧に反応している。


 遠くから、金属のこすれる音が聞こえてきた。


「来たか」


 やがて、騎士団が姿を現した。


 数は五十人。


 全員が同じ紋章の入った鎧を着ている。


 前衛には大盾を持つ騎士。


 中衛には剣と槍を構える騎士。


 後衛には魔法騎士。


 そして、その中心に、一人だけ明らかに格の違う男がいた。


 豪華な鎧。


 巨大な剣。


 鋭い目。


 ただ立っているだけで、周囲の空気が重くなる。


「おい」


 騎士団長が低い声で言った。


「うちの副団長を殺した魔王はどこだ」


「俺だ」


 俺は一歩前に出た。


「お前か」


 騎士団長が俺を見る。


「お前が、うちの副団長を殺したのか」


「そうだ」


 実際に倒したのはガルドだが、俺のダンジョンで起きたことだ。


 俺の責任でいい。


「そうか」


 騎士団長は剣を抜いた。


「だったら、死んでもらう」


「できるならやってみろ」


「いい度胸だ」


 騎士団長が片手を上げる。


「行け、お前ら!」


「はっ!」


 五十人の騎士団が一斉に動き出した。


「みんな、頼む!」


「はい!」


「承知しました、マスター」


「我が王の敵を討ちます」


 そして、騎士団と魔王軍の戦いが始まった。


    ◇◇◇


 ガルドが真っ先に前へ出た。


「闇魔法――闇切り」


 大剣に闇の魔力がまとわりつき、黒い斬撃が騎士団へ飛ぶ。


「あぁぁっ!」


 前衛の騎士たちが吹き飛ばされる。


 だが、騎士団もただでは倒れない。


「盾を並べろ!」


「魔法騎士、援護!」


 後方の魔法騎士たちが杖を構える。


 だが、その前に水魅五姉妹が動いた。


「アイスエイジ」


 セリの声と同時に、床を走る水が一気に凍りつく。


「あぁぁっ!」


 騎士たちの足元が凍り、動きが止まる。


 そこへビビが手を前に出した。


「火魔法――火龍」


 巨大な炎の龍が、凍りついた騎士たちへ襲いかかる。


「あぁぁぁっ!」


 炎と氷。


 水魅五姉妹の連携は、以前より明らかに鋭くなっていた。


 さらにゼキナが騎士団の側面へ回り込む。


「邪魔です」


 ゼキナの剣が黒く光り、騎士たちの隊列を切り裂いた。


 磁石階層の磁力も騎士団を苦しめている。


 金属鎧が壁に引っ張られ、剣や盾の動きがわずかに乱れる。


 そのわずかな乱れを、ゼキナたちは見逃さない。


「くそっ、隊列を崩すな!」


「磁力に逆らえ! 踏ん張れ!」


 騎士たちは必死に持ちこたえようとする。


 だが、ここは俺のダンジョンだ。


 騎士団にとって有利な場所ではない。


「じゃあ、そろそろ俺たちも始めるか」


 騎士団長が低く言った。


「そうだな」


 俺は上位魔剣を構えた。


 騎士団長の目が鋭くなる。


 次の瞬間、騎士団長が一気に距離を詰めてきた。


 速い。


「っ!」


 剣が振られる。


 俺の体が斬られた。


 いや、そう見えただけだ。


「それは残像だ」


「なに?」


 俺は騎士団長の背後に回っていた。


「エンゲル!」


 上位魔剣に雷がまとわりつく。


 青白い雷を帯びた斬撃が、騎士団長へ向かう。


 だが――。


「結界魔法」


 騎士団長の周囲に透明な壁が現れた。


 エンゲルの斬撃が結界にぶつかり、雷が弾ける。


「なに?」


「あまいぞ」


 騎士団長が振り向く。


 その剣に炎がまとわりついた。


「火剣」


 炎をまとった剣が、俺へ襲いかかる。


「くっ……!」


 俺は上位魔剣で受け止める。


 重い。


 そして熱い。


 炎の魔力が刃越しに伝わってくる。


「身体能力強化!」


 俺は全身に魔力を流した。


 体が軽くなる。


 反応速度が上がる。


 ギリギリで騎士団長の連撃を防いでいく。


「やるな、魔王」


「そっちこそな」


 こいつは強い。


 副団長とは比べものにならない。


 結界魔法。


 火剣。


 それに剣技もかなり高い。


 普通に戦えば、かなり厄介な相手だ。


 だが、今の俺には魔王としての力がある。


「次はこっちの番だ」


 俺は黒い魔力を周囲へ広げた。


「魔王の威圧」


「ぐっ……!」


 騎士団長の動きがわずかに鈍る。


「体が……重い……!」


「これで終わりだ」


 俺は上位魔剣に黒い炎をまとわせた。


「黒葬の惨撃」


 黒炎の斬撃が騎士団長へ飛ぶ。


「くそっ!」


 騎士団長は結界を張ろうとした。


 だが、魔王の威圧で反応が遅れた。


 黒い斬撃が結界ごと騎士団長を飲み込む。


「あぁぁぁぁっ!」


 叫び声が響く。


 そして、騎士団長の姿は黒炎の中に消えた。


「はぁ……やっと終わった」


 俺は上位魔剣を下ろした。


「さすがです、我が王」


 ガルドが片膝をつく。


「ありがとう、ガルド」


 騎士団長が倒れたことで、残った騎士たちの士気は崩れた。


 ゼキナ、水魅五姉妹、ガルド、そして磁石ゴーレムたちによって、騎士団は完全に制圧された。


 その時だった。


『新帝ダンジョンの魔王タケシのレベルが九〇から一〇〇に上がりました』


『条件を満たしました』


『新帝ダンジョンの魔王タケシは、Eランク魔王からDランク魔王へ進化します』


「あ……」


 その声を聞いた瞬間、強烈な眠気が襲ってきた。


 前にEランクへ進化した時と同じだ。


 だが、今回の眠気はさらに重い。


 立っていられない。


「タケシ様!」


 ミルの声が聞こえた。


「ミル……」


 視界が暗くなる。


 俺はそのまま意識を失った。


    ◇◇◇


 ――二週間後。


「あ……」


 俺はゆっくりと目を開けた。


「タケシ様!」


 目の前にミルの顔があった。


「起きましたか!」


「ミル……?」


 俺は体を起こそうとして、少しふらついた。


「あれ、俺……なんで寝てるんだ?」


「タケシ様は、騎士団長を倒してレベル一〇〇に到達しました。そして、ついにDランクの魔王へ進化したのです」


「Dランク……」


 そこで、俺は全てを思い出した。


 ファラストラ伯爵の騎士団長。


 五十人の騎士団。


 黒葬の惨撃。


 そして、レベル一〇〇到達。


「そうか……俺、Dランクになったのか」


「はい!」


「それで、一体何日寝ていたんだ?」


「二週間ほどです」


「そんなに!?」


 思わず声が出た。


 Eランクに進化した時は一週間だった。


 今回は二週間。


「はい。魔王のランクが上がっていくほど、進化に必要な眠りの時間も増えていくようです」


「これは少しきついな……」


 進化するたびに長く眠るのは危険だ。


 俺が眠っている間に強敵が来たら、かなりまずい。


「それと、タケシ様が眠っている間に、セリたち水魅五姉妹とガルドが進化状態に入りました」


「え?」


 俺は目を見開いた。


「セリたちとガルドが?」


「はい。タケシ様がDランク魔王へ進化した影響を受けたのだと思います」


「じゃあ、俺がいない間、ゼキナとミルだけでダンジョンの警備をしていたのか?」


「はい。大変でしたよ」


 ミルが少し胸を張る。


「ありがとな、ミル」


「いえ、タケシ様のためですから!」


「それで、セリたちとガルドはどこにいるんだ?」


「もうそろそろ来ると思いますよ。一日前には目を覚ましていましたから」


「そうか」


 その時、部屋の外から声が聞こえた。


「ご主人様」


「我が王」


 聞き覚えのある声。


 だが、前とは少し違う。


 強く、澄んでいて、どこか大人びた声。


 扉が開く。


 そこには、進化を終えた水魅五姉妹とガルドが立っていた。


 俺はその姿を見て、思わず息をのんだ。


 新帝ダンジョンは、また新しい段階へ進もうとしていた。

———————————————————————————

第四十四話終了時点


タケシ:魔王Dランク Lv0

階層数:40階層

残りポイント:378160pt


新情報:

・ファラストラ伯爵騎士団長が騎士50名を率いて侵入

・騎士団は三十九階層まで到達

・タケシたちが四十階層付近で迎撃

・タケシが騎士団長を撃破

・騎士団本隊はゼキナ、水魅五姉妹、ガルド、磁石ゴーレムたちが撃破

・タケシがEランクLv100に到達

・Dランク魔王へ進化

・進化の眠りは二週間

・水魅五姉妹とガルドも進化状態に入った

・水魅五姉妹とガルドはタケシより一日前に目覚めた


ポイント計算


第四十三話終了時点:66160pt


翌朝の地脈ポイント:

40階層 × 500pt = +20000pt


第四十四話開始時点:

66160pt + 20000pt = 86160pt


ファラストラ伯爵騎士団長+騎士50名討伐:+12000pt

残り:98160pt


Dランク進化による二週間の眠り:

40階層 × 500pt = 20000pt/日

20000pt × 14日 = +280000pt


第四十四話終了時点:

98160pt + 280000pt = 378160pt


———————————————————————————

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