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ダンジョン妖精と始める異世界魔王ライフ  作者: 西園寺
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第四十二話 外を見る目

「ぐぁ……」


 俺はベッドの上で目を覚ました。


「おはようございます!」


 みんなが一斉に言う。


「あぁぁ……みんな、おはよう」


 俺は体を起こしながら返事をした。


 ミル、ゼキナ、メリ、ビビ、セリ、サリ、エリ。


 そして、昨日仲間になった魔王の騎士ガルドも、玉座の近くに控えている。


「タケシ様、大丈夫ですか?」


 ミルが心配そうに俺の顔を覗き込んできた。


「なにがだ?」


「目の下にクマがすごくできています」


「あ……」


 そう言われて、俺は自分の顔を軽く触った。


 最近、結構疲れてきている。


 特に昨日の騎士団。


 ファラストラ伯爵に仕える騎士団副団長と、二十人以上の討伐隊。


 ガルドがいなければ、少し面倒な戦いになっていたかもしれない。


 それに、何より問題なのは――。


 ダンジョンの外の様子が分からないことだ。


「そうだ、ミル」


「はい?」


「ダンジョンの外の様子って見られないのか?」


 俺がそう聞くと、ミルは少し困った顔をした。


「基本的には無理です」


「やっぱりか」


「はい。タケシ様はダンジョンの王ですから、ダンジョン内のことは分かります。ですが、ダンジョン外の様子までは分かりません」


「なるほどな」


 ダンジョンの中では俺はかなり有利だ。


 どこに冒険者がいるか分かるし、転移もできる。


 だが、外が分からない。


 それは世界の魔王を目指すなら、かなり大きな弱点だ。


「外が分からないと、世界の王になる野望が少しきつくなってくるな……」


「ですが、方法はあります」


「どんな方法だ?」


 ミルが指を二本立てた。


「一つ目は、魔王専用スキルのダンジョン巨大化を使うことです」


「ダンジョン巨大化?」


「はい。タケシ様の支配領域を広げるスキルです。簡単に言うと、ダンジョンそのものを大きくできます」


「なるほど」


 つまり、支配領域を広げれば、ダンジョンの外だった場所もダンジョンとして扱えるようになるということか。


「二つ目は?」


「外に部下を出して、外の様子を調べてもらうことです」


「二つ目は分かりやすいな」


 ダンジョン巨大化はまだ使えない。


 だが、部下を外に出す方法なら、今でもできるかもしれない。


「マスター」


 ゼキナが静かに口を開いた。


「私の魔物召喚で、外の様子を見られる魔物を呼べるかもしれません」


「本当か?」


「はい」


 それなら、今すぐやるべきだ。


「ゼキナ、頼む」


「分かりました」


 ゼキナが手を前に出した。


「魔物召喚」


 その瞬間、黒い光が現れた。


 光は小さく渦を巻き、やがて一体の小さな魔物を形作る。


 出てきたのは、手のひらに乗るくらいの小さなコウモリだった。


 黒い翼。


 赤い小さな目。


 だが、不思議と知性を感じる。


「どうも、魔王様」


 小さなコウモリがぺこりと頭を下げた。


「私の名はコウです」


「コウか」


 俺は少し驚きながらも頷いた。


 見た目は小さいが、話せるらしい。


「お前に頼みたいことがある」


「何でも言ってください」


「実は昨日、このダンジョンに人間の騎士団が来た」


「騎士団ですか」


「ああ。ファラストラ伯爵っていう貴族に仕える騎士団らしい。今後また来るかもしれないから、外の様子を見てきてほしい」


「分かりました」


 コウは小さな翼を広げた。


「私にお任せください。空から見れば、人間の動きも分かりやすいはずです」


「頼んだぞ」


「はい!」


 コウはぱたぱたと羽ばたき、ダンジョンの入口の方へ飛んでいった。


 小さいから目立ちにくい。


 偵察役としてはかなり良さそうだ。


「これで情報面は少し楽になりそうだな」


「そうですね」


 ミルが頷く。


「外の動きが分かれば、騎士団や冒険者が来る前に準備できます」


「ああ」


 外の情報。


 これは今後かなり重要になる。


「ご主人様」


 セリが口を開いた。


「魔王専用スキルを早く得るためにも、レベルアップは大切なのではないでしょうか」


「そうだな」


 ダンジョン巨大化。


 それを使えるようになれば、支配領域を外に広げられる。


 そのためにも、魔王ランクを上げる必要がありそうだ。


「冒険者を倒しに行くか」


「はい!」


    ◇◇◇


 それから俺たちは、ダンジョン内に侵入していた冒険者を狩りに向かった。


 三十一階層はまだない。


 だから、冒険者たちは三十階層までのどこかにいる。


 俺たちはモニターで位置を確認しながら、階層を転移していった。


「エンゲル!」


 雷を纏った上位魔剣が、冒険者の鎧を切り裂く。


「ぐあああっ!」


 さらに別の冒険者が後ろから斬りかかってくる。


「残像」


 剣が俺の姿を斬った。


 だが、それは本体じゃない。


「こっちだ」


 俺は背後に回り込み、黒い炎を刀身にまとわせる。


「黒葬の惨撃」


 黒炎の斬撃が冒険者たちを飲み込んだ。


 何組も倒した。


 Aランクもいた。


 強化魔法を使う奴。


 魔力感知で転移を読もうとする奴。


 毒階層を突破してくる奴。


 最近の冒険者は本当に強い。


 だが、俺も成長している。


 身体能力強化。


 魔王の威圧。


 残像。


 エンゲル。


 そして黒葬の惨撃。


 戦い方はかなり増えてきた。


 そして最後の冒険者を倒した時、声が響いた。


『新帝ダンジョンの魔王タケシのレベルが九〇に上がりました』


『八〇〇〇ポイントを入手しました』


「よし」


 俺は上位魔剣を下ろした。


「レベル九十か」


「タケシ様、もうすぐDランクの魔王ですね!」


 ミルが嬉しそうに言う。


「ああ。Eランクもあと少しだな」


 レベル百になれば、俺は次のランクへ進める。


 FからEへ上がった時のように、きっとまた大きく強くなるはずだ。


「ダンジョン巨大化も、その時に手に入るかもしれませんね」


「そうだな」


 転生して、もうすぐ五ヶ月。


 最初は一階層しかなかったダンジョンが、今は三十階層まで広がっている。


 ミルがいて、ゼキナがいて、水魅五姉妹がいて、ガルドがいて。


 そして外には、偵察役のコウも飛び立った。


 一年後には、このダンジョンはどこまで成長しているんだろうな。


「それより、今日は疲れたし、ご飯を食べて寝ようか」


「はい!」


「ご主人様、すぐに準備します」


 俺たちは玉座の間に戻り、セリたちの作ってくれたご飯を食べた。


 温かい食事。


 仲間たちの声。


 少しずつ広がっていくダンジョン。


 外の世界は、これからもっと俺たちを警戒してくるだろう。


 それでも俺は止まらない。


 いつか、ダンジョンの魔王ではなく、世界の魔王になるために。


 俺はそう思いながら、眠りについた。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


タケシ:魔王Eランク Lv90

階層数:30階層

残りポイント:83250pt


新しい仲間:

・コウ

 小さなコウモリ型の魔物

 ゼキナの魔物召喚で出現

 外の偵察担当


新情報:

・ダンジョン外の様子は通常見られない

・外を見る方法は二つ

 1. 魔王専用スキル「ダンジョン巨大化」で支配領域を広げる

 2. 部下を外へ出して偵察させる


目標:

・EランクLv100到達

・Dランク魔王への進化

・魔王専用スキル獲得


第四十一話終了時点:60250pt


翌朝の地脈ポイント:

30階層 × 500pt = +15000pt


第四十二話開始時点:

60250pt + 15000pt = 75250pt


冒険者討伐:+8000pt

残り:83250pt


第四十二話終了時点:83250pt


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