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ダンジョン妖精と始める異世界魔王ライフ  作者: 西園寺
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第四十一話 魔王の騎士

「あぁぁ……」


 俺はベッドの上で目を覚ました。


「我が王、おはようございます」


「おお、ガルド。おはよう」


 目の前には、黒い鎧を着たアンデッドナイト、ガルドが片膝をついていた。


 昨日、俺が購入し、名前を与えた新しい仲間。


 魔王の騎士。


 朝からこうして出迎えられると、少しだけ本当に魔王になった気がする。


「……あれ? ミルたちはどこだ?」


 いつもならミルやゼキナ、水魅五姉妹がいるはずだ。


 だが、今日はガルドしかいない。


「ミル様たちは、現在侵入者と応戦中です」


「侵入者?」


「はい。人間の国の騎士団が、このダンジョンに侵入しました」


「騎士団だと?」


 俺は一気に目が覚めた。


 冒険者ではなく、騎士団。


 つまり、どこかの国か貴族が新帝ダンジョンに目をつけたということだ。


「人間の国の騎士団が、このダンジョンの噂を聞いて来たのでしょう」


「なるほどな」


 最近はAランク冒険者も増えてきた。


 黒曜石ゴーレムを倒すような冒険者まで現れた。


 国や貴族が動き出しても不思議ではない。


「何階層にいる?」


「二十三階層です」


「すぐ行くぞ」


「はい、我が王」


 俺は上位魔剣を手に取り、ガルドと一緒に二十三階層へ転移した。


    ◇◇◇


 二十三階層。


 毒の霧が漂う階層に転移した瞬間、激しい戦闘音が聞こえた。


 金属がぶつかる音。


 魔法が弾ける音。


 毒糸が切られる音。


「ぐっ……!」


「大丈夫か、みんな!」


 俺が声を上げると、ミルたちがこちらを振り向いた。


「タケシ様!」


「マスター!」


「ご主人様!」


 ゼキナ、水魅五姉妹、ミルは大きな怪我こそないようだが、かなり忙しそうに動いていた。


 相手は鎧を着た騎士たち。


 数は二十人以上。


 盾を構える者。


 剣を持つ者。


 槍を構える者。


 後方で魔法を準備する者。


 全員が同じ紋章の入った鎧を着て、隊列を組んで動いている。


 ただの冒険者とは違う。


 明らかに訓練された部隊だ。


 ゼキナは前線で騎士たちの剣を受け流し、水魅五姉妹は水魔法で毒霧の流れを操りながら支援している。


 ミルはアムリタの結界を展開し、後方から魔法攻撃を防いでいた。


 アラクネタたちも毒糸を張り巡らせているが、騎士たちはそれを盾と魔法で防いでいる。


「かなり統率されてるな」


「はい。普通の冒険者より厄介です」


 ミルがそう言う。


 その中心に、一人だけ明らかに強い男がいた。


 他の騎士より豪華な鎧。


 大きな剣。


 そして、周囲に指示を飛ばす余裕。


「おぉ、ここの主が来たな」


 男が剣を肩に担ぎながら笑った。


「お前がこの騎士団の団長か?」


「違うな」


 男は堂々と言った。


「俺はファラストラ伯爵に仕える騎士団副団長だ」


「副団長か」


「そうだ。そしてこいつらは、俺が率いるファラストラ騎士団の討伐隊だ」


「討伐隊ねぇ」


 やっぱり、ただの冒険者ではなかった。


 伯爵。


 騎士団。


 討伐隊。


 完全に国側の戦力だ。


「このダンジョンは危険すぎる。伯爵様の命により、魔王を討伐しに来た」


「魔王を討伐か」


 俺は上位魔剣を構えた。


「悪いけど、簡単にはやられないぞ」


「だろうな」


 副団長が笑う。


「だからこそ、騎士団で来た」


 騎士たちが一斉に武器を構える。


 前衛が盾を並べ、後衛が魔法を準備する。


 なるほど。


 これは確かに厄介だ。


 冒険者は個々の力が強い。


 だが、騎士団は連携が強い。


 毒糸も、毒霧も、魔物も、隊列を組んで対処している。


「我が王」


 その時、ガルドが一歩前に出た。


「ここは私に任せてください」


「大丈夫か、ガルド?」


「はい」


 ガルドの兜の奥で、青白い炎が揺れる。


「人間の騎士団などには負けません」


「相手は一人じゃないぞ」


「承知しております」


 ガルドは大剣を構えた。


「副団長は私が討ちます。他の騎士たちは、ゼキナ殿と水魅たち、そしてこの階層の魔物で十分かと」


「そうか」


 俺は周囲を見た。


 ゼキナはすでに数人の騎士を押し返している。


 水魅五姉妹も水流で騎士たちの足場を崩している。


 アラクネタたちも、騎士団の隊列の隙間へ毒糸を伸ばしていた。


「だったら頼む。そのかわり、絶対に消えるなよ」


「はっ」


 ガルドは副団長へ向かって歩き出した。


「アンデッドが俺の相手か」


 副団長が笑う。


「ちょうどいい。魔王の配下ごと叩き潰してやるよ」


「我が王の前で、よく吠える」


 ガルドが地面を蹴った。


 黒い鎧とは思えない速さで間合いを詰め、大剣を振り下ろす。


 ガァン!!


 副団長はそれを剣で受け止めた。


「重いな」


「お前もな」


 二人の剣がぶつかるたびに、毒の霧が揺れる。


 人間の騎士団副団長。


 魔王の騎士。


 剣と剣がぶつかり合う音が、二十三階層に響いた。


 その横では、ゼキナが騎士たちを相手にしていた。


「邪魔です」


 ゼキナの剣が黒い軌跡を描く。


 騎士が盾で受け止めようとするが、力で押し込まれる。


「くっ、こいつも強いぞ!」


「隊列を崩すな!」


 後方の魔法騎士が魔法を放とうとした。


 だが、その足元に水が走る。


「水流撃」


 メリたち五人の水魔法が、騎士たちの足場を一気に崩した。


「足が!」


「毒沼に押し込まれるぞ!」


 そこへアラクネタの毒糸が伸びる。


「ぐあっ!」


「糸に毒がある! 触れるな!」


 騎士団は強い。


 だが、この階層は俺のダンジョンだ。


 毒霧。


 毒沼。


 アラクネタ。


 そしてゼキナと水魅五姉妹。


 連携しているのは、こっちも同じだ。


「くそっ、魔法部隊、前に出ろ!」


 副団長が叫ぶ。


 だが、その一瞬の隙をガルドは逃さなかった。


「戦いの最中に、我が王から目を離すとは」


「なっ!」


 ガルドの大剣に、黒い魔力がまとわりついた。


 闇そのものが刃になったような、重く暗い魔力。


「悪いが」


 ガルドが低く言う。


「我が王を待たせるわけにはいかない。もう終わらせる」


「はぁ?」


 副団長が剣を構える。


「闇魔法――闇切り」


 ガルドが大剣を振った。


 黒い斬撃が一直線に走る。


「くっ!」


 副団長は剣で受け止めようとした。


 だが、闇の斬撃はその剣ごと飲み込んだ。


「な――」


 副団長の鎧が砕ける。


 黒い斬撃が体を貫き、その姿を毒の霧の中へ消していった。


 残ったのは、地面に落ちた壊れた剣だけだった。


「副団長がやられたぞ!」


「隊列を保て!」


「無理だ、魔物が来る!」


 副団長が倒れた瞬間、騎士団の動きが乱れた。


 そこへゼキナが踏み込む。


「終わりです」


 黒い斬撃が騎士たちを薙ぎ払う。


 水魅五姉妹の水流が逃げ道を塞ぎ、アラクネタの毒糸が残った騎士たちを絡め取った。


 毒霧の中に、騎士たちの叫び声が消えていく。


 やがて、二十三階層に静けさが戻った。


『新帝ダンジョンの魔王タケシが五〇〇〇ポイントを入手しました』


「終わりました、我が王」


 ガルドが俺の前に戻り、片膝をついた。


「ああ。すごいな、ガルド」


 人間の騎士団副団長を一瞬で倒した。


 しかも、他の騎士団相手にもまったく怯まなかった。


 これは本当にいい戦力になる。


「タケシ様、ありがとうございます」


 ミルが俺のところへ飛んできた。


「いいよ。それより、怪我がないことが大事だからな」


「はい!」


 ゼキナたちも大きな怪我はない。


 アムリタの結界も、かなり役に立ったようだ。


「ところでさ、ガルド」


「はい、我が王」


「お前のステータスを見せてくれないか?」


「もちろんです」


 ガルドが頭を下げる。


 次の瞬間、黒い光が現れた。


━━━━━━━━━━━━━━━


【新帝のダンジョン 魔王の騎士】


名前:ガルド

レベル:0


体力:30000

魔力:10000


スキル

・魔力の極み

・闇魔法・闇切り

・身体能力強化

・闇魔法・ブラックホール


所持品

・大剣


━━━━━━━━━━━━━━━


「おいおい……」


 体力三万。


 しかもスキルもかなり強い。


 体力だけなら、今の俺を超えている。


 魔王の部下が魔王より硬いって、どうなんだ。


「我が王、どうでしたか?」


「いや、強いね」


「ありがとうございます」


 ガルドは静かに頭を下げた。


    ◇◇◇


 玉座の間へ戻った後、俺はみんなを集めた。


「それより、一つやりたいことがあるんだ」


「何ですか、タケシ様?」


 ミルが首をかしげる。


「各階層の主を決めたい」


「階層の主ですか?」


「ああ」


 俺はモニターを開いた。


「ボスとは少し違う。ボスが倒された場合や、階層の防衛が必要になった時に動く、もう一つの守護役みたいなものだ」


「なるほど」


 ゼキナが頷く。


「階層ごとに担当を決めるということですね」


「ああ。今後、冒険者だけじゃなくて国の騎士団まで来るなら、守り方を決めておいた方がいい」


「良い判断かと」


「じゃあ、まず十階層から決めようか」


 俺がそう言うと、ゼキナが一歩前に出た。


「私がやります、マスター」


「ゼキナが?」


「はい。十階層は最初の大きな区切りです。私が守るのにふさわしいかと」


「分かった」


 ゼキナなら安心できる。


「じゃあ、十階層の主はゼキナで決定だ」


「はい」


「次に、二十階層の主だな」


「ご主人様」


 今度はセリが前に出た。


「私たちに任せてください」


 メリ、ビビ、サリ、エリも頷く。


「水魅五姉妹で二十階層を守るのか」


「はい。私たちなら回復も支援も攻撃もできます」


「分かった。じゃあ二十階層の主は、セリたち水魅五姉妹だ」


「ありがとうございます、ご主人様!」


「最後に、三十階層の主はガルドでいいか?」


「はっ」


 ガルドが片膝をつく。


「我が王の命とあらば、三十階層を必ず守り抜きます」


「頼む。ただし、消えるなよ」


「承知しました」


 これで決まった。


 十階層の主、ゼキナ。


 二十階層の主、水魅五姉妹。


 三十階層の主、ガルド。


「待ってください、タケシ様」


 ミルが小さく手を上げた。


「私は入っていないのですが」


「え」


 来た。


 やっぱり来た。


「それは……ミルは俺に色々教えてくれるだろ?」


「そういうことですか?」


「ああ。ミルは俺の側で、ダンジョン全体の管理と説明をしてくれないと困る」


「なるほど!」


 ミルは納得したように頷いた。


 危ない。


 ギリギリごまかせた。


 ミルは戦闘系じゃないから、前線に出すのは危険だからな。


「さて、今日は色々あったし、もう寝ようか」


「はい、タケシ様!」


「お疲れ様です、マスター」


「我が王、お休みなさいませ」


「ああ、みんなおやすみ」


 人間の騎士団。


 ファラストラ伯爵。


 そして、魔王の騎士ガルドの実力。


 新帝ダンジョンは、少しずつ外の世界に知られ始めている。


 その分、敵も強くなるだろう。


 だが、俺の仲間たちも強い。


 俺はそう思いながら、眠りについた。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


タケシ:魔王Eランク Lv50

階層数:30階層

残りポイント:60250pt


新情報:

・人間の国の騎士団が侵入

・ファラストラ伯爵に仕える騎士団副団長登場

・副団長が率いる討伐隊は二十人以上

・ガルドが副団長を撃破

・ゼキナ、水魅五姉妹、アラクネタたちが騎士団本隊を撃破

・ガルドのステータス判明


階層の主:

・十階層の主:ゼキナ

・二十階層の主:水魅五姉妹

・三十階層の主:ガルド


ミル:

・タケシの側で管理と説明を担当


第四十話終了時点:40250pt


翌朝の地脈ポイント:

30階層 × 500pt = +15000pt


第四十一話開始時点:

40250pt + 15000pt = 55250pt


騎士団討伐:+5000pt

残り:60250pt


第四十一話終了時点:60250pt


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