第三十一話「毒沼と超速再生」
八階層。
洞窟エリア。
転移した瞬間だった。
「ん?」
俺の目の前に魔法が飛んでくる。
炎ではない。
黒っぽい魔力を帯びた弾だ。
俺は体を軽くひねり、それを避けた。
魔法は背後の岩壁に当たり、爆ぜる。
「惜しい、外れたわ」
洞窟の奥から女の声が聞こえた。
「おいおい。いきなり撃つなよな」
「タケシ様、大丈夫ですか!?」
「ああ、大丈夫だ」
とはいえ、今の魔法は結構鋭かった。
未来予知があるとはいえ、反応が遅れていたら当たっていたかもしれない。
「タケシ様」
ミルが真剣な声で言う。
「おそらく、相手は未来予知に近い感知系スキルを持っています」
「こっちの動きを読んで撃ってきたってことか?」
「はい。他にも厄介なスキルを持っている可能性があります。気をつけてください」
「分かった」
洞窟の奥から、二つのBランクパーティーが姿を現した。
人数は合わせて八人。
前衛、魔法使い、弓使い、補助役。
バランスがいい。
「魔王さん、自分から来るなんて噂通りね」
「そうだな」
俺は上位魔剣を抜いた。
「ついでに言うと、お前らを倒しに来た」
「やれるものならやってみなさい」
女魔法使いが杖を振る。
「スキル、毒沼」
次の瞬間、俺の足元が黒紫色の沼へ変わった。
「なんだこれは」
「毒沼よ、魔王さん」
女魔法使いが笑う。
「沈んだら死ぬわよ」
「マジかよ」
足元が沈む。
ぬかるみどころじゃない。
沼そのものが俺の体を引きずり込もうとしている。
しかも、毒が皮膚を焼くように染み込んでくる。
「タケシ様!」
ミルが叫ぶ。
俺の体は、毒沼の中へ完全に沈んだ。
◇◇◇
「死んだか」
女魔法使いが笑った。
「強い魔王だと思っていたけど、結構雑魚ね」
「そうだな」
男の冒険者も武器を下ろしかける。
その瞬間。
「誰が雑魚だって?」
俺は毒沼の中から這い上がった。
「なっ!?」
「なんで生きてるの!?」
「毒沼に入ったら、普通はもう死んでいるはずよ!」
「簡単な話だ」
俺は肩についた毒を払いながら言った。
「お前たちの毒沼より、俺の超速再生の方が強かったってことだ」
「ありえないわ……!」
「まあ、死ぬやつに説明しても意味ないか」
「は?」
俺は上位魔剣に黒い炎を纏わせる。
「黒葬の惨撃」
黒炎の斬撃が洞窟を走った。
冒険者たちは防御しようとしたが、遅い。
黒い炎が、二つのBランクパーティーをまとめて飲み込んだ。
「あああああっ!」
悲鳴が響き、すぐに消える。
しばらくして、八階層には静寂が戻った。
『新帝ダンジョンの魔王タケシのレベルが〇から一〇に上がりました』
『五〇〇ポイントを入手しました』
「よし、これで終わりだな」
「そうですね」
ミルが安心したように息を吐く。
「マスター、私もやりたかったです」
ゼキナが少し不満そうに言った。
「ご主人様、私たちもです」
メリたちも少しだけ残念そうだった。
「あ、ごめんごめん」
俺は苦笑する。
「お詫びに、今日は甘いものでも食べるか」
「やったー!」
ミルがすぐに嬉しそうに飛び跳ねた。
「甘いものですか」
ゼキナも少しだけ目を輝かせる。
「では戻るか」
「はい!」
◇◇◇
玉座の間に戻った俺たちは、ショップで甘いものを購入した。
『ショートケーキを購入しました』
『チーズケーキを購入しました』
『チョコケーキを購入しました』
テーブルの上に、三種類のケーキが並ぶ。
ミルは目を輝かせ、メリたちも嬉しそうに皿を並べる。
「今日はみんなで食べるぞ」
「はい!」
「ありがとうございます、マスター」
「いただきます、ご主人様」
俺たちは甘いものを食べながら、少しだけゆっくりした時間を過ごした。
十一階層から十九階層の森階層。
ゴーレムの配置。
そして、Bランクパーティー二組の討伐。
今日も新帝ダンジョンは、一歩大きくなった。
俺はケーキを食べ終えると、ベッドに横になる。
「明日は森階層の様子を見るか」
「はい、タケシ様!」
「承知しました、マスター」
「おやすみなさいませ、ご主人様」
みんなの声を聞きながら、俺は静かに眠りについた。
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第三十一話開始時点:22840pt
Bランクパーティー二組討伐:+500pt
残り:23340pt
ショートケーキ購入:-30pt
チーズケーキ購入:-30pt
チョコケーキ購入:-30pt
残り:23250pt
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