第三十六話 召喚魔法とフェンリル
「あぁぁ……」
俺はベッドの上で目を覚まし、大きく伸びをした。
「おはようございます!」
みんなが勢いよく声をそろえた。
「お、おはよう」
目の前には、ミル、ゼキナ、メリ、ビビ、セリ、サリ、エリが綺麗に並んでいた。
「今日は寝坊してないな」
「あ……」
みんなが少し恥ずかしそうに目をそらす。
昨日の正座説教が効いたらしい。
「まあ、起きてるならいいか」
「タケシ様、今日は何をされるのですか?」
ミルがいつもより少し大きな声で聞いてきた。
寝坊の件をごまかそうとしているのが分かりやすい。
「そうだな。今日はレベル上げと、階層を増やすための準備を中心にやっていきたい」
「でしたら、ちょうど十二階層と十五階層にAランクパーティーがいますよ」
「Aランクか」
最近は本当に強い冒険者が増えてきた。
それだけ新帝ダンジョンが有名になってきたということだろう。
「だったら、先にレベル上げをするか」
「はい!」
「まずは十二階層だな」
俺は上位魔剣を手に取り、迷宮内転移を発動した。
◇◇◇
十二階層。
森エリア。
転移した瞬間、木々の間から二人の冒険者がこちらを振り向いた。
「なんだ!?」
「お前、誰だ? どこから来た!」
二人ともAランクらしく、装備も気配もかなり鋭い。
片方は剣士。
もう片方は魔法使いの女だった。
「二十階層から来た、ただの魔王だ」
「はぁ?」
剣士が顔をしかめる。
「魔王が冒険者を狩りに来たってことかよ」
「そういえば、聞いたことがあるわ」
魔法使いの女が杖を構えながら言う。
「このダンジョンの魔王は、自分から冒険者を襲いに来るって」
「おい、なんでそんな大事なことを早く言わないんだよ!」
「仕方ないでしょ。魔王が自分から出てくるなんて普通ありえないんだから」
「おいおい」
俺は上位魔剣を抜いた。
「仲間割れに付き合ってる暇はないんだよ」
黒い炎が刀身を包む。
「黒葬の惨撃」
俺は黒炎の斬撃を放った。
だが――。
「おっと」
二人は左右に散るように動き、俺の斬撃を軽々と避けた。
「なんだと?」
「なんだ。意外と弱いじゃない」
魔法使いが笑う。
「雑魚の魔王が自分から出てくるなんて、そういうことだったのかしら?」
こいつら、口だけじゃなく本当に強いな。
「次はこっちの番よ」
魔法使いが杖を掲げる。
「火魔法――火龍!」
巨大な炎の龍が、森の木々を焼きながら俺へ向かって飛んできた。
熱気が肌を刺す。
だが、今の俺なら対応できる。
「甘いぞ」
俺は魔力を全身へ巡らせた。
「身体能力強化」
体が軽くなる。
視界が冴える。
さらに上位魔剣に黒い炎を集中させる。
「黒葬の惨撃!」
黒炎の斬撃が火龍を真正面から切り裂いた。
「なっ!?」
そのまま黒い炎は二人の冒険者へ走る。
剣士が防御しようとするが、遅い。
黒炎が二人を飲み込み、森の中に悲鳴が響いた。
しばらくして、そこには何も残っていなかった。
「はぁ……疲れた」
本当に最近の冒険者は強い。
少し前ならAランクでももっと余裕があった気がするが、ここまで来る冒険者はやはり一味違う。
「タケシ様、早く次の十五階層に行きましょう」
ミルがモニターを確認しながら言う。
「そうだな」
俺たちはすぐに十五階層へ転移した。
◇◇◇
十五階層。
森エリア。
だが、そこには誰もいなかった。
「あれ? 誰もいなくないか?」
「変ですね」
ミルが目を細める。
「タケシ様、もしかしたら、もう奥の階層へ進んでいるかもしれません」
「マジかよ。で、冒険者は何階層にいるんだ?」
「えーっとですね……十八階層です」
「そんなに進んでるのか」
「はい。急ぎましょう」
「ああ」
俺たちは十八階層へ転移した。
◇◇◇
十八階層。
深い森の中。
転移した瞬間、冒険者たちがこちらを見た。
「わっ、びっくりした」
一人の男が笑う。
「魔王さんじゃないですか」
「お前ら、十八階層まで来られたことは褒めてやるよ」
俺は上位魔剣を構える。
「でも、ここで終わりだ」
「舐めないでもらえるかな」
男は余裕の笑みを浮かべた。
「僕らは君より強いよ」
「はぁ?」
「見せてあげるよ」
男は杖を地面へ突き立てた。
「召喚魔法――フェンリル召喚」
その瞬間、巨大な魔法陣が広がった。
白い光の中から現れたのは、巨大な白銀の狼だった。
狐のように鋭い顔つき。
雪のような毛並み。
そして、鋭い爪と牙。
「召喚魔法か」
「そうだ」
男は得意げに笑う。
「お前はここで死ぬ。フェンリル、行け」
白銀の狼が低く唸る。
「白爪!」
フェンリルの爪が白く輝き、四本の斬撃が俺へ向かって飛んできた。
速い。
だが、見えている。
「甘いぞ」
俺は上位魔剣を構える。
「黒葬の惨撃」
黒炎の斬撃を放ち、白い爪撃をすべて切り裂いた。
「なに!?」
「次はこっちの番だ」
俺は魔力を全身に流す。
「身体能力強化」
さらに、黒い魔力を周囲へ広げた。
「魔王の威圧」
「ぐっ……!」
召喚士の男が膝をつく。
「体が……重い……!」
フェンリルも動きが鈍った。
いくら強力な召喚獣でも、主が動揺すれば連携は崩れる。
「これで終わりだ」
俺は上位魔剣に黒炎を纏わせる。
「黒葬の惨撃」
黒い斬撃が森を駆け抜けた。
フェンリルごと、Aランクパーティーを飲み込んでいく。
「あああああっ!」
叫び声が消え、十八階層に静けさが戻った。
「よし、これで終わったな」
俺は上位魔剣を下ろす。
今日は十二階層と十八階層でAランク冒険者を倒した。
さすがに少し疲れた。
「今日は早く寝るか」
「はい、タケシ様」
「承知しました、マスター」
「お疲れ様です、ご主人様」
俺たちは玉座の間へ戻った。
階層を増やすのは明日でもいい。
今日はまず、戦って稼いだ力をしっかり休めることにした。
こうして俺は、次の拡張を考えながら眠りについた。
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第35話終了時点:20850pt
翌朝の地脈ポイント:
20階層 × 500pt = +10000pt
第36話開始時点:
20850pt + 10000pt = 30850pt
12階層のAランクパーティー討伐:+3000pt
残り:33850pt
18階層のAランクパーティー討伐:+3000pt
残り:36850pt
第36話終了時点:36850pt
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