第三十話 森階層
「あぁ、よく寝た」
俺はベッドの上で目を覚ました。
「ご主人様、おはようございます」
「マスター、おはようございます」
「タケシ様、おはようございます!」
「ああ、みんなおはよう」
目の前には、メリたち水魅五姉妹。
その横にはゼキナとミルがいる。
少し前まで、俺が毎朝ミルとゼキナを起こしていたのに、今ではこうしてみんなに起こされる側になっている。
俺は川村タケシ。
変な本を開いたことで異世界に転移し、今は新帝ダンジョンの魔王として暮らしている。
「タケシ様、今日は何をされるんですか?」
ミルが俺の顔を覗き込むように聞いてきた。
彼女はダンジョン妖精。
このダンジョンの管理者であり、俺の相棒みたいな存在だ。
「そうだなぁ……」
俺が考えていると、ゼキナが一歩前に出た。
「マスター。七階層に冒険者がいますので、私はそちらに行きたいです」
ゼキナ。
俺が召喚したAランク魔物で、今では進化までした頼れる配下だ。
「んー、どうするかなぁ」
すると、メリが静かに口を開いた。
「ご主人様。どうせなら、もっと階層を増やしてみてはいかがでしょうか?」
メリたちは、俺のメイドとして召喚した水魅五姉妹だ。
料理もできるし、戦闘も強い。
正直、かなり頼りになる。
「ポイントもあるし、そうするか」
「ありがとうございます!」
彼女たちは、俺のダンジョンを支える仲間だ。
なら、俺も魔王としてもっと大きくならないとな。
「タケシ様」
「ん?」
「十一階層から十九階層までは、どんな階層にするのですか?」
ミルが聞いてくる。
「そうだなぁ……」
十階層はボス部屋として完成した。
なら、次は十一階層から十九階層を一つのまとまりにした方がいい。
「ゼキナはどう思う?」
「そうですね」
ゼキナは少し考えてから答えた。
「私としては、森などがいいかと思います」
「森か。いいな」
六階層から九階層は洞窟だった。
なら、その次は森。
視界を遮る木々、足場の悪い地面、魔物の奇襲。
冒険者を消耗させるには悪くない。
「でしたら、早速購入しますか?」
「ああ」
俺は管理画面を開いた。
昨日の終了時点で残りポイントは五四九四〇ポイント。
そして今日の地脈ポイントは十階層分で五〇〇〇ポイント。
つまり現在は五九九四〇ポイントだ。
「十一階層から十九階層まで購入」
『十一階層から十九階層を購入します』
『三六〇〇〇ポイント消費』
ゴゴゴゴゴ……!!
ダンジョン全体が大きく震えた。
新たな階層が一気に形成されていく。
「さすがに結構使ったな」
「十一階層以降は、一階層ごとの購入費が上がりますからね」
ミルが説明する。
「でも、Eランク魔王になったことで、階層改変の負担はかなり軽くなっています」
「つまり、森にする分は安くなるってことか?」
「はい。今回の環境改変は、ほとんどポイントを使わずにできます」
「魔王進化様様だな」
俺は少し笑い、管理画面を操作した。
「十一階層から十九階層を森エリアへ改変」
『十一階層から十九階層を森エリアへ改変します』
モニターの中で、新しくできた階層が一気に変化していく。
広い空間に木々が生え、地面には草が広がり、ところどころに霧が立ち込めた。
十一階層から十九階層。
そこは、深い森の迷宮になっていく。
「よし。後は魔物を決めるだけか」
「タケシ様、森階層ならゴーレムなどはどうでしょう?」
「ゴーレムか」
森とゴーレム。
意外な組み合わせだが、木々の中に岩の体を隠せば、奇襲にも使える。
それに、ゴーレムは耐久力が高い。
「確かに結構強いし、いいかもな」
「では、購入しますか?」
「ああ」
俺はショップ画面を開いた。
「ゴーレム九百体、購入」
『ゴーレム×900を購入しました』
『一一〇〇ポイント消費』
「九百体で一一〇〇ポイントか」
「タケシ様がEランク魔王になったことで、下位から中位の魔物はかなり安く購入できます」
「便利だな」
俺はゴーレムたちを十一階層から十九階層へ均等に配置した。
「魔物転移」
モニターには、森の中に溶け込むように立つゴーレムたちが映る。
岩の体に苔が生えた個体。
木の根のような腕を持つ個体。
森階層には、かなり相性が良さそうだった。
「これで森階層は完成だな」
「はい!」
「現在ポイントはどうなってる?」
ミルが確認する。
「現在ポイントは二二八四〇ポイントです」
「まだかなり残ってるな」
「ですが、森階層をさらに整えるなら、今後も使うことになると思います」
「そうだな」
俺は少し考えた。
だが、作ったばかりの森階層より、今は戦闘で新しい力を慣らしておきたい。
「ミル、冒険者は来ているか?」
「はい。八階層にBランクパーティーが二ついます」
「八階層か」
洞窟階層だな。
「だったら、少しポイント稼ぎも兼ねて行くか」
「はい!」
俺たちは迷宮内転移を発動し、八階層へ向かった。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
第二十九話終了時点:54940pt
十階層分の地脈ポイント:+5000pt
第三十話開始時点:59940pt
十一階層〜十九階層購入:-36000pt
残り:23940pt
十一階層〜十九階層を森エリアへ改変:
Eランク魔王特典により消費ほぼなし
残り:23940pt
ゴーレム×900購入:-1100pt
残り:22840pt
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー




