第三十九話 スキルショップ
「ぐぁぁ……」
俺はベッドの上で目を覚ました。
「おはようございます!」
みんなが一斉に言う。
「ああ、みんなおはよう」
俺は体を起こしながら返事をした。
ミル、ゼキナ、メリ、ビビ、セリ、サリ、エリ。
今日も全員きちんと起きている。
最近ようやく寝坊が減ってきた気がする。
「タケシ様、今日は何をなされるんですか?」
ミルが聞いてきた。
「そうだなぁ」
俺は少し考える。
「まず、昨日倒された二十階層のボスを復活させたいな。あと、最近冒険者が強くなってきてるから、俺も新しいスキルを手に入れたい」
「スキルですか?」
「ああ。今の俺は、黒葬の惨撃に頼ることが多いからな。もっと攻撃手段を増やしたい」
すると、ミルが首をかしげた。
「でしたら、ポイントでスキルを買えばいいのでは?」
「……ポイントで買えるのか?」
「え?」
ミルが固まった。
「もしかして、言っていませんでしたか?」
「全く聞いてないが」
「す、すみません! 言うのを忘れていました!」
おい。
かなり大事な情報だぞ、それ。
「まあ、いい。それで、どうやって買うんだ?」
「簡単です。スキルショップと言えば、スキルをポイントで購入できます」
「なるほど」
俺は言われた通りに口にした。
「スキルショップ」
その瞬間、俺の前に小さな画面が現れた。
そこには、武器や魔物とは違い、無数のスキル名が並んでいる。
「これがスキルショップか」
「はい。欲しいスキルを検索すれば、ポイントで購入できるはずです」
「便利すぎるだろ……」
もっと早く知りたかった。
「タケシ様は、どんなスキルが欲しいんですか?」
「できれば攻撃スキルだな。あとは回避に使えるものも欲しい」
「でしたら、良いものがあります」
「何だ?」
「残像と、エンゲルです」
「残像は分かるが、エンゲルって何だ?」
「エンゲルは、剣に雷を纏わせて、高速で相手を斬りつける攻撃スキルです。斬撃だけでなく、電撃による追加ダメージも与えられます」
「なるほどな」
剣に雷。
高速攻撃。
電撃の追加ダメージ。
かなり強そうだ。
「よし。今日はその二つを買うか」
「はい!」
俺はスキルショップを操作した。
「残像、購入」
『残像を購入しました』
『二〇〇〇ポイント消費』
続けて、もう一つ。
「エンゲル、購入」
『エンゲルを購入しました』
『三〇〇〇ポイント消費』
「やっぱり結構高いな」
「ですが、その分かなり使えるスキルだと思います」
ミルがそう言った直後、表情を変えた。
「タケシ様、大変です!」
「どうした?」
「さっき二十階層のボスがいなかったため、冒険者に通過されています!」
「マジか」
黒曜石ゴーレムをまだ復活させていない。
その隙を突かれた形か。
「今、何階層だ?」
「二十二階層です!」
「二十一階層を抜けたのか」
アラクネタの毒階層を抜けた。
つまり、かなり強い冒険者だ。
「ミル、行くぞ」
「はい!」
俺たちは二十二階層へ転移した。
◇◇◇
二十二階層。
毒の霧が漂う階層へ転移した瞬間だった。
「っ!」
風の斬撃が俺の首元へ飛んできた。
俺は反射的に体をひねり、それを避ける。
「お、避けたか」
毒霧の奥から、冒険者の声がした。
「お前ら、何をした?」
俺が聞くと、剣士らしき男が笑った。
「簡単な話さ。魔力感知で、お前がどこに転移してくるか分かったんだよ」
「なるほどな」
転移先を読んで奇襲。
こいつら、かなりやる。
だが――。
「確かにお前らは強い」
俺は上位魔剣を抜いた。
「だが、俺の方が強い」
「なんだと?」
俺は魔力を全身に巡らせる。
「身体能力強化」
体が軽くなる。
視界が冴える。
さらに、黒い魔力を周囲へ広げた。
「魔王の威圧」
「ぐっ……!」
冒険者たちの動きが鈍る。
「体が重い……! だが!」
剣士が無理やり踏み込み、俺に斬りかかってきた。
速い。
だが、今の俺には新しいスキルがある。
「残像」
俺の体が揺らぐ。
剣士の剣が、俺の体を斬り裂いた。
いや。
斬ったように見えただけだ。
「なに……?」
剣士の目が見開かれる。
「どういうことだ?」
「簡単な話さ」
俺は剣士の背後に立っていた。
「お前が斬ったのは、俺の残像だっただけだ」
「なっ……!」
俺は上位魔剣に雷を纏わせる。
黒い刀身に、青白い雷が走った。
バチバチと音を立て、空気が震える。
「これで終わりだ」
俺は剣を構えた。
「エンゲル」
次の瞬間、俺の体が雷のように加速した。
視界が一瞬で流れる。
上位魔剣が冒険者たちを斬り抜け、同時に雷撃が体を貫いた。
「がっ……!」
冒険者たちの体が硬直する。
そして、黒い雷に焼かれるように崩れ落ちた。
毒の霧の中に、静けさが戻る。
「よし、これで終わったかな」
『新帝ダンジョンの魔王タケシが三〇〇〇ポイントを入手しました』
新スキル、かなり使える。
残像で回避し、エンゲルで高速攻撃。
黒葬の惨撃とは別の攻め方ができるのは大きい。
「タケシ様、すごかったです!」
「エンゲル、かなり良いな」
「はい。タケシ様に合っていると思います」
「マスター」
ゼキナが静かに言う。
「二十階層のボスを再配置しますか?」
「ああ。今みたいに通過されると困るからな」
俺たちは二十階層へ転移した。
ボス部屋は空になっている。
黒曜石ゴーレムが倒された後の傷跡だけが残っていた。
「黒曜石ゴーレム、再配置」
『黒曜石ゴーレムを購入しました』
『二〇〇〇〇ポイント消費』
巨大な魔法陣が広がり、再び黒い光が渦を巻く。
そして、黒曜石の巨体を持つゴーレムが二十階層に姿を現した。
「よし。これで二十階層も戻ったな」
「はい!」
「今日はもう飯食って寝るか」
「分かりました!」
俺たちは玉座の間へ戻った。
セリたちが用意してくれた食事を食べ、俺は今日の戦いを思い返す。
スキルショップ。
残像。
エンゲル。
そして、二十階層の黒曜石ゴーレム再配置。
新帝ダンジョンは、また少し強くなった。
俺は満足しながら、眠りについた。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
タケシ:魔王Eランク Lv20
階層数:30階層
残りポイント:27250pt
新スキル:
・残像
・エンゲル
二十階層:
・黒曜石ゴーレム再配置
二十一階層〜三十階層:
・毒階層
・アラクネタ×800
・三十階層ボス:メロス
第三十八話終了時点:34250pt
翌朝の地脈ポイント:
30階層 × 500pt = +15000pt
第三十九話開始時点:
34250pt + 15000pt = 49250pt
残像購入:-2000pt
残り:47250pt
エンゲル購入:-3000pt
残り:44250pt
冒険者討伐:+3000pt
残り:47250pt
黒曜石ゴーレム再配置:-20000pt
残り:27250pt
第三十九話終了時点:27250pt
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー




